文月の十七 / 杷木ICで降りて朝倉 「葡萄の樹」

●7月某日: 別府3日目。6時過ぎに起きて、部屋でゆっくりと長風呂。はー、極楽極楽。サクと夫もあとから入ってくる。朝食は昨日に引き続き、部屋で和食をお願いしていた。昨日とは全然違うメニュー。揚げ出し豆腐、かますの塩焼き、温泉卵やイカの酢の物がおいしい。おかずが多すぎて、結果、ごはんがすすむよね・・・。食後のコーヒーもおいしい。チェックアウト、したくな~~~い! でも時間はやってくる。スタッフさんに心からお礼を行って、さよなら。

ローカルデパート・トキハでおみやげをいろいろ買って、のんびり帰路につく。途中、朝倉のおいしいアップルパイとカレーのお店、『葡萄の樹』に寄ることにした。杷木ICで降りると、そこここに積みあげられた土砂や流木。氾濫して堤防がめちゃくちゃになっている川。コンビニの駐車場には自衛隊の車両。扉や窓を開け放ち、床をすべて外した家や店・・・。途中、ちょっと路肩に車を停めて後ろのトランクを開けようと車外に出たら、すごい砂煙が立った。路傍に寄せられた土砂が乾いてきているのだ。

何のボランティアもせずに申し訳ない気持ちになるけれど、子どもを含めた家族でこの光景を見たことを、これからにつなげていきたいと思います。

で、「葡萄の樹」でリンゴカレーとアップルパイのセットを、美味しく、心を込めて、いただいてきた。豪雨の10日後くらいから営業再開されていて、こちらには土砂はあがらなかったのか、以前と変わらない様子に見えました。

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帰宅後、何はともあれ洗濯。夜ごはんはお蕎麦でいいね~なんて言ってたけど、結局「なんか辛いもの食べたい」と夫が言って、トマトソースの辛いパスタになった。作ったのはもちろん夫ね。子どもは辛くないやつね。

 

文月の十六 / 別府旅行その2 高崎山のサルA群の謎

●7月某日: 朝日が差し込んできて目が覚める。サクも早起きして、さっそく温泉。半露天になっている広いバスルームは部屋と全面ガラスで仕切られていて、様子がどちらからも見える。それが、妙なラブホテルみたいなのではもちろんなくて(笑)、とても清潔感のあるつくりになっていて、開放的。リゾートっぽいというか。私も風呂に入る。

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朝食は部屋まで運んでくれる。とても豪華! 「ひよっこ」を見ながら。いつもながら、旅先で見る朝ドラも趣深い。みね子が恋を失い、20歳になって、人生初めてのお酒を飲んでいた。

今日はまず「うみたまご」へ向かう。別府は海の町なんだなーと思う。ここ10年近く、大分といえば湯布院とか日田とか玖珠とかにしか来ていなかったので忘れかけてた。

パノラマ水槽をゆっくりと回遊するトビエイとか、底のほうに溜まってるネコザメとか、小さな水槽にいる小さなエビたちとか、照明を受けて次々に色を変えるクラゲとかを見てサクがはしゃぐ。付き合ってる時代に一度も水族館デートなんぞしなかった私たちだが、子どもができてからもういくつの水族館に行っただろうか。マリンワールド、天草、品川、下関。ちょっとした通だ。「あー、水族館って癒される」としみじみ言う夫に癒される、鬼の声音がブーム中の妻、私である。

ここではイルカショーのほかに「あそびーち」というコーナーでイルカと触れ合える。小さな砂浜つきの真水の浅いプールに、イルカもろとも、人間も裸足で入れるのだ。タッチはできないけどイルカが足のすぐそばまで・・・キューキュー泣いたり、ハァハアいったり、ビシャッと跳ねて水しぶきをかけてきたりする。超かわいい。そして子どもは砂の中の貝殻探しに夢中になるという・・・w 

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そばの木には、なぜか、種類の違う立派なカメレオンが2匹もいた。しかも放牧状態w 妙な感動だったw 

うみたまごを出たあとは高崎山へ。私は初めてで、完全放牧しかもめっちゃ足元まで来るって知らなくてけっこうびっくり面白かった。

モノレールを待っている間に、高崎山のちょっとした歴史や伝説のボス猿等について展示で知識を仕入れる。今はB群とC群で合わせて千数百匹の猿がいるらしいんだけど、A群について「平成14年以降、えさ場に姿を見せなくなった」っていう記述が超気になる! ネットリサーチしたら、どうも群れの争いに負けて数が激減したらしい。そのまま全滅したのか、本当の野生の猿になったのか、BとCにしれっと混じってる子もいそうで、ミステリアスな話だ。

 

雨がザーザー降ってきたので早めにホテルに戻り、私はスパでフェイシャルのトリートメントを受ける。至福。夜ごはんは、地元の居酒屋へ。鶏天、鱧の湯引き、関アジなど食べる。鱧って、さばくのがどんなに大変か、つい最近「みをつくし料理帖」で見たばかりなので、家族に説明しつつ、ことさら味わったよw でも鱧って確かに、福岡の居酒屋でも見ないなあ。

サクが「たべすぎるなよ!」と親にくぎを刺す。ホテルでの2次会も楽しみにしているらしい。いっちょ前な子どもに育ててしまったw

 

文月の十五 / 別府旅行その1 「おまえは地獄に耐えられるか~」

●7月某日: うー、ゆうべも遅くなってしまったので眠い。しかしサクにたたき起こされる。早々に旅行の準備をしているようだ。そして私にも早く準備しろしろしろしろとうるさい。家をあけるとなるとね、直接的でない仕事もいろいろあるのだよ、大人には・・・。

早め・軽めの昼ごはんを食べて出発。高速道路から見ただけでも、朝倉・杷木の惨状がわかる。とりあえず今は通り過ぎる。途中、くすSAで休憩を挟むと、ちょっと目を離した隙にサクと夫がソフトクリームを買っていた。地獄ソフトクリーム食べようと思ってたのに・・・。いいけどさ。

途中、断続的な雨と激しい霧の中を別府に到着。サクにいきなり「今から地獄をめぐる」と言うと、「え? え? どゆこと?」と本気で驚く。そうだよねw 本当の地獄ではなく温泉を利用して作られた観光施設である旨、簡単に説明するが、「さあ~最初は、う~み~じごくだ~」とか「つ~ぎ~の地獄に~おまえは耐えられるか~」とか「か~ま~ど~地獄」とか、地底から蘇った鬼をイメージした声音で喋るのがツボにいっちゃって(私が)、いつまでもいつまでもしつこく言ってたら、サクに「かーちゃん、やめろ」と本気で嫌がられたw それにしても地獄、暑いね・・・。ソフトクリームも一瞬ででろでろになりそうだったから早々に辞去したよ・・・w 

ホテルにチェックイン。例によって夫にすべて任せているのだが、今回、彼、ちょっとはりこみました(沖縄旅行がダウンサイズしたからだろうw) リビングとベッドルームが分かれていて、専用半露天風呂とシャワーブースを備え、別府湾のオーシャンビュー。あー、いいね、いいね。のんびりできるねー。部屋でだらだらするのも旅の楽しみ。自宅でもできるだろ!って思われるかもしれないけど、違うの。なんか違うのよ。旅用の本もちゃんと持ってきたよ、2冊。

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(部屋を物色)


さっそくひとっ風呂浴びて、ホテルの中を散歩したりもして(1Fにいい感じのライブラリーがあって、そこで新聞読んだり)、今日の夕食はホテルの鉄板焼きのお店。カウンターに並んでコースをいただく。焼き物は目の前でシェフがやってくれる。牛肉はもちろんだけど、イカと何かの貝もめっちゃ美味しかった・・・。さつまいもの冷製スープもびっくりするほど美味しかった・・・。部屋に戻って、2次会。サクは8時を過ぎると「もうねようぜ」と言う。疲れてたんだね。

夫とワイン飲みながら3次会。「プロフェッショナル仕事の流儀」に宮沢りえ。おもしろかったー。対話だね。やっぱり、一流の仕事に大事なのは対話の力だね。それはものすごくエネルギーを費やすこと。それをできるかどうかって、結局、人間力が問われるような・・・。と思って見てたら、最後の「プロフェッショナルとは?」という質問に、「“対・相手”が生まれること。そこに誠実であり、身を削る覚悟がある人」という答えで、おおおお~その通り!と思った。

 

『現代の地政学』 佐藤優

 

現代の地政学 (犀の教室)

現代の地政学 (犀の教室)

 

 

『恐怖の地政学』 を読んで面白かったので、地政学についてもっと読んでみたいなー、前のはアメリカ人の著作なので今度は日本人が書いたものがいいな、と検索して出てきたこちらを購入。

面白かった。講義形式ですすめられるので、読みやすいっちゃ読みやすい。でもこれ受講生はどんな人たちなんでしょう(笑)。この講義をするっとまるっと理解できるには地理や歴史(日本史・世界史両方)、政治経済、その他、各種の学術的な素養が必要だなと思う。私は、はー、ほへーって感じで口開けて聞いてる(読んでる)みたいな箇所もしばしば。でもそれを含めて面白かった。自分に足りないものがわかるしね。とりあえず、やっぱり山川出版社から出てる大人のための世界史の本を読むことを2学期の目標にしたい。

で、そういった基礎的知識が不足していても、さまざまな小ネタが楽しめるのがこの本である。

たとえば、領海とか排他的経済水域といった言葉はニュースでもよく見るし何となくわかってるけど、その線を実際にどうやって引いているのか? 

領海って、一年で一番高潮になったときに海面に出ている地面の線から測るんですって。本州だの九州だの大きな島だけじゃなく、もちろん小さな島からも領海を数える。だけど岩や暗礁は除外される。

じゃあ、島と岩の区別は? 日本最南端の島、沖ノ鳥島は現状、本当に「島」なのか?

なんて話が、中国の人工島問題と絡めて示される。何が正で何が偽か、何が善で何が悪かという単純な話ではない。さまざまな現象現実に対してできるだけ整合性・連続性のある理屈付けをして国益を得ていくのが政治なんだなと思わされる。それは会社員時代の企業経営でも感じていたことで、だからといって上の地位にある者が冷酷だったり非道だったりして良いという言い訳にはならないけど、そういう「土俵」にまったく無知・無関心なままでは議論や提言も分断されたままだよなと思ったりする。

何とか頑張って読んでいると、この人が唱える「海洋国家」「ハートランド」の話は何となく見えてくる。日本史についても、衒学的とまではいかなくてもなかなか独自の認識を感じるところもあるので、何から何まで鵜呑みにするのはちょっと危険かなとも思うけど、「自分の言説は独自ですよ」という雰囲気をちゃんと出しているので逆に誠実なのかも、とか。

日本軍は日露戦争(1904)からノモンハン戦争(1939)まで実戦から遠ざかっていた、だからその34年間の間に軍人は官僚化し、書類づくりや図上演習、派閥運営に長けた人が評価されるようになっていた。企画立案も、実行も、評価するのも自分たち(軍人)。だから評価は成功か大成功かしかない。これは現代の日本外交と同じで、外務官僚が企画立案し、実行し、自分たちで評価する。自分が現役だったころは、自民党の政治家はもっとしっかりしていて、官僚の仕事を評価するのは政治家と世論、そしてマスコミだった。今は「機密だから」といって事前に目標も言わない。終わってから「こういう目標を想定していて、それはすべて達成した」と言う。・・・・・って話、なんか、納得してしまう。

 

文月の十四 / 試験でチョンボ

●7月某日: 「きょうのキュウレンジャー、めっちゃおもしろかった~!」とサクが興奮・うっとりしながら語っている。TLに、キュウレンジャーは多様性がすばらしいというフォロワーさんのつぶやきが流れてきた。うれしい。何話も録画されてるから夏休み一緒に見てみようかな。来年か再来年あたり、出演俳優さんきっと朝ドラにもくるよねw

10時から、雁瀬さんのワークライフバランス勉強会へ。今月のプレゼンター、あずささんとは5月のこの会で知り合って、それからfacebook上でちょくちょくやりとりをしている。彼女らしい率直な言葉が、その場の全員の心に深く響いているのがハッキリとわかった。摂食障害などを経験し今も道途上という彼女のテーマ「弱いままで進もう」は、つい先日読み終わった奥田知志の本に書いてあった「相互多重型支援」にもつながる視点だと思った。

後半のディスカッションは「母親の自己肯定感」について。いろいろな意見が出て、あっという間の1時間。脱線もまた良し。

私が思うのは、母親の自己肯定感はそりゃ高いにこしたことはないけど、そのために、お母さん本人に頑張りを求めすぎると、ただでさえ「いいお母さんじゃなきゃプレッシャー」が少なくない世の中、さらにお母さんを追い詰めることになってしまうのではないかと。

自己肯定感って自分ひとりですぐに上げ下げできるもんじゃない。大事なのは、環境や、周囲とのかかわり。特にまずもって配偶者との関係だと思う。そこにアプローチするのが難しいから、どうしても「お母さん、がんばって」とか「お母さんと子ども、がんばって」という企画が多いんだろうけど、踏み込んでいってほしいなー、誰かに(おい)。

さて、勉強会終了後、そのまま放送大学の試験へ。「学生交流室」で、誰とも交流せずに復習しながらおにぎりを食べて試験に臨んだんだけど、30分経って途中退出するとき、ハッとした。みんな、教科書見ながら問題解いてるやん・・・・!

えええええええええ!!!! まさかの、持ち込み可能だったのだ。チェックを怠ってた。。。ガチ実力で受験してしまった・・・。まあ、たぶん実力で大丈夫だと思うけどさ。これで落ちてたら、泣くよね。

(※追記: 後日の成績通知、マルAでした。90点~100点相当。オホホホホホホ。またひとつ賢くなってしまったぜ・・・w)

夕方、ランニング5キロ。暑い。ていうか、朝も昼も時間なくてあんまり食べれなかったのでエネルギー不足だった。夜ごはんは、焼きイワシ、かぼちゃときゅうりのサラダ、ひじき、ミニトマト。イワシが超絶おいしい・・・!

 

文月の十三 / 絵を見に行く / 投票率アップ考

●7月某日: 夫は八女でお葬式に参列。留守番の私とサクは、まず午前中少し、いなとみさん主催の主婦の勉強会へ、会場がとても近くだったので(サクがもたないと思ったので最後の30分ほどだけ)。

勉強会では投票率とか国民投票の話があったけど、私は「投票した人には○○をあげます(商品とか割引券とか)」には反対。そもそも選挙制度(政治)は自分たちのためにあるもので、何かもらうために行くものにしてしまったらダメだと思う。何かをもらうことで満足してしまったらいかんと思う。

ここんとこ何年も、どうせ(野党は)負けるんだろうな~と思いつつ投票して、ふたを開けてみたらホントに惨敗で、ホントその夜は落ち込む。テレ東の選挙番組で池上無双を見ても笑えないくらい落ち込んでる(笑)。

でも、その落ち込みが大事なんじゃないかな? それが有権者としてのコミットなんじゃないかな。そうやって落ち込むからこそ、その後の日々でも、1市民として政治のことをそれなりに気にしながら暮らしてるんだと思う。投票して、ご褒美の物品をもらって満足したら、そこで完結してしまうじゃないですか。完結しないでずっと続くのが政治参加なんじゃないでしょうか。

結局、投票率を上げるには、「投票しましょう」 「投票がどんな大事か」と、草の根で地道に呼びかけていくしかない・・・というか、それが根幹にあるべきだと思います。
次世代には学校や地域ぐるみで教育態勢を。5月のNHKスペシャル(憲法70年)でもやってたけど、日本会議もかなり長年、草の根活動やって、ここまできてるようだったし、ヒトラーのナチスもそうだったんじゃないかな? 草の根ってバカにできない・・・。

・・・なんてこと言ってたら、現実には投票率、上がんないんだよね(笑)

いなとみさん、「ママじゃな」に乗せたレポートを見て喜んでくれていた。まあそりゃ喜んだリアクションするよね、立場上w

続いて天神へ出て、サク念願のマックで昼ごはん、そこから赤坂まで行くのに、まともな天候なら余裕で歩けるのだけど、なんせ気温が35度…。サクと相談の結果、地下鉄に乗っていくことにする。全日本アートサロン絵画大賞の、福岡入選作品展示点。しほちゃんおめでとう。

(facebook投稿より)

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この季節にぴったりのような、白いワンピース、ブルーの背景。

大人の女性(というか彼女自身)なのでしょうが、どこか少女のようにも見えるし、表情も何とも言えず、静けさに身をまかせているようでもあり物言いたげにも見えて・・・虫が飛んでたりして。

受け手に委ねてくれる作品です。

他の方たちの作品も本当にすてきで、息子(小1)と一緒に一枚一枚、面白く拝見。
最近思うんだけど、息子も、写真を見たり絵を見たりするの、けっこう好きみたい。
楽しいよね。鉛筆画の作品を見て、「これ、ぜったいえんぴつなくなってるな!(=1本使い切ってるな)」と言いきってた(笑)

私にとって、絵を見る時間は心の自由を感じる時間。とてもいい気持ちになります。
水引を使った作品、すごかったなあ。クレパス画の表現力の豊かさにも驚かされました。

 ◆

で、天神に戻ってサクがお小遣いでナノブロックを買った。「ほか、どっか行きたいとこある?」「ほんや!」 本屋が好きになってくれたんだね・・・お母さんうれしいよ・・・行こう行こう! 夜ご飯は、うなぎ。2,3年ぶりだったと思うけど、ダメですか・・・。養殖がんばって、うなぎ・・・。美味しかった。あと、にら玉とか、ナスとか、キュウリと春雨のサラダとか。

『おんな城主直虎』 第39話 「虎松の野望」

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新しい物語の始まり。その中心にある虎松の躍動感! 躍動感っていう言葉でいいのかどうかちょっと迷うんだが、あの顔芸w 先週のあさイチ・プレミアムトークで、その美少年ぶりを「国民の宝」なんて称されてた役者だと思うんだが、「え、春日…? 鬼瓦…?( ゚Д゚)」ってなったもんw ともかく、「井伊の赤鬼」正しく爆誕しました✨

とにもかくにも、この回だけを見ていても、虎松はそんなに単純な人物造形ではないと思うんだが、体当たりぶりに迷いがない、若いけれど十分なキャリアを感じさせる菅田将暉の演技である。

前回のラスト、挨拶の後の「おや、おとわさまどうかなされましたか」。ここで浮かんでいる不敵な笑み。質問調の言葉とは裏腹に、己の凛々しい若衆ぶりを己で承知しているひとコマだった。豊かな井伊谷の采配をふるっているのがおとわだと知ると鬼瓦になるのは虎松の幼さでもあり異様さでもあるw 感情が強いだけじゃなくて、沸点に達するまでが速すぎであり、他者から見ると謎タイミングw そしてそれに慣れている亥之助ww

TLでも言われているとおり、虎松は井伊の人々のハイブリッドで、直親の美丈夫ぶりとモテ(と、人でなしw)、しのの激情家ぶり、おとわの発想力や実行力そしてカリスマなどを引き継いでいるのだろうが、それだけでなく政次も彼の中に息づいている・・・と示す、「ド接近で懐柔」シーンであったw 六左、恍惚とした顔をするんじゃないww 井戸の底に眠る無念の人々の中に、但馬の名もちゃんと連ねる虎松である。

「(笛よりも)絵が上手」という設定は史実に拠るものなのかな? 劇中でもどのように行かされるか楽しみ。松下の家の虎松の部屋、無造作な描き散らしの数々がよい感じだった。井伊から届いたお守りに「いける気がする」と虎松。めっちゃ少年ジャンプやなw 「勝負はあきらめなければいい」ああ、この子、但馬にだけじゃなく、直虎にも囲碁の薫陶受けてたよね!

松下の当主
「おまえはいい子だが才気走ったところがある。才気は時に、人に煙たがられる」。

正しい批評眼をもつ人物なのだな、というのと同時に、「井伊の人々の思いを胸にがんばってね」という直虎の送辞と比較すると、虎松の、“今の父”はこの人だったのだなとわかる、心のこもった訓戒である。しのさんも再嫁してよかったね、としみじみもする。

短い時間で人物(や、人物同士の関係)を表現する描写が相変わらずうまいのは、瀬名と信康の登場にもあらわれた。あ、その前に、南渓、おまえさんってやつぁ!(定例) でも、嫌いじゃないよ、その俗っぷり。虎松の「ますます頂戴したくなりました!」には、確かにみなぎったもん。

で、瀬名ちゃん。艶やか~! 眼福~! 扮装の美しさもさることながら、時代劇経験のさほど豊富ではない(と思われる)女優が存外に落ち着いたセリフ回しを見せるのは、『江』での水川あさみを思い出す。人品高貴で穏健そうな信康との親子関係も良好でありつつ、賢く采配を振るっている様子の瀬名ちゃん。家康もいの一番に「瀬名は何と言っていた」と尋ねるあたり、正室として軽んじられている様子もなくとりあえず安心した。まったくもってとりあえずでしかないけど。

家康の方も、子狸なりに貫禄がついている。家臣団の充実ぶり! 人数も、いい役者も、この最後の「立身出世編」のためにちゃんと予算を配分しておいたのね。プロデューサーの能力の高さがうれしい。たぶん妾のほうも質量ともに充実してるんだろうなっていう家康であるw 

そう、今回、時が流れてびっくりしたのは、家康がかなりまともになっていたこと。妾の膝でひとり懊悩もしていたが(笑)、瀬名の意を聞き、榊原の意を聞き、鷹匠にも並んで相談し、忠次に前もって案を打ち明けていた。殻に閉じこもるように一人で碁をうち、配下に暴走され、直虎に一言の言葉も言えなかった彼は、消えていなくなったように見える。成長なんだろう。でも、史実を思えばまだあれがあるからね…。

鷹匠のノブ。何かと思えば、ノブって、そういうことね~。六角精児はさすがに、油断のならない知恵者をうまく演じる。家康、ダブル本多など、昨年あれだけ魅力的なキャラクターが出てきたその翌年に、こうしてまた別のキャラクターが見られるなんて、大河の歴史でも稀なことだ(たぶん)。「賢さ」ひとつとってもバラエティ豊かに描かれるのがよい。榊原康政も賢くて有能そうで、「アクがないのがアク」って感じがして楽しみ。

そこへいくと、未だにキャラが謎なのは常慶だな。『ごち』ファンが愛する和田正人を配しておいて、こう地味なまま終わるわけはないはずだけど、『陸王』のほうにも出るらしいから、撮影のスケジュール大丈夫かしらん。と要らぬ心配。ええ、私もごちファンですから。

虎松と家康との出会い。

翌日には「ヌッ殺す!」になってたわけだがw 初めて家康をあおぎ見た虎松は、ハッと感銘を受けた表情になっていた。確かに、虎松を見下ろす家康は、実に滋味深い表情をしていた(阿部サダヲ、さすがにうまい!)。話しかけるために身を乗り出すと、家康の顔に日がさす。

「井伊が千年、万年続くよう、福にみちるよう」万千代、万福という名付け。虎松も亥之助も、松下は優しく実母の愛を受けて育ったけれど、やはり影の人生だったのかなと思う。初めて日なたから声をかけられ、輝かしく祝福されて日の当たる場所に出た。今回冒頭「井伊がつぶれて○年」っていうナレーションが斬新だったよねw 主人公の家(曲がりなりにもちゃんとした家)がつぶれたあとも続く戦国ドラマ。

が、翌日の手のひら返しまで含めての佐渡・・・もとい鷹匠ノブの策なわけで、まじ性格悪いキャラがまたw 才気あふれる若者はさっそくやりこめられる。しかも歴戦のつわものぞろいの眼前で。「かくなる上は、日の本一の草履番となってみせます!」 すばらしいね、すばらしい。草履番からの出世って、正しい戦国立身出世ストーリーだろう。ここからジャンプ漫画 井伊直政の大河ドラマが始まるんだね!

草履番宣言をする虎松を見て、みのすけがおかしくてたまらないというように哄笑していたんだが、「よからぬことを主君の耳に吹き込んだ側近が悪い」のような捉え方はせず、ストレートに「家康ヌッ殺す!」になるのが虎松の大物っぷりである。「血の一滴残らず狸汁にしてくれるわーーー!!」こういう悪口にちゃんと工夫がある(そして過激w)なのも、森下さんの脚本だわよねw

才気あふれるこざかしい若者の立派な口上、ここからが井伊万千代の人生なんだな。
おとわは女でありしかも出家までしたにもかかわらず、誰もいなくなった井伊の領主になった。虎松は井伊の跡取りとして生まれながら、途中でその座を取り上げられたにもかかわらず、自分の意思で領主になろうとする。逆なんだね。2人は。

家を潰し名前を捨てたとはいえ、おとわの心の中にはいつも井伊の人々がいて、かしらよりも井伊谷を選び、領民の安定した暮らしのために陰ながら尽くし続けている。いわば「名を捨てて実をとった」わけで。

そこで「いや、実だけじゃダメだ、名もほしい、井戸の中の無念の人々のために」と、虎松は若さと才気で突っ走ろうとしているのだけど(早々に鼻っ柱を折られたのだけれど)、名を取り戻す意味ってなんだろう? 実だけじゃダメなのか?

というのを、今回めっきり分別のついた中年女の挙措になっていたとわとの対峙で描いていくのかな。楽しみ。

そして亥之助! 大見得きったあとしょげ返り、逆上する虎松・・・を窒息させんばかりにおさえつける亥之助。小野の者の役目だね~。虎松の足バタバタがたまらんくかわいい。彼のエキサイトに慣れていて、それだけでなくアンガーマネジメントを知っている(感涙)。才気あふれる虎松に亥之助が必要なわけがよくわかる作り。度胸やオーラがあるのは虎松だけど、亥之助は決して追いかけるだけの従者じゃないんだよね。囲碁での対局。「そうきましたか」と笑っていた。一方的に負ける間柄ではないということ。

度を超えてワーワーいったあと、「名前の札が・・・」と具体策を思いつく。この喜怒哀楽や、理性と感情など、境目を一瞬で飛び越えて見せる七変化が虎松なのだね。

 

文月の十二 / 初めての美容室

●7月某日: 午前中勉強して、近くのカレー屋さんでひとりランチ。今日が1学期最後の給食。明日からに向けての、気合い注入!とばかりにスパイス摂取。
奥田知志さんの『「助けて」と言える国へ』を持って行って、読み終わったんだけど、最後のほうかなり何度も泣きそうになってしまった。

夏休み間近でテンション高いサク。今日は「きょうで きゅうしょくさいご!」と出発し、帰ってくると「おかわりした!」と最後の給食を満喫したもよう。「あしたはきょうかしょいらん! はしもいらん! ふでばこだけ!」とすごく喜んでいる。

夕方、どんぐり文庫へ。語り聞かせは『なまくらトック』ほんと面白いよねw サクもギャーッて息をのんでいた。7月生まれの彼はお話のろうそくを吹き消す役目も。夜ごはんは、広島風お好み焼き(ボンラパスでゲット)、かぼちゃのグリル、きゅうり。夫は2日連続で飲み会。今日もサクを寝かせてから夜勉。

 

●7月某日: ついに終業式。1学期、1日も休まず学校に行ったサク、超えらい。別に皆勤至上主義なんかじゃ全然ない私だが、だからこそ休まず行けたってことが驚きだ。ま、でも、まだまだ始まったばかりだね。サクの長い長い学校生活。本人は「きょう、きょうかしょが1こもない~! かるい~! ひるでかえれる~! あしたからずっとやすみ~!」とテンション高く登校していった。学校が楽しくて楽しくてたまらなくて行ってるわけじゃないんだよねw

サクが帰ってくるまで勉強。




午後はサクと一緒に美容室。先に本屋に寄って、待ち時間&施術中の読み物に『りんごかもしれない』を買ってやった。ヨシタケエイスケの絵本ほんとうに面白い。2人ともカットしてもらって、私の方があとに終わって店を出てからサクが

「かみをあらってもらってない」

と言う。シャンプーしてほしかったらしい。「え・・・戻って頼んでみる?」「うん」 そんなにしてほしかったのか~! してもらった。よかったね。夜ごはんは、かぼちゃとピーマンとひき肉のカレー炒め、ナスの揚げ浸し薬味たっぷり、オクラ、トマト。夏の食卓。ビール、久しぶりのワイン。美味しかったー。

 

「メールくれくれ企画」への私信と、過去の日記が更新される理由

モッペトさん、メールありがとうございました。
アドレスの記載がなかったのでこちらに失礼します。

直虎楽しいですよね~! 私は以前の朝ドラ『ごちそうさん』を始め、脚本の森下さんの作品はいくつか見ていて、森下さんが書く男子はほぼ100%近く、かなりのだめんず成分を含んでいると思っています。但馬がなつさんと懇ろになったのは思ったとおりでした(笑)。今後はもちろん虎松が楽しみですね~!

梨木香歩さんの本で『春になったら苺を摘みに』を一番好きだという方は、自分の周囲には直木賞作家・三浦しをんとモッペトさんだけかも~! いえ、三浦しをんさんとは知り合いでも何でもありませんが(笑)。『村田エフェンディ滞土録』も、割と読書好きの方が「退屈で途中でやめた」とか言ってて悲しかったことがありましたが(笑) そうなんです、ラストがものすごく印象的ですよね。「西の魔女…」は、若い頃(25才くらい?)に読んだ時はピンときませんでしたが、ここ数年、やはりすごく好きになりました。梨木さんは「万感迫る」という表現がぴったりのラストシーンを書く作家さんですね。

過去の日記が更新されるのは・・・、よく聞かれるのですが(笑)

もともとは普通のブログのように、その日(前日)の日記をアップしていたのですが、リアルな友人知人にオープンになってきたころ、「あまりにリアルタイムな個人情報は書くがわにも見る側にも生々しいかな…」と思って、2~3週間タイムラグをもうけてアップすることにしたのです。そのタイムラグがだんだんたまっていって、今では2か月以上前の日記を更新している状態です(笑)

それでは、また。メールありがとうございました。

 

衆議院解散して希望という闖入者きたる

民進党の件、残念だ・・・と思ってたけど、これはこれでいいのかもッスね。

首相の「やっと臨時国会ひらいたかと思ったら冒頭解散」、
「国難突破解散」という、戦時中か何かみたいな説明にもびっくりしたけど、
希望の党とかいう羞恥心のない名前で結党する小池百合子にもびっくりなら、
対等合併でもないのにそこに合流するという前原誠司にもびっくりだ。

「リベラル(な候補者)は排除する」って、すごい言葉だな。
仮にも政権を担当しようと期す党が、リベラルを排除するって…皇国か何かですか?

でも、憲法と安全保障政策で相容れなければ公認しないっていうのは、
まあ、わかりやすくていいのかもしれない。
小池百合子は日本会議のメンバーでゴリゴリの大日本帝国憲法派のはずだ。
「リアルな安全保障」ってのがよくわからんので、ぜひ具体的に説明してほしい。
(どうせしないんだろうな)

民進党は安保法案にも共謀罪法案にも反対してたけど
実際には当時から、右から左までいろんな人がいたんだろう。
結局、政権もない・議席もない、甘い汁のない状態で考え方が違いすぎる人たちが一緒にいたから、今までずっとゴタゴタしてたわけよね。
お別れは必然よね。

安倍自民は右派。
小池百合子は極右。
だったら “極右が排除する” リベラルな人たちで連合勢力を作ってほしい。共産党も入ってよし。
それがもっともシンプルでわかりやすい構図。

その三つ巴でリベラルが大敗するなら・・・
それがこの国の意思なら、また戦争やって一億総ざんげするしかないのかもしれん。

「とにもかくにも安倍政権を終わらすために、いったん小池と結ぼう。
 希望が政権をとってから、小池に反旗を翻せばいい」
という論も散見するけど、うーん・・・。
やっぱり頷けない。

選挙って青天白日のもとで行われるもので、18歳の子たちも投票する。
若い人たちや、いずれ選挙権を得る子どもたちに、
選挙とは、政治とは、そういう「腹芸ありき」「大人の事情」なものだと教えたくない。

そりゃ実際は、腹芸や大人の事情がなくなりはしないよね。
でも、その前提が当たり前になっちゃいけないと思う。
堂々と自分の政治信条、政策を主張して、
それをそのままシンプルに受け取って、投票できなければおかしいでしょう。
選挙のときの言葉が、その後、変節したらおかしいでしょう。

そこがテキトーになってるのが、根本的な問題なんじゃないだろーか。
そのテキトーさを私たちが許してるから、
政治家の側もどんどんエスカレートしていくわけで。

安保や共謀罪法案のときの政権与党の国会運営はおかしかった。
モリカケも問題だけど、私が怖いと思うのは、議事録や日報の扱いがずさんだったり操作している可能性があること。「戦闘」を「武力衝突」と言い換えるような欺瞞。
「丁寧に説明する」と言いながら何の説明もなく解散したのもおかしい。
「選挙は最大の論戦の場」いや、議論ならまず国会でやれよw

都知事選、代表選は何だったの?という希望の党周辺もおかしい。
日本会議は怖い。

と、私は思う。
「いや、政局というものはね…」なんて知ったような顔はしたくない。

だいたいね、小池さんとゆー人は、
選挙のときは反・安倍で票を集めといて、
選挙が終われば、改憲とリアルな安全保障に関して自民党と連帯する
・・・ぐらいのことは、平気な顔でやってのけるんじゃないですか? 

改憲が悪いって言ってるわけじゃないんだよ。
改憲も安全保障も結局たいした議論はされない状態のまま決まりそうだから怖いの。

今、リベラルの旗印になるようなカリスマ政治家はいない。
頼りないっちゃ頼りない。
でも、票が集まれば、おのずと有能な人が現れると思う。
リベラルをちゃんと主張する議員の議席を少しでも多く確保しておきたい。
今は多少頼りなくてもいい。

右派と極右の政党が議席の大半を占める・・・
そのうえで、改憲案に盛り込まれるだろう「緊急事態条項」が発令されれば、
与党がOK出すまで、もう選挙は実施されない。
今すでに「国難」って言ってる首相だよ。
改憲が成れば、すぐに「緊急事態条項」適用しちゃうんじゃないの。
昔、そういう時代が日本にあったのよ。
大政翼賛会・・・。

残念なのは、自分の選挙区では民進党の候補の方に投票できそうだったのに・・・って部分。たぶん、前原さんについていかれると思う。
霞を食べて生きていけるわけじゃないし、議席は大事だもんね、、、。昔から、前原さんとのご縁があるようだし。一人の政治家の人生を思えばしょうがないんだろうな。
でも、うーん。希望から出るなら投票できない気がする。ギリギリまで迷うとは思うけど。

で、facebook見てて思うことは、
2年前、安保法案のときは、ものすごーくたくさんの政治的な投稿(賛成も反対もどっちもあり)が流れてきてたのに、
その頃に比べて、倍以上の「facebookのお友だち」がいる私のタイムラインには、
今はほとんど、解散選挙についての投稿がない…。
みんな、興味をなくしてしまったんだろうか。
わかる、わかるよ。
選挙結果を見る前、解散の状況の時点で、もう目を逸らしていたいくらいうんざりしてるもん、私も。

・・・ということで、安西先生を召喚。
みんなはどう思ってるの?

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追記:友だちからのコメントの返信を記録

改憲も安全保障も、確かに小池さんのいうとおり「リアルに」考えなきゃいけないと思う。(当の本人は選挙前には当り障りのない説明しかしないだろうけど)

改憲するか・しないかという二択の答えを出すより先に、どういう国でありたいか、どういうやり方で国を守るかの議論をもっとしてほしいんだよね、政治家主導で。

右派は説明不足だったり過激な言葉で扇動したり、今のずさんな政権運営・・・
左派は具体策に乏しい、正直お花畑感はあると思う
そんな右と左が対話するにあたって前提となる知識が国民全般に不足してる感がある(自戒を込めて)。

20世紀のうちは、何かっちゅーと「軍靴の音が聞こえる」的な発想に鼻白んでたけど、今はこれだけ世界のあちこちで分断が深まってるからなあ…。戦争を知らない私たち、戦争になる想像も、戦争にならない想像もあてにならないわけで。