『龍馬伝』第3話「偽手形の旅」
弥太郎(香川照之)の演技は図抜けている。坂本家の謹厳ながらも自由な雰囲気、岩崎家の破れかぶれでも愛ある夫婦の様子もいい。聡明だけれどどこか暗いものを隠し切れない大森南朋の武市半平太にも期待できる。
なのに、なのに、肝心の主役、龍馬の物語にどうも感情移入できない・・・!
由々しき事態である。だってさー、第1話は徹底して乱暴狼藉を働く上士たちに立ち向かい、第2話は泥んこになって堤防づくりして農民と和解、第3話はチンピラ博徒たちを自慢の剣の腕で追い払い・・・って、なんか、レベルが水戸黄門か暴れん坊将軍並み・・・。や、それらを馬鹿にしてるわけではない。でも、あっちは娯楽時代劇というものに忠実にやってるからそれでいいわけで、だけどこっちは曲がりなりにも歴史の大きなうねりを描く大河ドラマという看板を掲げてるわけじゃないですか。なんか、安っぽすぎて・・・。
ま、こうやって、「大河ドラマとはうんぬんかんぬん」なんてすぐ言い出す視聴者を向こうに回してのドラマ作り、大変なんだろうけどさあ・・・。
今後もけっこうな出番があって、間違いなくヒロイン扱いされるらしい広末涼子とのシーンにも、これまで一筋ほどの萌えすら感じられないのもつらい。脚本の福田靖は、「恋愛パートは月9も真っ青のラブロマンスに仕立てます」なんて豪語してたらしいけど、広末の加尾ちゃんの魅力がちぃーとも伝わってこないよ? 彼の書いた雨宮(松たか子)や内海(柴咲コウ)はかわいかったのに・・・。来週からの貫地谷さんに期待しといてもいい?