皐月の十三 / Butterだから黄色いんだよ/ 透明人間になったら

●5月某日: 朝からLil Nas Xの「Sun Goes Down」聴いて泣く。アメリカのTikTokから人気になった1999年生まれのラッパー、リルナズX。2019年にカミングアウトしている。ちなみにビルボードナンバー1史上はじめてのカミングアウト・アーティストなんだそう。


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音楽や映画やテレビ、自由なはずの表現の世界にも実はいろんな差別的な空気がある。ヒップホップ文化におけるマッチョイズムもそのひとつ。

「死にたい」と苦しむ声に向かって「わかるよ、でも生きよう」と優しく語りかけるようなリルナズの歌声に、性的アイデンティティーで差別されることのない私の心もすごく揺さぶられた。なんだか反射的に泣けてしまった。

誰の人生にも悲しみと涙がある。たった3分足らずで、いやもっと短いフレーズでも、悲しみや慰めを分かち合えるのがポップミュージックのすばらしさだ。


午後、Nさんとおしゃべり。Nさん、「議題を書いてきました」とノートを取り出すw 話してて、私が好きな人、めざしたい人物像は「強くて優しい」だなあと思う。それがジンくんだし(笑)、夫にもそういうところがあるし、私の美点も最大化されればそうなるんじゃないかな(前向き)w

で、こういう記事を書いたりした。

note.com

夜は、オンラインでchit-chatブレストミーティングの2回目。延長戦になって23時近くまで話し込む。好評でよかった。寝る前に、息子が宿題で書いた作文を読んで衝撃を受ける。

今めちゃくちゃ衝撃を受けてて、カームダウンのために書かずにいられない。息子のクラスでは、あるいは学年全体かもしれないが、毎週末に作文の宿題が課されている。5年生になって新たに加わった宿題だ。毎週お題があって、そのお題の出し方(お題のステップアップの仕方)がすごくいいなとは前から思っていた。
5㎜方眼のノート1ページ、つまり330字書く。息子はこの宿題を「めんどくさい、めんどくさい」と言っており、テーマによってはかなり書きあぐねている様子だった。

私は今のところ「宿題は先生が良かれと思って出してるものだけど、一方的に出してるものでもあるので、やらなきゃいけない義務はない。やらないのに正当な理由がいるわけでもない。 “ 今日はやりませんでした(親公認です) ” といつでも連絡帳に書いてあげるよ」という親なんだけど、まぁ子どもは「やらなきゃ」と思うものなんですよね。

彼が作文ノートを前にウンウンうなっているとき、「とにかく埋めりゃいいんだから、あることないこと適当にだらだら書けばいいんだよ」と言って、具体的に「昨日は〇〇しました、それは〇〇でした、〇〇と〇〇もありました、お母さんが〇〇と言いました‥‥」みたいな感じで口から出まかせの文案を言って聞かせたこともある(ほとんどそのまま採用して書いていたw)。
そっかー、書くのは苦痛かー、マンガ以外の本はほとんど読んでないしね。

と思っていたら。

今週末のお題は「もしも透明人間になったら」。
これまた書きづらそうな題だし、実際に土曜日の段階ではまた「めんどくさ‥‥」とぼやいていた。
「そりゃお母さんならBTSの宿舎潜入でしょ! あとレコーディング現場と撮影現場。君はネフライト(←YouTuber)の家とか任天堂とか行けば?」と言っても反応薄で、どうするんだろうなと思っていたら、取りかかったのはいつものごとく日曜の夕方になってからだったんだけど、「え?もう終わったの?」ってぐらい早く終了。

それで、さっき、そっとランドセルを開けてノートを開いてみると‥‥
すごい作文が書けていた。
衝撃。
良心が咎めるのでアップしないけど、今まだ動揺がおさまらない。

いや、アップしたところで、「え? 普通じゃない?」って思われる内容かもしれない。先生すらスルーするかもしれない。
透明人間になった彼は、YouTuberの家にも任天堂にも行かなかった。
別に慈善的・利他的だったり、革命的なことをするわけでもない。ずば抜けたセンスやクリエイティブを感じるアイデアでもない。
でも私にはわかる‥‥! あの作文の意味と価値が‥‥!
まさか、あんな文章が彼から出てくるとは思わなかった。
一方で、めちゃくちゃ彼らしいという気もする。
子どもって、すごく成長してるんだね。
成長するって、すばらしくて、怖いことだね。
成長してゆく心の健やかさ、逞しさ、そして不安がほの見える作文だった。
感動。そして切ない。

作文の課題、まだ5回目くらいなんだけど、そして先週なんか、私の口から出まかせを丸パクりしてたのに、こんなに急にいいものを書くってことにびっくり。
宿題の威力!(←豹変w
そして子どもがもっている力!!
「文体」がちゃんとある文章だったのにも驚いた。
もしかして、何かパクったんだろうか?w 
とはいえ、もちろんプロみたいな文章ってわけでもないし、彼らしい内容でもあったんだよね。明日、本人に聞いてみよう‥‥