睦月の九 / 二分の一成人式

●1月某日: N事務所出勤。3か月に一度の某報告書の作成、大詰め。インタビューの事前質問シート。夜ごはんは、豚と長ネギと卵の炒め物、白菜の味噌汁など。

おととい手紙を出していた件について、夕方、校長先生から電話あり。

facebookより)

先日こちらにも投稿した二分の一成人式の件は、あのあと校長先生にお手紙を書きました。息子いわく、わが校の今年の二分の一成人式は「自分の年表をつくる」「親にインタビューもする」と。うーんやっぱりその路線なのか。

モヤモヤしたものを抱えたままにするより、伝えたほうがいい。そう、アレです。「クレームじゃなくてコミュニケーション」です!

というわけで、以下のような内容をしたためました。先日の投稿のコメント欄に付しました、広島大学大学院川瀬さんの論考「二分の一成人式」の実施をめぐる現状と課題」も参考にしています。

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二分の一成人式について

●子どもたちが自分自身と向き合い、調べたことや考えたことをまとめて発表したり、友だちの発表を聞いていろいろな子・いろいろな考えがあると知る経験自体は、とても大切な学習機会だと思う

●が、以下のような懸念もしている

・ほぼ強制的にライフヒストリーや家族構成などのプライベートな情報を開示させられる

・↑のような内容を、教室という「空気」が発生しやすい場で考えさせ発表させるのは、子どもの心を誘導する危険があるのでは。客観的に見て酷な環境にある子が傷ついたり、あるいは「自分がもっといい子にならなければ」と思い込む可能性もある

・学校でも各家庭についてはある程度把握しているだろうが、それでも外から見えるのは一部分。特に今はコロナ禍で苦境にあるご家庭の話も聞く(本校内)

●これまでわが校でお子さんの二分の一成人式を参観したお母さんたちの声
(前回の投稿のコメント欄に付したものを簡単にまとめました。年度やクラスによっても内容がだいぶ異なるようなので、担任ではなく校長先生におたよりした旨も)

二分の一成人式を楽しみにしている保護者がいるのも承知しているが、そもそもこの学習の目的は、保護者を喜ばせたり、親子の心の通じ合いの促進ではないはず

●家庭環境など、子ども自身のがんばりではどうしようもないことについて、授業の中で引け目を感じる子がないように支援・配慮をしてほしい。たとえば以下のようなもの

・家庭や家族以外のテーマも例示して、子どもが安心して選択できるように(自分が好きなことや、保育園・幼稚園・学校の思い出、友だちのことなど)

・感謝や感動、前向きのような、一般的な型からはみ出た思いも尊重する(内心の自由を侵さない)

・保護者を喜ばせたり、保護者に見られることが前提のアウトプットではないことを明示(子どもにも保護者にも)

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コロナ禍での先生方の多忙と心労、その中でも子どもたちが毎日元気に学校に通っている様子に感謝していること、そして、いろいろな考えがある中で保護者からのひとつの意見として受け止めてもらえればということも書き添えましたよ。

で、きのう校長先生から電話をいただいてお話ししました。

●本校の二分の一成人式は、文科省の「キャリア・パスポート」というキャリア教育に基づいて行う(※私イノウエは知らなかったけど、2020年度から全国の小中高に導入されたらしい)

●「キャリア・パスポート」とは‥‥自らの学習状況やキャリア形成と向き合って自己評価を行うとともに、主体的に学びに向かう力を育み自己実現につなぐもの。教師は対話的にかかわっていく(ざっくり)

●4年生(二分の一成人式)においては、たとえば自分の好きなこと、得意なこと、できなかったけれどできるようになったこと、将来こんなことをやりたい、それにつながるようなことで、今できることは何か‥‥?などを各自が考える

●家族や家庭について取り扱うのが主旨ではないので安心してください。私もそれは好ましくないと思っている。子どもたちの環境は多様化し、わが校でも外国ルーツの子どもたちが増えてきた。いろいろな配慮が必要だと承知している

二分の一成人式については、全国的にいろいろな問題が指摘されてきた。子どもたちの何人かが素直な気持ちで口にした保護者への感謝が、何となく教室の空気になり、そちらへの流れに偏るようなことも‥‥

●今回もらった手紙は4年生の担任全員で共有した。今年はコロナで参観もほとんど実施できなかったが、保護者の方が学習内容に関心をもっていること、また心配もいただいているのだとあらためて知ることができた。ありがとうございます

●今後も、気になることがあればいつでもご相談ください

 

というわけで、モヤモヤはそこそこに解消し(授業の内容が具体的にわかるのはこれからなので)、とりあえず良いコミュニケーションができたのではないかと思います。
前回の投稿にたくさんのコメントやメッセージをいただいていたので、こちらでもご報告でした!

学校に手紙を書く(申し入れる)なんて‥‥とハードルを感じる方もいるかもしれませんが、こういうことには「慣れ」もかなり関係していて、

モヤモヤを言語化する
 ↓
クレームではなくコミュニケーションする
 ↓
軟着陸させる

という経験を重ねることで、ハードルはかなり下がると思います。私もまだまだ未熟なので修行中ですが‥‥
(もちろん、コミュニケーションとか軟着陸とか言ってられない、断固戦うべきシーンもあると思います)

日常では、「私のとらえ方・気のもちようでノープロブレムにする」とか、「親しい間柄でひとしきり話してガス抜きして気を取り直す」に偏りがちな気がするのですが、「コミュニケーションの質量を高める」方法も大切だと思っています。

 

■noteにもまとめました~

note.com