『運命の人』 第2話

うーむ。モックンはすごくかっこいいんだけど、モックン演じるところの弓成が、どーもかっこよくない。豪腕・辣腕・凄腕と、内外でさんざんもてはやされ、本人も「俺は不遜な男でね」とすっかりその気になってるけれど、あちこちの政治家に「教えてくださいよ」と押しの一辺倒で迫るばかり、肝心の機密文書は女の情に頼って入手し、しかもその後は「俺には俺のやり方がある」などとうそぶく割に手をこまねいてばかりで、あげく野党議員に横流しする始末。この人は・・・この人は、本当に有能なの?

同じく、真木よう子もビジュアル的にはこういう役にぴったりで、見る者すべてを射抜くような美しさなんだけども、「いい女!」とも、逆に「サイテーな女!」とも思えない中途半端な女・・・。夫・泰造など同情の余地はあるし、男前モックンに惚れこむのもわからんでもないが、頼まれてもないのに勝手に職場の機密を流しておいて「信じてますから(絶対に守ってね)」って、そりゃあんまり、覚悟ってもんがなさすぎるんじゃないの?

松たか子の役は良妻すぎて、いや、この人こそ強い意志をもって良妻をやってるんだろうけど、あまりに出来杉くん過ぎて、これまたちょっと鼻白む。

つまり、主要人物の誰にも感情移入しにくい。これはけっこうつらいぞよ。感情移入できなくても、面白おかしく突っ込めるとか、堕ちるとこまで堕ちちゃえよこいつら、と突き放せたらまだいいんだけど、なんかそれもしづらい。ちなみに「不毛地帯」では、なんのかんのゆーて素直に唐沢さん演じる壱岐を応援しながら見てたもんなー。

ただ、実際の事件を綿密な取材によってフィクションに構築したという山崎豊子の原作なので、この事件自体に対する興味で見ている。佐藤栄作とか角栄とか福田赳夫とか大平正芳とか、みんな、実在の人物をモデルにしてることが一目瞭然で、しかもそれっぽい役者がちゃんと演じているのも面白いし。

それ以外の視点でこのドラマって見られるもんなの・・・? 「一人の男と2人の女」というキャッチコピーで煽ってるけど、松たか子真木よう子キャットファイトとか胸焼けがしそうなんだけど。

んで、今回、社会党の若手議員として亀ちゃん登場。これがすごいよかった! (時代劇以外の)テレビドラマの亀ちゃんは割と不器用に見える(婉曲表現w)んだけれど、その「思い切って怒ったり叫んだりできる」という特質をすげーうまく生かしてたと思う。国会で与党を激しく糾弾しながら声が裏返っちゃうところとか、にこにこしながら見ちゃったわー。

あとモックン弓成より格段に「できる男」っぽい、大森南朋のかっこよさも引きになってます。しっかし、このドラマ見てたら、大森=山部=ナベツネが生き残っていくわけだ、と思っちゃうよな。そういう意味で救いもなさそうなドラマだ。