APU立命館アジア太平洋大学 学長 出口治明先生 講演会!

 

 

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今回お願いしたテーマは『未来のために いま大人ができること』。
「タテ・ヨコ・算数」で考えると、世界はとてもシンプルにとらえることができるのですね✨

古今東西、人口が減って栄えた国は皆無。
ですから、日本の未来を考えるとき、最大の問題は【少子化】です。

欧米の先進諸国と比べても、日本の少子化は深刻。
なぜか?
日本では、いまだに【男女差別】が激しいからです。

はい、問題は少子化❗️ その原因は男女差別❗️
出口さん、こともなげに言い切りました。
なんてシンプルな真理。スッキリですね😆

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「男女差別があると、多くのしわ寄せが女性にいく。
 最近も “ 子連れ出勤 ” を後押ししようという話がありましたが、“ 子連れ出勤=母親がするもの ” という前提で話す人が多い。これで、女性は赤ちゃんを産みたいと思うでしょうか?」

男女平等の度合を示すジェンダーギャップ指数、日本は149か国中、110位。

GDP世界3位の国が、男女平等では110位。なぜこれをガマンしなければいけないのでしょうか? 女性の皆さん、もっと怒ってくださいね」
モンスターなクレームと、まともな抗議は違うのだ、と。
出口さん、このくだりで「怒りましょうね」と3たび繰り返されましたよ😆
“怒り” についてまた1つ、尊敬できる方からの素敵な言及をいただきました!

では、男女差別を是正していくにはどうしたらいいか❓
これまたシンプルな話です。

「クオータ制しかありません」

取締役や議員など、一定の割合をあらかじめ女性に割り当てる。
日本ではまだまだ「逆差別では?」「女性も嫌がってる」と賛否両論あり、そもそもクオータ制という言葉すら知らない人も多いのでは…? と井上は思うのですが、

「クオータ制は成果につながる。これはハッキリしたファクトです」

と出口さんは断言します。
極論すればあみだくじでもいいから、議員や役員の女性を増やすべきだそうです(笑)。

「女性が管理職はしんどそうと敬遠してしまうのは、ロールモデルがいないからなんですよ。男性は、男性同士で飲みに行ったら、「部長は権限もあるし面白そうやなあ」と教えてもらえるでしょう」
確かに❗️

後半、質疑のコーナーにて、不肖わたくし、
「私も含め、女性は “男性に比べ収入もキャリアも人脈もない自分が、意見を述べたり前に出ていいんだろうか?” と思いがち。どうしたら女性は自信をもてるでしょうか❓」
とお尋ねしたところ、明るいご回答でした。

「今なんも持ってないから、これから何だってできるんですよ😊 だって、のびしろしかないじゃないですか。既得権をもつ人ができることなんて、たかが知れてたりするもんです」
“今、日本で希望があるとしたら女性の存在だ ” とまで言われてましたよ。

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以下は、ビジネスと教育が密接に関係するところでもあり、とても興味深いお話です。
これからの日本は「幸福度」を追い求めよう、という人がいるけれど、
これからの日本にこそ、経済成長が必要。
なぜなら、世界一の高齢社会だから。
高齢社会は、莫大な年金や医療費を必要とする。
経済成長がなければ、国はみんなで貧しくなるしかない。

今、世界をリードするGAFAGoogleAmazonFacebookApple)はすべてアメリカ企業。
それを追う綺羅星のような予備軍・ユニコーン企業すら、日本にはゼロ❗️ これは世界のメディアや調査機関の共通認識だそうです💦

GAFAユニコーンのような企業の創業者や役員は、
・めちゃ高学歴(Wマスター=修士以上、しかも「数学と歴史」「物理と文学」のように文理の垣根を超越するダブル)
・めちゃとがった変人(ex スティーブ・ジョブズ)。中退など学歴は低い。

このどちらかである。そして、例外なく、多国籍企業

Googleでは、履歴書や人事考課のための個人資料から、学歴はもちろん、国籍、年齢、顔写真すらdeleteしているそうです。偏見の原因になるから。
「今までその人が何をしてきたか❓」
「今、何をしているか❓」
そして「将来 何をやりたいか❓」
その3つだけで十分なんだ、と。

翻って、日本では未だに製造業向きの教育をしている。
素直で我慢強く協調性があり、上司に従順な人間が良しとされる。決まった工程を、疑問を持たず粛々とこなせる人間。

「もちろん、ものづくりは大切です。 けれど今やGDPで製造業が占める割合は2割弱。
 従順で空気を読む能力に長けた “製造業向き” の人材がイノベーションを起こせるでしょうか❓」

一斉講義で教師が教えるのではなく、子どもたちに考えを言わせる。子どもたちが教え合う。ヨーロッパではそれが教育のスタンダードになっている。
クラス全員の顔が違うように、心の中も当然違う。

だから、子どもには「考えてることは言わなきゃわからないよ」と教える。
親は「我が子と他の子を比べない」ことが必須。

後半、ご参加の方から子育てについていろいろな質問が出るたびに、
「比べない」
ことを出口さんは繰り返し説明されました。

1人1人、脳は違うのですから。
(日本が誇る脳科学者、池谷裕二 著『パパは脳科学者』が出口さんの激推しです❣)

「今、日本で価値があるとされているものを持っていなくても、なんてことないんだな。むしろ希望の種かもしれない」と思いましたよ。我が子もそうだし、女性である私自身も。

なんたって、出口さんに言わせれば
「だから、『東大か、APUか』なんですよ」ですから(笑)。すさまじく引きの強いフレーズに痺れました(笑)。

めちゃ高学歴を目指す人は東大へ。そうではない、とがった変人(←日本的に言えば変態やオタク!)は。、APU立命館アジア太平洋大学へ。わかりやすい❣😆

そして、子どもたちに「自分の考えを言いなさい」と教えるのなら、まずは私たち大人がそういう姿を見せたい、と あらためて思いました。
ワークライフバランス研究所では、月に一度のプレゼン勉強会にて、多様な参加者でカジュアルなディスカッションをしていますよ❣ 次回は2/11(月)10:00~です。どなた様もお気軽にご参加ください😊
https://www.facebook.com/events/141366750113157/

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さて、出口さんからは、質問に答える形で「働き方改革」にも言及がありました。
定年はいらない❗️ 人間、元気なうちは働けばいい。
働くことは健康にも役立つ。元気な高齢者が増えれば医療費も減る。
ナベツネさんを見てごらん、あんなに元気で稼いでいる人に年金は必要ないでしょ?
定年をなくすには、年功序列をなくさなければらなない。もちろん新卒一括採用も。

高齢化の日本。だからこそ、
young support old から、【all support all】 へ。
「〇才以上に給付」という一律ではなく、年齢関係なく、困っている人に給付する。
所得税と住民票」による社会保障から、「消費税とマイナンバー」へ。
必要なのは、そのパラダイムシフトなのです。

出口さんは言います。
『大人の仕事は、次世代を育てること。』

そのためには、「行動」しなければならない。
行動しなければ世界は変わらない。
というか、行動しても そう簡単には変わらない(笑)。

賢い人は、可愛がられて生きていくため、自分を世界に適応させる。
けれど、賢くなれない人が黙らずに声を上げ、行動し続けたから世界は変わってきた。
(町おこしをするのは、「よそ者・ばか者」と相場が決まってる!とのこと😆)

行動するときに必要なのが「知識」です。
知識を得るためには、「人・本・旅」。旅とは現場に行くこと。
これも本当に、シンプルな理論ですね✨

「どうやって声を上げたらいいでしょう❓」と質問が出ました。

SNSがあるじゃないですか😊」と出口さん。
インターネットの普及で、発言コストは限りなく低くなった。弱者が手にした武器です。

「それに、SNSに書くのは、知識を頭に落とし込むための最良の方法なんですよ。
 facebooktwitterに書いたって、たいてい誰も見やしません(笑)。
 それでも「誰かに見られるかも」と思うと、自分一人の日記帳に書くのと違って、ちゃんと考えて書くのです。人間の脳はそういう仕組みになっています。
 お客さんが来るから綺麗にそうじする。誰も来ない部屋の掃除は適当になるのと同じです(笑)」

めっちゃわかります❗️
私、だから20年近く、記録はweb上にしています。
長文でも雑文でも、今と未来の自分のための文章なのです。
しかも、それを読んでくれる人がたまにいるから一石二鳥。
うれしいお墨付きを出口先生からいただきましたので、安心して長文を書きました(笑)。
最後までおつきあいくださった方がいたら、ありがとうございます😆💦

他にメモしときたいことはコメント欄に書きますね~
(まだ書くんかい😅)

出口さんは、ことさら声を張ったりアジテートしたりはせず、淡々と、でもハッキリと語られます。
必ずファクトの裏付けがあり、ユーモラスで説得力あるたとえ話を添え、にっこり素敵なスマイル😊。
その魅力にみなさんがすっかりまいっちんぐ(古)なのが見てとれました😆

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続く懇親会でも、いくつもの人の輪で、笑い声や熱心な懇談が💕
みなさんが刺激と興奮、大満足の面持ちで帰られる様子が本当にうれしかったです。
(後略)

追記

1.フランスの出生率を上げた【シラク3原則】など、子育て施策については、駒崎弘樹さんとの共著『世界一 子どもを育てやすい国にしよう』に詳しいです。
子育て環境の整備のために、男性の働き方や社会保障の仕組み、そして政治がどんなに大切かよくわかります。
しかも、対談形式なのでものすごくわかりやすい! 子育て世代仲間にも好評です! 

emitemit.hatenablog.com


2.お話に出てきた、人類進化学の大家にして京都大学総長、日本のアカデミアの最高峰の一人である山極壽一先生が語る「人間の本質」については、こちらに書いたことがあります。

mamajanaiwatashi.hatenablog.com


3.クオータ制=女性議員アップを説明してくださった出口先生、
選挙については、ご著書『人生を面白くする本物の教養』ではこんなことも書かれています。

「選挙は忍耐そのものである」
これはチャーチルの言葉なのだそうです。
「立候補者は、私も含めてろくでもない人間ばかり。その中から、少しでも税金をうまく分配できそうな“まし”な人を選ぶのが民主主義のしくみだ」

出口さんは「だから、政治家に過度に期待してはいけない。相当な忍耐をしながら、市民みずからがいい政府を作っていかなければならないのだ」と続けています。

人生を面白くする 本物の教養 (幻冬舎新書)

福岡で育ち、出口さんと同じ京都大学を卒業した芥川賞作家、平野啓一郎も似たことを言っていました。
『「どうでもいい」と思った瞬間に民主主義はおしまいである』

「政治のいろいろな問題を考えると、正直ウンザリする。自分だってそんなにヒマじゃない。でも「どうでもいい」と思った瞬間に民主主義はおしまいである。日常のかたわらで、根気強く関心を維持することが必要」と。

emitemit.hatenablog.com


4.そうそう、「4つのP」の話も印象的でしたね!
物事を変えるには困難を伴う。そこで大事なのが4つのP。

Project・・・確固たる目的意識。
Peer ・・・・仲間。一人でできることは限られている。
Passion・・・情熱!
Play・・・・ 遊び心。困難に対して生真面目に取り組むだけでは煮詰まる。プロジェクトには素っ頓狂な人が必要。

ここで「私だ、私。すっとんきょうな人」と反応しておられる方が、私の席の周りに少なくとも2名はいらっしゃいました😆