『江』 第34話「幻の関ヶ原」

前回で下がったテンションが*1、およよ?て感じで盛り返した!
天下分け目の合戦なのに、ものすごくあっさり始まった感があるし、三成ほとんど出てこないしだけど、過去の大河でももうさんざんやってきた関ヶ原ですから、こういう視点もありなんじゃないでしょうか。

大津城がメインのひとつってのが新鮮。ほとんど描かれてない割に、斉藤工は、名家・京極家を潰さないことが第一義にあるんだけれども、いわゆる従来の“蛍大名”っぽくない高次の人物像を、うまく表現してるように思う。あの涼やかなイケメンぶりが、巧まざるして人品卑しからざる風情を醸してるよね。実際、超交通の要所であった大津に居城をもつ高次はつねに天下の形勢をうかがわなければならなかったし、あの状況で東軍に寝返って奮戦したってことは*2、史実かなり果断かつ戦上手な武将だったんじゃないかと思う。

もう長いこと、出てきては、浮気騒動または「どっちにつくか」論争ばっかりで、ここも不遇だなーと思ってた高次−初の夫婦だけど、たいして描かれてきてないわりに、ふたりがガッチリ強い絆で結ばれていることをスルリと飲み込めちゃうのは、結婚するときの大立ち回り(?)がけっこう記憶に残っているからかもな、と思った。お菓子が好きか嫌いかとかで泣くほど悩んだりして、すげーバカっぽかったけど、あれはあれで、意味あったのねw

覚醒した初がすんごいステキ! いくら城攻められるのに慣れてるからって、甲冑まで着る必要ないんじゃないかとは思うが笑。やっぱり超美人。独特の声が緊迫した状況によく合う。この必死の夫婦の常に傍らにあって、相変わらずぽよんとしてる鈴木砂羽の存在感もすごくいい味だしてる。

秀忠まわりもいい感じ。イヤイヤながらも、これがさだめだと思い切って出陣するところまでが前回。

今回はまず、小山評定で父・家康の人心をまとめる手練手管に舌を巻く。その後、庶兄・秀康が出てきたのもよかったね。この時点ではもう結城家の養子なんで、まあ当たり前なんですが、兄なのに、しかも本人やる気あるのに、大した役目を与えられなくて忸怩たる様子を見せる秀康を見て、また複雑な思いを抱く。

己の陣の評定では大将の席にいるのに不安げな貧乏ゆすり。中山道を行っていると、真田父子が寝返ったニュース。家臣は攻める派とスルーする派に二分。寝返った幸村に興味をもって上田を目指すことを決断するも、和議に持ち込むどころか返り討ちにあって味方はボロボロ。撤退を決断したあと、人の生き死にまで左右する己の裁量の大きさに改めてガクブルしてるのを草刈正雄に諭されるのも良し。

先を急ぐ道で、橋が壊れている。とっとと進むため、川に入って渡るべきと言いたげな草刈正雄。でも、振り返ると兵たちは疲労困憊してるしで、迂回を指示。自分も疲れすぎてて落馬。己のあまりの不甲斐なさにもう笑うしかない、土に汚れた顔で天を仰いで哄笑・・・。

賢しらな若造が現実に相対して挫折感に打ちのめされるさまを、まあ、ぬるいとはいえ、かなり丁寧に描いていたんじゃないかと思います。秀忠のフルボッコが妙に快感でもあったのは私だけではあるまい・・・笑 や、ここから、ひと皮むけた男になるのが楽しみっていう意味でもね!  向井さんの演技にしても、ひねくれ小僧的なのは既にお腹いっぱいだったんで、焦るとか大声で下知するとか、激しい感情をあらわにするのが見られるのは面白かった。

まったく、家康、三成はもちろんのこと、大坂、小早川、真田、上杉、秀忠、京極、大谷、島などなど、どこを切り取っても興味深いのが関ヶ原ってもんでございますね。今モーレツに、『天地人』(というか、おぐりん三成)や、『葵徳川三代』(2000)の小川真由美波乃久里子岩下志麻のド迫力浅井三姉妹西田敏行の秀忠が見たくなっている!

*1:前回に関しては、『それでも、』の第10話の衝撃冷めやらぬ中で録画を見たのも悪かったのかも。あのドラマのあとに見ると、いろいろ霞みすぎます。

*2:まあ最終的には降伏したわけですが