11/11 「情熱大陸」向井理
30才の向井理を「めんどくさい男」「気難しい男」とのフレーズで紹介していく。
インタビュー。「(30才の自分は)(芝居を)もっとうまくできるはずだったのにな。なかなか進まないな」。おお。そんなふうに思ってらっしゃったのですか。私もそう思ってました! いや〜、自覚してはったんですね。
『ケイゾク』や『SPEC』の堤義彦が手掛ける舞台、ベストセラー小説を原作にした「悼む人」。稽古風景、初日の様子が映ってたんだけど…うん、ちょっと笑っちゃったもんな。人気者だけに、実力のことささやかれるとつらいよな。
でもね、堤監督いわく、「俳優には2つのタイプがある。カメレオンのようなタイプと、独自の存在感を持ってずっと仕事をするタイプ。向井くんは明らかに後者。はっきりとした自分のスタイルがある。」褒めてます。賞賛してますよ。
この話は、「だから作り手は、この作品でだけは違う姿を見せてほしいと思う」と続いていくんですが、まあ監督、それはこれからのお楽しみってことでヨロシク(だってあの舞台の上での向井君…ぷぷぷ。そこだけ抜き出してるからおかしかったのかもしれんけどさ〜)!
最近わたし、向井さんてもう、そう簡単に上手くならんのじゃないかな?て思ったりするんですよね。喜怒哀楽をあらわにしたり、長ぜりふを聞かせたり、爆笑させたり、無言で何かを表現したり…なんて芝居で、私たちは役者に感動したり圧倒されたりするんだけど、向井さんにその方面を期待するのは、一時的にやめることにする。そっちはそっちで、小栗さんとか、瑛太さんとか、ニノさんとか、森山さんとか、窪田くんとか(←New!)人材豊富だし、彼らでじゅうぶん満足してお釣りがくるぐらいじゃないですか。
向井さんのスタイルっていうのは、どうにもサラッとしてる、ってことんですよね。本人、前から「自分は頑固」とか「わがまま、めんどくさい」的な自己分析をしてて、あちこちでの言動見てると、多分それホントなんだろうなって思うけど、それでも、とにかく雰囲気はサラリ。なんか、「人間の業」みたいなものを感じないんです。大竹しのぶとか、普段はあんなにホケホケしてるけど、すげー業の深い女、って感じがするもんな。
「業」の漂わなさ、は、役者としては不利っぽいけど、まあ、向井くんの場合、今んとこ、「サラッと」加減が半端じゃなくって、それはそれで大いなる武器なんじゃないかと思う。だって最近の仕事、「江」に「アイシテル」に「ハングリー!」に「サマーレスキュー」。・・・・・・・・・・・・。あ、いかん。思い返して一分くらい沈黙してしまった。や、こんなムムムな仕事の数々(ばかり)を見てきた最近なのに、それでも、情熱大陸の向井さんはやっぱり超かっこよかったんだよ。「イラかっこよさ」に翳りがなかった。いや〜今んとこ、演技力では田中圭の圧勝だが、ムカイリにはそれに対抗できる華がある。
多分ミポリンとやった映画は、叫び出したくなるくらい中身がないんだろうけど、だからこそ、壮絶に「イラかっこいい」ムカイリを、心ならずも堪能してしまう気がする(見る予定はないけど)。クリアアサヒのCMとか彼の良さを最大限に生かしてるよね! 「ガチで」ってやつね。作りこまない表情で短いセリフ、カットも細かく。あれは最近のワタクシ的ムカイリ's ベストだ!
こりゃまだまだ当分、彼には引きも切らないオファーがあるはず。それらは、大きくふたつに分けられる。「得意なサラッと感で」ってのと、「新しい君を見せてくれ!」っての。
前者はサラッとできて女子にキャーキャー言われるけど本人はこれでいいんだろうかと懊悩。後者は、なかなかうまくできないし、うすうす周囲からもそう思われてることを感じて懊悩。つまりどっちにしても、彼にはまだまだ懊悩のときが続くのかもしんないけど、そこで「業」が芽生え育ってゆくのか(勝手なイメージだけど、時任三郎ってこのタイプな気がする)、それとも、そんな紆余曲折にもビクともしない「鋼のサラッと男」としての地位を確立するのか(再び勝手なイメージだけど、この分野で大成したのが仲村トオルって気が)、今後も向井さんをちょくちょく拝見していきたいと思います。