2月ですね

2月ですね。私のデスク、今年のカレンダーは、安田菜津紀さんが撮った「世界の子供たち」です。

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夫「あら。今日からワインが安くなっとる」←DMを見て。
私「あれか。TPP」
夫「や、今回、EPAみたい」
私「あー、EUとの」
夫「日本のワイン厳しくなろうな」
私「日本のワイン、もうちょ~~~っと安くなったら絶対買うのにね」
夫「ちょっとの言い方がでかいw」

私「でも、こっちからの輸出も関税なくなっていくんやろ? TPP的な。そしたら、日本のブランド農産物は海外で人気になるやろうって。ヨーロッパなんかはオーガニック指向が強いし」
夫「んで、日本にはやっすい農産物がばかばか輸入されるんやろうな」
私「安いほう買うもんね。お金ないけん」
夫「サニーもアメリカ産豚肉のスペースでかいもんな…」
私「ますます貧しくなるよね」
夫「グローバル化ってそういうことよね」

何 この、朝から暗い結論(笑)

そう、ちょうど今週、期末試験を受けまして。細々と続けている放送大学のお勉強w

今期は、『グローバル化と私たちの社会』を受講。
かなり面白かった! おすすめです(たぶんネットとかで教科書買えるはず。)

グローバル化による影響を、
都市社会、企業活動、経済法、労働問題、
農業、国土開発、メディア、建築や会計基準などなどにわたって、
それぞれの専門家が講義します(全15回)。

私は、前職で「国際会計基準」の考え方が
会社(←国際取引も少なかった、コテコテの地元企業よ?)に影響を与えていくプロセスをつぶさに体験したのですが
ここでIFRSだのコンバージェンスだのの用語に再会するとは思いませんでしたw

さて
冒頭の会話のように、ヒト・モノ・カネ・情報が国境を越えるグローバル化が進むと、
必ず起こる問題は

「格差」

ですよね。

これは、アジア太平洋戦争を含む第二次世界大戦の要因の一つにもなっています。
昭和の初めの日本も、度重なる恐慌によって格差は深刻でした。

昔から、戦争の原因って、たいてい経済問題なんで。
宗教とか天皇みたいなイデオロギーは後付けなんで。

話が逸れました。
その格差に対して、「グローバルな正義論」という講義がありました。

「最貧の状態にある人々の、
 人権、いや命そのものが危機に陥っているのに、
 その他の人が困窮した人々を助けないのは不正ではないのか?」

この問いに対して、
「今までは国家単位で「富の再配分」を行われてきたが、
 グローバル化社会において、「正義を行う原理」は、
 国境を超えるべきではないのか?」
という議論が真剣になっているそうです。

なぜなら、グローバルな経済活動があるからこそ、
先進国は余裕のある生活を享受しているから。

「グローバリゼーションが環境に及ぼす影響」という講義では、
バーチャルウォーター】という概念を学びました。

日本は雨量が多く、放っておくと草木がどんどん伸びて困るくらいなので
水が足りないという認識は少ないものですが
実は日本は、輸入によって、世界でもっとも水を節約しています。
たとえば私たちは大量のパンやパスタを食べますが、原料の小麦はほとんど輸入品ですよね。
藻谷浩介さんによれば、丸亀製麺だってオーストラリアの小麦を使っているそうです。
私たちが食べている量の小麦を国内で生産しようとすれば、
莫大な水が必要になる。
水を輸入しようと思ったら、めちゃくちゃ大変ですよね。
物量だけ考えても、重いわ、かさばるわ…。
だから、完成品である小麦を輸入すれば、水の節約になるわけです。

(日本の場合、雨量的にはもっとたくさん小麦を作れるのかもだけど、その他もろもろの理由で現実的に輸入したほうが安いわけですよね。雨の少ない国にとっては、もちろん水より完成品輸入となる。)

日本の食料自給率は他国と比べて極めて低く、カロリーベースでは40%ほどといわれています。
大量の食糧を輸入に頼っている。
ということは、日本は、大量の水資源(=バーチャルウォーター)を輸入しているのです。

そういう国が、世界の貧しさを放っておいていいんだろうか?
…と考えると、政府が外国にたくさんの基金を投じることも、少し違った見え方になります。
いや、あんなにたくさん武器はいらんやろ、と思うけど。

貧しさを救う、という「正義」の意味合い以前に、
輸入先の国の水資源が少なくなったり、水質汚濁が進めば、
日本は国民に食糧を供給できない国なのです。

もちろん、国内を見ても大きな格差があります。
国内の格差もまた、グローバル化が生み出したものなのですよね。
たとえば、国際競争力のために企業が非正規雇用を増やせば、低所得の労働者が生まれるわけで。

グローバル化に伴って、
 社会の周縁(はじっこ)に追いやられ、
 社会的に排除されがちな人々や
 弱い立場に立たされている人々を
 社会的に包摂する仕組みは、
 地域レベルで構築してゆくしかない」

つまりこれが、よくいわれる
「Think Globally, Act Locally」
だと思うのですが、

これを一年間かけてやっていたのが、
2017年の大河ドラマ『おんな城主直虎』です。
柴咲コウちゃんと菅田将暉くん、そして阿部サダヲのね!!

急に一昨年の話になって申し訳ございません(笑)

このドラマにおける「信康事件(←信長に命じられた家康が 嫡男信康を殺す)」の描き方を、
出口治明さんは「実際はあんなふうに泣いたりしない。さくっと殺す」とおっしゃいますが、
確かにそうなのですが、あれは、

「強い者は弱い者を虐げ、平気で踏みにじってゆく」
「弱いものたちが夕暮れ さらに弱いものを叩く」(by ブルーハーツ

というグローバル社会の負の連鎖を
弱い者たちがローカルなところから断ち切っていく、
その難しさと尊さが描かれる、長い物語の一要素だったのです!!!

『直虎』は、本当に、
現代への批評を普遍的なところに落とし込み、
なおかつ思想性ある大河ドラマでした…。
高橋一生萌えだけのドラマではない!!

確かに菅田くんの「新しい褌、持ってこーい!!」シーンは永久保存するけども!!!