サクことば38 やりもらい問題、自動詞・他動詞の区別など

いわゆる「やる/もらう問題」の混乱はまだ続いている。

・サクが食べているお菓子を見て、私が「それ、パパがくれたの?」と聞くと、「ううん」と否定し、「サクちゃんがくれたの」>。正しくは、サクちゃん「に」(パパが)くれたの、か、あるいは、サクちゃん「が(パパから)もらったの」というところ。

 「くれる/もらう」などに関しては、言い間違い(意図を正しい語法で表現できない)だけでなく、大人の言うことも、まだうまく理解できないことがあるんだな、とわかった。とにかく、やはり、「サクちゃんが、サクちゃんが」という自分中心の認識なので、「パパがくれたの?」などという言い方は、動作の主体がパパであるかのように思えて、違和感を覚えるのだろう。

・「ごはん を たべる」とか「ほっぺ に なんかついている」とか、「を」「に」の助詞は、ほぼ、スムースに使うことができるのに、こと、“自分”が主体になると、「サクちゃん が 起こして」(正しくは、サクちゃんを起こして)、「サクちゃん が ついてきて」(正しくはサクちゃんについてきて」など、間違うことがある。やはり、「サクちゃんが=常に自分が主人公」って認識。

・とはいえ、「サクちゃん にも やらせて」など、「に+も(格助詞+副助詞)」と助詞が重なる言い方をさらっとマスターしてくれてるようでもある。

・「やって」の意味で「できて」、「ちょうだい」の意味で「くれて」ということが、今もある。「やって」「ちょうだい」のほか、「くださーい」という正しい語法も、並行して出ている。

・最近は「サクちゃんが しちゃろうか?/やっちゃろうか?」と、しばしば言っている。博多弁で、「してあげようか?/やってあげようか?」の意味。「して/あげる」「して/もらう」「やって/あげる」「やって/もらう」などの複合動詞の意味を正しく区別するよりも、「しちゃる」「やっちゃる」のような一語っぽい方言のほうが、かえって理解しやすいのかもしれない。



自動詞と他動詞の違いや活用も難しい。

「かみひこうき、とぶよー! とぼうー!」と、何度も。「とばすよ」「とばそう」という意図。難しいよねぇ、「飛ぶ / 飛ばす」の違い。

「ティッシュが いすに はさんでる」 挟まってる、という意図。難しいよねぇ、「挟まる / 挟む」の違い。

・「くつした履いとく?」と尋ねると、「ぬげとく」と返答が。「脱ぐ」を活用させて「脱いどく」と答えるべきとこだけど、活用の間違い。気持ちはわかる。「脱ぐ」のほかに「脱げる」って動詞もあって、「自分で脱げる?」「サクちゃん、じぶんでぬげたよ」みたいなやりとりも普段からしてるわけで。

・子どもとの会話として、よく、
 ◆子どもが牛乳をこぼす → 子ども「ぎゅうにゅう こぼれた」→ 親「こぼれたじゃないでしょ、こぼしたでしょ」
ってやりとりがあると思うんだけど、サクぐらいの年だと、自分の過失を覆い隠そうとしての「こぼれた」発言ではなく、単に「こぼれる / こぼす」の判別が、まだうまくできないってことだよね。