『3年A組』 終わりました

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菅田くんサイコパスの謎解きミステリーかと思いきや、平成最後の熱血先生だった『3年A組』でしたが、その中心テーマが【SNSリテラシー】なのが現代性なんでしょうね。

顔が見えないやりとり。
匿名の不特定多数が集うSNS
軽い気持ちのつぶやきでも、重なって束になるとものすごい威力となり、社会的にあるいは実際に人を殺してしまう。

「ネットの情報の真偽を確かめず、ノリでお祭り騒ぎに加わってはならない。目の前に相手がいるとしたら何にどう傷つくか? 想像力を働かせていろんな可能性を鑑み、自分の頭で考えて、自分の言動に責任を持たなければ・・・!」

主に中高生向けのドラマなので、大事なことはストレートにセリフで説明してくれる柊先生(菅田将暉)です(笑)

確かに大事なテーマだと思う。遡ること数年前、フィギュアスケーター安藤美姫が未婚の母になったことを告白したとき、ネット上の無責任な放言暴言に怒り心頭に達していた私だ!

みんなが柊先生の言葉を心に留めてSNSと付き合ってくれたらいいのですが、なかなか難しいでしょうね…。
SNSそしてメディアリテラシーを問われるべきは、中高生よりも、まずもって大人だと思うからです。

柊先生がクラスの生徒を人質にとり、一人ずつの嘘や欺瞞、心の弱さを容赦なく暴いていくたびに、

「18歳をそんなに追い詰めないであげてぇー😭 
 子どもたちは大人の姿を見て育ってるんだから、自分の頭で考えず周りに流されるのは当たり前なのよぉー😭 
 まずは大人が変わらないといけないのよぉー😭」

と心で泣いていたわたくし。
いっそ、生徒じゃなくて先生や親を人質にとって立てこもってくれたらモヤモヤしなかったのにな…。って、それじゃ学園ドラマにならんわなw

“ 本当は熱血教師で、本当は私たちのことを誰より真剣に考えていて、命を懸けて教え諭してくれる ” 先生に、徐々に子どもたちは心酔していくわけですが、各所に爆弾をしかけ自分だけ情報を握り、力と恐怖で教室を支配して、怒鳴るどころか殴る蹴るの暴行まで加えて生徒たちを目覚めさせていく柊一颯さんのやり口は、パワハラどころかDV人間といって差し支えないので、10代のみなさんは現実にああいうタイプを肯定してはダメですよ! ストックホルム症候群とか調べてね!!(老婆心)

それはともかくとして、回を追うごとに視聴率も上がり、中高生を中心に大きな支持を集めたというこのドラマ。

今の若い人は子どもの頃からスマホSNSを通じた人付き合いをすることで、より空気を読みあい、より軋轢を避けたがる傾向にあると言われるけれど、本気で怒って説教して最後は一緒に泣いてくれる先生(大人)、泣いて叫んで間違いも弱さもカッコ悪くさらけ出す仲間たち、そういう「生身のぶつかり合い」を魅力に感じるんだなあ~とホッとするような。

29人の生徒たちが、タイプはそれぞれ違えど、全員ナイーブな子どもとして設定されているのも今どきだなあと思いました。体育会系も、イケメンも、人気者者もお調子者も、全員に悩ましい屈折がある。

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そして生徒たちの演技が全員うまくてびっくり! 彼らの涙にはいつもリアリティがあった。最終回、手錠をかけられた先生を見送る生徒たち1人1人の表情のすばらしさ! 
菅田将暉は、最初のころの教室での露悪的な芝居はどうもフワフワして見えてノレなかった。菅田くんにも難しい演技ってあるんだなと思ったものです。でも、本心をあらわにしたストレートな叫びの芝居や、時折見せる、裏腹の虚無的な表情はさすが。最終回のライブ中継も、痛々しさも含めすばらしかった…

最後、すべての目的を果たして憑き物が落ちたようになった表情での生徒たちとの別れ、そして元カノと顔を合わせて見せる初めての頼りなげな顔! 思わずホロリときてしまいました。ええ、結局、菅田ファンなので…😅

菅田ファンを5年以上やっとりますが、息子役、弟役、若手役・・・みたいな役を多くやってきた彼が先生になって生徒たちに慕われている姿にはしみじみ。

フィクションでも、生徒(役)たちを前に主演として教壇に立つって独特のプレッシャーや責任感があるだろうなと思う。

役作りとはいえ痩せに痩せて、渾身の力で乗り切った連ドラのお仕事だったんだろーな。次のステップに向かってたくさん食べて力つけてほしいものです❣️

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追記

そうそう、万事ストレートにセリフで説明するこのドラマの中で、最終回、すべてが済んでから柊先生(菅田くん)が「死ぬのは怖いなあ…」って独りごちたところだけが非説明的なセリフで、最後の最後にこの言葉を置く作り手はやっぱりいろいろ意図的なんだなと納得だった!

余命1年と告げられていた柊先生。だからこそ こんな無謀な計画を企てたのだろうし、「警察に踏み込まれて射殺されようがかまわん!」ぐらい強気な顔をし続けていたけれど、本当は怖かったんだ。ずっとずっと怖かったんだよね…と考えると、よりいっそう柊先生=菅田くんが愛おしく感じられます(キモ


もとい、
無敵みたいに見えた柊すら、死ぬのは怖い。人間として当たり前の感情。だから人は死ぬまで精いっぱい生きたいのだし、そんな誰もが尊重されるべきなんだ。と思いました。