『真田丸』 第27話 「不信」
今日の #真田丸、落首事件のエピソードが効いてるなあと思った。秀吉はタガが外れれば一族皆殺しを平気でやるし、秀次はそれを見てた。落首事件で命を賭した諫言が容れられなかった三成はもう何も言えない。頼みの綱、寧の言葉すら秀吉を動かせない。来るべくして悲劇は訪れる。
能の極意を「後ろから己を見る」的に言ってたけど、結局宇喜多の「殿下のためにー!」宣言もあり、秀次は秀吉の姿のみを意識して舞っていたんだろうな。沼田裁定のときといい今回の叙位といい、秀吉がいなかったり源次郎を守ろうとするなどのときはとても理性的で良い判断をするのにね #真田丸
前回きりが秀次に「自分の話ばかり」と言ったけど、秀次にはそれが癒しだったんだな。いつも秀吉の目に怯えてるから。能の「己を後ろから見る」は前回のおばば様の「己のさだめを知れ」にも似ている。誰かの目を気にするより己を見つめる。「己のための戦をする」精神が大事というか。 #真田丸
しかし「人を気にしない、己を見つめる」って本当に難しいんだよねえ。信繁は兄を思って叙官を拒み、信幸は弟の言動に激怒する。でも自分で言ってたように「時間をおけば」自己解決しそうな器の大きさが信幸にはあるかも? てか対面であれだけぶちまけられる信幸OKだよ。来週が楽しみ。#真田丸
てか、嫁2人が手をつないで泣いてる様子を見ると、蚊帳の外の苦しみ味わってるの君だけじゃないよ、って感じになるね。実質的に側女として信幸に扱われていてもおこうは今もつらいんだよね。日陰の身だから。稲は妻として扱われていないと感じてるんだよね。まぁ稲も頑ななんだけども。#真田丸
おこうの「あなたよりもっとつらい者がいる」という言い方にはやっぱり引っかかるんだよなあ。自分と相手どっちがつらいかって本来判断できないししちゃいけない気が。この「人と比べた意識」は後に引きずるものなのか、それとも単に「それでも励ました、励まされた」ってことでいいのか #真田丸
何にしても、稲が嫁いできたの19話だから、ここの膠着関係めちゃくちゃ長引いてるよなって思うけど、もしかして関が原までこんな感じでいくんだろうか…稲ちゃんこのまま京住まいになって離れ離れになるのかしらん? #真田丸
おこうはどうしたて正室の稲を意識せざるを得ないし、(このまま大名の妻として京住まいになったとして)遠距離になった状態でもしおこうに子ができれば稲もおこうを意識せざるを得ない。今日も手を握ってたけど、この2人も「相手の目を意識せざるを得ない」関係として描かれるんだろーか? #真田丸
父と子。兄と弟。妻と妻。叔父と甥。相手を意識せざるを得ない関係が数多く描かれる中で「己を見つめることが大事」と変奏的に繰り返される。でも「己のための戦」をした氏政や利休は滅んだよなー。戦国サバイバル難しい。主人公は最終的に戦死だからサバイブが勝ちってわけじゃないのかも #真田丸
のちの歴史を前提に見ていると、秀秋の裏切りと共に、寧が豊臣から離れていく萌芽も感じた。家族の皆に芋を振る舞えるようなことが寧にとっては何より大事だったろうに、それが否定され失われていくんだよね。弔いすらされない秀保が哀れというのもあるけど、寧自身が傷ついてる感じがした #真田丸
立て烏帽子姿の秀次、新納さんって大和和紀の「あさきゆめみし」から抜け出たような貴公子だな。秀次の運命はもちろんわかっているわけだけど、こういうふうに描くのかーと三谷さんにはやはり瞠目させられる。能が出てきたのも面白かった。豪華な衣装! そして下手くそな源次郎w 堺さんおつかれさまです(笑)。
秀次が秀吉を過剰に恐れているようだけど、落首事件を思い起こせばやはり怖いのもわかるんだよね。そして秀吉のほうも秀次を気遣いかわいがっているようで、やはり疑心暗鬼があるんだと思う。ここは先週のやつし比べからの連続でもある。皆が政権に媚びへつらっているのを悟りながらどうすることもできず先週はへらへらしてたけど、甥っ子が自分のために上手に舞うのを見ると甥っ子だけに正直な怒りをあらわにしてしまう(ここ、酔い方といいキレ方といい、小日向さんさすが巧かった~!)。
秀次に絡めて小早川秀秋まで仕込んでるのもさすがの手練れ。秀保の遺体が運ばれていく映像のインパクトがすごかった。棺ですらないという。ああいう形のカゴって罪人を乗せて運ぶやつだよね…。
あちらこちらで滞留し、あるいは噴出する不信。正直、信幸の“不信で激おこ”は脈絡が乏しかったように思ってる。お兄ちゃんが蚊帳の外だったり信繁に劣等感あったりは序盤で触れられていたけど、ちょっと連続性が途絶えていたというか、そのフェーズはもう卒業したんじゃなかったの?というか。
お兄ちゃんは徳川の養女格の稲を娶り、沼田城のあるじになり、大名として遇されているわけで、堂々たる嫡男ぶりじゃないですか。秀吉の近くにいるとはいえ源次郎とはある意味ずいぶん差がついているわけでねぇ。その沼田の運営が叔父上のダダでうまくいってなかったり稲が相変わらずだったりが描かれてたけど、それでおこうの胸に飛び込んでいってちゃ世話無いよ、と。
でもあそこで本人に向かって怒り爆発できるのが真田家と豊臣家の違いだし、「怒っとったのうー、ま、大丈夫だ」というパパの脱力っぷりに笑わされた。それよりなにより伏見の普請なんかやってらんねー、という(笑)。あのシーンの草刈さん超よかったな。TLで、信幸のキレ方が薫ママにそっくり」っていうのを見て確かに!と思ったわ。
でも悩んでもキレても自力で解決しそうなのが信幸のこれまでの実績で、鬱屈を抱えながらもせっせと城の土仕事みたいなのしてたシークエンスを思い出すんだよね。いや、この流れで稲・おこうともちゃんと対峙するのかな。してほしいんだけど。稲ちゃんの孤立ぶりはさすがに長すぎてかわいそうな気が。浜松からついてきた侍女的な存在もないし。
おこうと稲のシークエンスには感動的というより「これ長引きそうだなー」ってちょっとゾクッとした。「知らないでしょうけどあなたよりつらい思いをしている者がいる」てやっぱり穏やかじゃない発言よ。稲のつらさをおこうには測れない。おこうのつらさを稲は測れないように。この2人の関係と寧~茶々の関係って相似・対比になるのかな。
ま、なんだかんだいって嘘のつけない信幸は、己を生きるんだろうなーという感じはする。んで、最近は切ない顔が多かったきりちゃんが、久しぶりに信繁と再会してウザさ全開だったのが超よかったですよね、「初恋の女」認識はともあれ(なぜきりちゃんが源次郎を好きになったかは描かれていない)止めてくれと言わんばかりの振り返りながらの退場、きりちゃんの真骨頂だw きりも信繁といてこそ自分らしくいられるんだろうなあ。
翻って、きりといるとものすごいチベスナ顔の信繁の「己」ってなんだろう?と考えたり。信幸は「抜け目ない」と評したけど、いろいろ気を回して立ちまわっても信繁は大して役に立ってないどころか事態を悪くしているような・・・? でもそうしながらもいろんな人間に好かれてはいるんだよね。だから、いろんなものを見てしまう。それが信繁の己であり業なのかな。ううーん。
共感や自律心はとても大事だけど、そこに傾きすぎると日本人の性質的に、同調から逃れ得ず萎縮したり逸脱者への排斥を強めたりにもつながる。#真田丸 で「己のさだめを生きる」、#とと姉ちゃん で「それぞれの暮らしの尊重」とどちらも自分本位を打ち出してるのは今を生きる作家の感覚なんだろうな