師走の十四 / 全日本フィギュア

●12月某日: 連休最終日。夫がサクを連れて買いだめの旅に出かけ、私は単独でポストとかコンビニ支払とかを回り、家から最寄りのスーパーに入ろうとしたところで、男子チームと、ばったり。こういうとき、我が子ってすごく小さく、ものすごーくかわゆく見える。

午前中はランチョンマット、午後は巾着袋をチクチク。これでそれぞれ2セットずつできたことになる。一緒に生地を買いに行ったとき、母に「簡単そうなものはとりあえず手縫いでやってみる」と言うと「すごく大変だし時間がもったいない。直線縫いだけできればいいんだから、1万円以下でミシンが買ったほうが絶対いい」と力説され、まー確かに正論だとは思いつつ、心が全然動かなかった。ミシンのことなんて全然知らないし、興味もない。なのに、まず、数ある中から自分のニーズに合うミシンを選ぶため、店員さんに話を聞いたり口コミを調べたりして、買って、持って帰るなり配送してもらうなりの手続きをし、開梱して、ミシンの使い方をマスターして…って、それだけでひと仕事になるのが嫌だったのだ。手縫いは、時間はかかっても、縫うことそれ自体は単純作業だし、大昔に(家庭科でw)縫い物をしたことがないではない。そっちのほうが、何かしらの生成物ができるまでの工程の数が少ない気がした。

あと、会社員時代、日々の仕訳伝票を作ったり、そこから集計作業をして決算書を作っていく仕事をしていたころ、「もしシステムが止まりパソコンが使えなくても手で作れる能力が必要」というのが上司の持論だった。経理システムとか、エクセルに関数が入力されたフォーマットとか、そういうものがあれば、会計や税務の知識がなくても、機械的に数字を放り込んでいくだけで随分作業ができる。でも、それは仕事ができるとはいえない。ミシンより縫い針を選んだのも、その教えが身に沁みついていたからかも…って、大げさなこじつけw でも、実際に手を動かして作る要領をつかんで、それに要する時間も大体わかった今は、「そのうちミシンを調達してもいいかな」って思ってる。自分にふさわしい順番で物事を進められたようで、なかなか満足であーる。

サク、夜ごはんを食べきる前に寝てしまう。連休前から、そらもうがんばって遊んでた疲れがどっときたのであろう。

全日本女子FS、最終グループは昨日にひきつづき感動の嵐。みんなここ一番の集中力がすごい。点数もすごい。宮原も今井も125点台。村上は135点。安藤さんは技術点が伸びず106点に終わったが、スタオベを本当にうれしそうに見つめ笑顔で感謝する姿は、観客の拍手に包まれているというより、彼女が会場を包み込んでいるかのように、本当に大きく、あたたかく、愛情深く見えた。キスクラで点数が出てからも鳴りやまない拍手に、安藤さんの目から次々と涙が流れて止まらない(私の目からも)。私は彼女の挑戦を決して忘れないと思う。彼女を気に食わないというフィギュアファンもいっぱいいたけれど、彼女はやっぱりものすごく愛されたスケーターだったんだな、それは愛されるに値するスケーターだったということだよな、と思う。

直後のインタビューで、たどたどしくも、「手堅く演技をまとめるか、あるいは自分のもつ最高難度の技(3S-3Lo)に挑むか直前まで考えていて、最後は自分らしく終わろうと後者を選んだ。結果、失敗したけれど悔いはない」と話していたのも印象的だった。そして、そのことを、演技中、3Sに失敗した瞬間に解説の荒川さんが指摘していたのも。浅田真央のフリーでの3A×2回といい、素人から見ると正気の沙汰とは思えない(笑)のだが、選手が、自分にとって最高の(最後の)舞台で、自分が一番やりたいことをやる、というなら、誰も止められないし、その結果、勝ちを逃したからといって責めたり侮ったりすることは絶対できないだろう。

144点をたたき出した鈴木明子の「オペラ座の怪人」は鳥肌モノだった。今季、SP「愛の賛歌」は早くから名プロとして確立されていたけれど、FSのほうは、やや消化不良といった感があった。しかしここへきて、ものすごくドラマチックに仕上げてきたのはさすが。ノーミスとはいえ3-3などの大技もないのにこの高得点、と批判的な目を向ける人もあるけれど、私は今回の演技、前年のワールドでキムヨナの「レミゼラブル」(148点)を見たときと同じぐらいの興奮を感じたね。見た目と点数の乖離、というのはフィギュアスケートの命題のひとつだけど、なんだか、「結局は見た目どおりやん」と思うときがけっこうある。最終滑走の真央さんといえば、緊張を一身にまとったような登場で、3Aは2本とも失敗し、その後も回転不足などジャンプでのマイナスがいくつかあって、正直、今回は脇役に回ったようだった。まさかの総合3位。腰の具合が悪いらしい。そうでなくても、GPS開幕以来ずっと好調だったから、ここらでいったん下がってもおかしくないと思うし。

今日のフジの放送では、最後の代表発表だけがライブ放送だった。どんな番組やねん。ペア、アイスダンス、女子と発表して最後に男子。焦らすなあ。3人目の名前は、「高橋大輔」!! 聞いた瞬間、「やったー」「おめでとう」とは違う、息をのむしかないような感覚。けれど会場は、ロゲ会長が2020年を「TOKYO!」と発表した瞬間と同じ種類の盛り上がり方だった…とツイッターで流れてきてちょっと笑った。泣いてる人も多い。てか、みなさん、今日の試合は女子だけだったのに、ちゃんと大輔タオル&バナーを持ってきてらっしゃるwww 
東京にいる親友が、今日は会場観戦だった。ちょこちょこメール交わしながら見てた。武田奈也さんに握手してもらったらしい。そこへ宇治原が挨拶にきてたらしいw