『真田丸』 第27話 「不信」

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立て烏帽子姿の秀次、新納さんって大和和紀の「あさきゆめみし」から抜け出たような貴公子だな。秀次の運命はもちろんわかっているわけだけど、こういうふうに描くのかーと三谷さんにはやはり瞠目させられる。能が出てきたのも面白かった。豪華な衣装! そして下手くそな源次郎w 堺さんおつかれさまです(笑)。

秀次が秀吉を過剰に恐れているようだけど、落首事件を思い起こせばやはり怖いのもわかるんだよね。そして秀吉のほうも秀次を気遣いかわいがっているようで、やはり疑心暗鬼があるんだと思う。ここは先週のやつし比べからの連続でもある。皆が政権に媚びへつらっているのを悟りながらどうすることもできず先週はへらへらしてたけど、甥っ子が自分のために上手に舞うのを見ると甥っ子だけに正直な怒りをあらわにしてしまう(ここ、酔い方といいキレ方といい、小日向さんさすが巧かった~!)。

秀次に絡めて小早川秀秋まで仕込んでるのもさすがの手練れ。秀保の遺体が運ばれていく映像のインパクトがすごかった。棺ですらないという。ああいう形のカゴって罪人を乗せて運ぶやつだよね…。

あちらこちらで滞留し、あるいは噴出する不信。正直、信幸の“不信で激おこ”は脈絡が乏しかったように思ってる。お兄ちゃんが蚊帳の外だったり信繁に劣等感あったりは序盤で触れられていたけど、ちょっと連続性が途絶えていたというか、そのフェーズはもう卒業したんじゃなかったの?というか。

お兄ちゃんは徳川の養女格の稲を娶り、沼田城のあるじになり、大名として遇されているわけで、堂々たる嫡男ぶりじゃないですか。秀吉の近くにいるとはいえ源次郎とはある意味ずいぶん差がついているわけでねぇ。その沼田の運営が叔父上のダダでうまくいってなかったり稲が相変わらずだったりが描かれてたけど、それでおこうの胸に飛び込んでいってちゃ世話無いよ、と。

でもあそこで本人に向かって怒り爆発できるのが真田家と豊臣家の違いだし、「怒っとったのうー、ま、大丈夫だ」というパパの脱力っぷりに笑わされた。それよりなにより伏見の普請なんかやってらんねー、という(笑)。あのシーンの草刈さん超よかったな。TLで、信幸のキレ方が薫ママにそっくり」っていうのを見て確かに!と思ったわ。

でも悩んでもキレても自力で解決しそうなのが信幸のこれまでの実績で、鬱屈を抱えながらもせっせと城の土仕事みたいなのしてたシークエンスを思い出すんだよね。いや、この流れで稲・おこうともちゃんと対峙するのかな。してほしいんだけど。稲ちゃんの孤立ぶりはさすがに長すぎてかわいそうな気が。浜松からついてきた侍女的な存在もないし。

おこうと稲のシークエンスには感動的というより「これ長引きそうだなー」ってちょっとゾクッとした。「知らないでしょうけどあなたよりつらい思いをしている者がいる」てやっぱり穏やかじゃない発言よ。稲のつらさをおこうには測れない。おこうのつらさを稲は測れないように。この2人の関係と寧~茶々の関係って相似・対比になるのかな。

ま、なんだかんだいって嘘のつけない信幸は、己を生きるんだろうなーという感じはする。んで、最近は切ない顔が多かったきりちゃんが、久しぶりに信繁と再会してウザさ全開だったのが超よかったですよね、「初恋の女」認識はともあれ(なぜきりちゃんが源次郎を好きになったかは描かれていない)止めてくれと言わんばかりの振り返りながらの退場、きりちゃんの真骨頂だw きりも信繁といてこそ自分らしくいられるんだろうなあ。

翻って、きりといるとものすごいチベスナ顔の信繁の「己」ってなんだろう?と考えたり。信幸は「抜け目ない」と評したけど、いろいろ気を回して立ちまわっても信繁は大して役に立ってないどころか事態を悪くしているような・・・? でもそうしながらもいろんな人間に好かれてはいるんだよね。だから、いろんなものを見てしまう。それが信繁の己であり業なのかな。ううーん。