サクことば20 満2歳6か月 「パパとどこに行ったの?」

今からひと月近く前の記録。

●「お風呂沸いたよ〜。サクちゃん、お風呂入る?」と私が聞くと、逡巡なく、「サクちゃん、おりょうり したいの」と答えた。おおお、れっきとした会話だ、そして、れっきとした文章でしゃべってる。

●一方で、夫とふたりで出かけて帰ってきたあとで、「サクちゃん、パパとどこに行ったの?」と尋ねると、「パパ、あっち いる」と洗面所を指さす。夫はそこでうがいをしている。

「パパ(は) どこに行ったの?」に対する返答をしているわけだ。「電車とバスと新幹線」のように、同じようなカテゴリのものを並列するときの「と」は、使い方をマスターしていて自分でもさかんに口にするのに、「パパと(一緒に)どこに行ったの?」または、「パパと(サクちゃんは)どこに行ったの?」のように、「と」のあとに何かが省略されている形になると、そこが理解できず、理解できない部分である「と」を抜き去って、「パパ どこに行ったの?」という意味に解釈したんだな。

パパと(あるいはママと)出かける→帰宅後に、第三者に「どこに行ってきたの?」が質問 というのは、割とよく繰り返している流れであり、これまではだいたい、「でんしゃ のった」とか「パパのくるま」とか「すべりだい シューって」とか、それらしい返答をしていたので、まるで違った意味に解釈されたのにはびっくりだった。けれど言い換えれば、これまでは雰囲気で捉えていたのであって、だんだん、言葉そのものを正確に聞こうとするようになっているのかもしれない。

●ちょっと難しい言葉や言い回しで返答されて、理解できなかったときは、「なあに?」「なあに?」と繰り返し問い返す。

●言い間違いに気づくと、指摘されるまでもなく言いなおす。「ちょっと、ママ、どいてー! …パパ、どいて!」みたいに。

●2歳4か月の記録に「替え歌づくりをマスター」とある。

「♪アイアイアイアイ アイスクリーム すきすき〜」という歌。実際にアイスを食べた後、「すきすき〜」の部分を「おいしかった」に言い換えて歌ったり。「♪めがね めがね めがね〜」という歌を、ごはんの後、「おはし おはし おはし〜」と歌ったり。

これも、たいした言語能力だよねえ。替え歌には大きくふたつの制約があるよね。「1.あらかじめ決まっている音符の数にぴったり合う言葉をあてはめなければならない」 「2.歌詞を替えても文法的に正しくなければならない」 このどちらをも満たす替え歌が、今も、日々(というと大げさだが)作られてる。もちろん、考え込んで作ってるんじゃなくて、単なる思いつき、即興なわけで、それぐらい脳がパッパッと動いてるんだなあ、と。

子ども向け番組の、歯磨き啓蒙コーナーで「仕上げはおかあさーん」というフレーズをメロディーつきでやる。ある日、夫が仕上げ磨きをしようとしたときに、「しあげは おとーうさーん」とサク。(ちなみに我が家では、普段はパパ・ママ呼びをしている。)それも面白かったんだけど、後日、夫が大根をおろし始めたところ(なんか夫が家事・育児をしている描写ばかりだが…w)、それを見つけて飛んできたサクがのたまっていわく、「サクちゃん! サクちゃんも するよー! ♪しあげは サク〜ちゃ〜ん」。替え歌を、まったく別のシチュエーションに使うのか! と感心した。「仕上げ」って言葉の使い方は、当たらずとも遠からず。