『Dr.コトー診療所』

福岡で9月に再放送やってた。『大仏開眼』で吉岡秀隆に目覚めたので、見てみました。

このドラマ、何が泣かせるって、主題歌。中島みゆき最強! ♪銀の龍の背に乗って〜 っていうあの音楽が流れ始めると涙腺崩壊。

あの蒼ざめた海の彼方で 今まさに誰かが傷んでいる
まだ飛べない雛たちみたいに 僕はこの非力を嘆いている

急げ悲しみ 翼に変われ
急げ傷跡 羅針盤になれ 
まだ飛べない雛たちみたいに 僕はこの非力を嘆いている

夢が迎えに来てくれるまで 震えて待ってるだけだった昨日
明日 僕は龍の足元へ崖を登り 呼ぶよ「さあ、行こうぜ」

銀の龍の背に乗って 届けに行こう 命の砂漠へ
銀の龍の背に乗って 運んで行こう 雨雲の渦を

メロディーと歌詞、そしてドラマの内容とが渾然一体となって私を毎日号泣させていたのです・・・。もう一度言う。中島みゆき最強!

このドラマを見るにつけても、人生にはいろんなときがあるなあ、と思う。

この第1シリーズは、2003年の放送だったらしい。って、そんなに前なのか。人気があったこと、視聴率を獲ってたことは知ってた。周りで見ている人もたくさんいたし、その後、何度かスペシャルもあったし、確か蒼井優が出て第2シリーズも作られたよね。

放送当時、私は社会人3年生〜6年生ってとこ? 仕事も恋も遊びも、おもしろくて大変でとにかく忙しくて、家でドラマを見るなんていう時間の使い方、頭に浮かびすらしなかった。毎日が盛りだくさん、ハイスピードで、のんびりしたもの、しんみりさせるものが入りこんでくる余地はどこにもなかった気がする。刺激的なものに飛びついて、どきどきわくわくしたい時代だった。

それから何年か経った今は、こうして昼間も家にいて、子どもを抱っこしながらとか、寝ている間とかに録画しておいたこのドラマをひとりでいそいそと見ている。

空と海の美しい、ゆっくりと時間が流れる南の島で、でもそこだって天国なんかじゃなくて、けがや病気や死からは逃れられないし、離島ならではの問題もあるし、人と人とがいれば気持ちのぶつかり合いやすれ違いは起こるしっていう、それでも人は生きていく、だから祈ったり希望をもったりしたいんだっていう、そういうドラマを見て泣いてる。

もちろん人間の性質や感性はそうそう抜本的に変わるもんじゃないし、こんなに面白いドラマなんだから、いつ見たってそれなりに感動したと思うが、やっぱり私には、今が頃合だったと思うんだよね。それってつまり、いま頃合じゃないものでも、人生のどこかで、しっくりくるときがくる可能性もあるってことでもある。

それにしても、主題歌もそうだが、脚本も、キャストも演技も、いいドラマっていうのは、すべてが「これしかない!」ていうくらいにぴったりハマッてるものである。柴咲コウ泉谷しげるも地で演じてるだけなんだけど(失礼)全然許せるし、大塚寧々はうっとりするほどきれいだし、大森南朋は気弱な役場職員としか思えないし、なんか時任三郎を「いいな」って思うの初めてな気がした(笑)。吉岡秀隆のコトー先生の素敵さは言わずもがな。あの鼻声の舌ったらず、地の顔が泣きそうなのが、いらいらするんじゃなくてキュンとくる〜。