如月の五 / 米アカデミー賞、スピーチの数々

●2月某日: 夫とサクがちょっと大きいショッピングモールに行くのについていくことに。サク、久しぶりのゲームセンター(私はもっと久しぶり)。
夫「ここで何度も見かけた子が、久しぶりに見たら成長してる!」常連かよおまいらw 10年ぶりくらいにダウンを新調した。かわいい。満足。昼ごはんは初めての「資さんうどん」。
 
「パラサイト」が作品賞をとったの始め、米アカデミー賞が熱い!

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facebookより)
 
「パラサイト 半地下の家族」まだ見れてないけど、韓国の成熟を象徴する出来事として納得感がすごい。文化が成熟してる国は政治も成熟してる。逆も然り。おめでとうございます! 
 
日本はといえば、前日、オリンピックの開会式でアイヌの舞踊を除くという発表が。萬斎さん、がっかりだよ?? 日本も、政治とアートを私たちの手につかみたい。以下、アカデミー賞関連で興味深いトピックいくつか。
 

1.ポン・ジュノ監督受賞スピーチ

 
「何よりも韓国の観客たち、映画ファンに感謝したい。彼らは躊躇せず率直な意見をくれる(批判も含め)。だから韓国映画はここまでこれた。彼らがここまで押し上げてくれた」
 
↑ 韓国のクオリティを象徴してる。基本的に観客以上の作品は生まれないんだよね。有権者以上の政治が生まれないのとも同じでw
去年、韓国のアイドルのオーディション番組を30時間(!)にわたって見た。日本と全っ然違うからね人の在り方、育て方が。アイドルひとつとっても。
 

2.松たか子のお着物、賛否両論

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これもなー。そもそも私はお松が大好き。日本が誇るすばらしい俳優であり歌手だと思ってます。
着物が肌に吸いつくような着こなしは梨園の育ちならではだし、総絞りはそりゃ高いでしょう。でもそれって日本人にしかわかんない感覚、価値観。
着物文化はすばらしい。だからこそ今回は「否」の意見のほうに惹かれる。
(追記 和装そのものではなく “どんな着物を着るか ” という話です)
 

3.メーキャップ賞を獲った日本出身のカズ・ヒロさんのコメント

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授賞式の後、現地の朝日新聞社にコメントを求められ
「申し訳ないのだが、私は日本を去って、米国人になった。日本の文化が嫌になってしまい、日本では夢をかなえるのが難しいからだ。それで今はここに住んでいる。ごめんなさい」
 
↑ こういうコメントを本当に大事にしたいなって思う。ノーベル賞の後も毎回出るよね。
 

4.主演男優賞、ホアキン・フェニックスの受賞スピーチ

 
「最近、我々が直面する悲惨な問題について考えてる。
 ジェンダーの不均衡、人種差別やクィア・ライツ、先住民の権利やアニマル・ライツ。それらはすべて不正義に対する戦いだ。
 ある一つの国、一つの人種、一つの性別、ひとつの種がその他を支配し、利用し、搾取することが罪に問われないのはおかしいと思う。僕は戦う」
 
ホアキンは先般の英国アカデミー賞の受賞スピーチでもめちゃ痛烈。
 
「受賞は光栄。でも葛藤がある。この賞にふさわしい多くの仲間たちがいるのに。
 この賞は、有色人種の人々に「君たちはこの業界に歓迎されていない」というメッセージを送っている」
 
◆ 
 
アメリカやイギリスが、あるいは韓国がものすごくすばらしい社会だと言いたいわけじゃない。
英米社会には白人の欺瞞があり、韓国では芸能人の自殺が多い。どんな社会にも問題はあるし、ホアキンが言うように、いま人類は喫緊の共通課題を前にしている。
 
ただ、英米のアカデミーに評価されるか以前に、日本国内の各種授賞式の中で、こういうスピーチやコメント、議論が生まれることすら想像できない。
 
日本のエンタメや文化は、社会と切断されてる。
ましてや、グローバルな世界とは隔絶されたところにいる。
 
なぜ? 
私たち観客が、社会ともアートとも世界とも切断されてるからだろう。
お年寄りはともかく、若者は「それでいいじゃん」って思わないでほしい!
せめて、わたし世代(中年)のお年寄り化に抵抗したい! パスポート切れてるけど(笑)