モスクワ世界陸上観戦、moonshine的こぼれ話

世界陸上5日目はモーニングセッションのみ。中日(なかび)ってことで、選手はもちろんのこと、スタッフや運営、並びに観客の休養日ってところか。私はモーニングセッションの観戦もお休みして完全休養日にしてみた。見てるだけなのに完全休養っていうのも変な話だが、今日は見ない方が、明日からまたフレッシュな気持ちで熱戦を観戦できるような気がして。

・・・・とかなんとか言いながら、TBSが夜に放送した前半戦ハイライトはバッチリ見たわけだがwwww

今日はワタクシ的モスクワ世界陸上こぼれ話で。

●なんのかんのゆーて、毎回、けっこうな放送時間を確保し、多くの競技を放映してくれるTBSには足を向けて寝られません。しかも、前大会より10時間も放送時間を増やしているそうです。でも、これ、もしかしたら前回テグ大会が通例より10時間短かったのかも。というのは、前回大会のとき、こんなログ(2011.8.30 http://d.hatena.ne.jp/emitemit/20110830#1314702787 )を残してるんですね、私。

3日目にして気づいたんだが、時差がないと、基本的に、放送時間全体としては短くなるのかしら。

陸上競技ってのはトラックとフィールドと砂場(←幅跳びね笑)など、同時多発的に行われているので、すべての競技をライブで見せるのは無理なのだ。よって、ライブでは、人気のある種目や日本人が活躍する種目を中心に放送することになるんだが、その他の競技の切り捨てられ具合が、前回よりも甚だしい気がする。

前回はベルリンだったので、その日のラストを飾る(100の決勝みたいな)競技は日本時間の朝4時半とか5時とかになっちゃうんだけど、それまでえんえんとひっぱって放送してたもんな。おかげで、煽りVTRも多かったけど、たとえば円盤投げとか走り幅跳びみたいな、日本ではマイナー扱いされてる競技も、録画であっても、けっこうゆっくり見せてもらえたんだった。

時差がないのはありがたいけど、なんとなくあっさりしすぎてる感もある、今回のテグ大会であります。

つまり、時差が少ない = 日本のプライムタイムと試合時間がバッチリ重なる = よほど日本で人気のある(またはメダルの獲れそうな)種目でないと視聴率がとれない ってことで、放送時間少なめになるのよね…。次回大会は北京、時差、日本マイナス1時間。むむーん。

●てか、2015は北京で、2017はロンドンに決まってるらしいけど。五輪とまるかぶりで、ちょっと面白くない。視聴者の勝手な希望としては、いろんな国、いろんな都市でやってほしい。でも、現実問題、スポーツの世界大会を開けるような国(都市)って限られてるんですよね、きっと。日本で次やるときは、福岡じゃないかと楽しみにしてるんだけど!

●モスクワは、時差、日本マイナス5時間(夏時間)。モーニングセッションは現地9時半から正午ぐらい(日本時間14時半〜17時)、ナイトセッションは現地19時〜22時ぐらい(日本時間24時〜27時)で、決勝などその日のメイン種目はラスト近くにもってこられるので、「お、始まった」とちょっと見始めたらズルズルと眠れなくなる・・・というパターンですねww でも学生さんとか、大人でも夏休み中で明日はのんびりするよ〜って日にはちょうどいいぐらいじゃないかな。

●時差がなければそれはそれでありがたいけれど、深夜、ひとりで(あるいは家族や友人と一緒でも)テレビにかじりついて、いろんな国の選手たちがとんでもなく速く走ったり、延々と走り続けたり、やたら投げたり跳んだりしてる姿を見続けるのも、一種独特な雰囲気があって好きでした、私。1997のアテネとか、1999のセビリアとかは、そんな感じで、ゆるーく見てたと思う。ブブカとか、マイケル・ジョンソンとか、モーリス・グリーンとかが活躍してたころ。大学生だったんで。

●ラジオもそうなんだけど、深夜だと、なぜか心理的に距離が近しく感じる部分があるんですよね。外国の音楽や映像なんかも、よく深夜に聴いてたものは、その夜の空気まるごと込みで覚えてたりしますよね。学生時代なんかは、まだ感性がすごく繊細で柔らかいので、そういう、「深夜の感じ」をたくさん経験するのって、すごく価値があることのひとつだなって、今になったら思う。たとえば海外旅行を経験するのと同じくらいに。や、何がどう価値があるかって言われたら困るんだけど…。

●ちょっとこの話、長々と書けそうだけど世界陸上からどんどん離れていくのでまたいつか別記事にしようっと(この記事同様、誰も読まなくても書きたいことを書ーーーく!)

●今は、小さい子がいて、昼の時間に廃人になることができないんで(笑)ライブでの視聴はさすがにできない。てか、そもそも年を重ねたらやっぱり朝型生活のほうが気持ち良くてね。なので、朝、普段より早く(子どもが起きる前に)起床して、テレビを占拠して、数時間前に終わったナイトセッションの録画をCMとか煽りVTRとかを飛ばしつつ見て、朝仕事にかかる…というのが流れです。モーニングセッションは、子どもの昼寝中とか、夕方の家事しながらとか、あるいは、夫も興味をもって見られそうな種目があったら夜の時間にも見る! そして細切れの時間でログを書く! 

●夫は「毎日おつかれさまwww」て感じで生ぬるく見守ってくれてます。わが夫はオタク気質のほとんどない人なんだけど、オタクに対してもフラットだし、そこそこ協力もしてくれるんでありがてぇ。「夏は4年に3回(五輪と、2年に1度の世界選手権)陸上の祭典がある」ってことを理解してくれてるようですwww あと、週に1度は大河ドラマがあって、10月半ばから3月まではフィギュアスケートのシーズン最盛期で、12月からは平均して月に1度は大きな国際マラソン大会があるっていうのも理解してるようです…www すまねぇなしwwww(会津弁)。やっぱり足を向けて寝られないのは夫だwww 大丈夫、並んで寝てますからwwww 春夏秋は仲良くホークス応援してますw

●さて、ヤフートピックスに織田さんがおとなしいとか上がってましたけどね、織田さんは最近、あんなもんですよ。放送を見てない方はご存じないだろうけど、織田さんの陸上リテラシーは日進月歩で、今や成熟してるといって過言ではない。伊達に15年以上もやってないのだ。あくまでミーハーなスタンスもありつつ、競技や選手にはすごく詳しい「シロートマニア」的なキャスターぶりが、私は好きですよ。変に「通」ぶってなくて。

●何年も、何大会も連続して見ていると、彗星のごとく現れた選手が王者になって一時代を築いたあと力衰えて消えていくとか、ずっと期待されているけど結果を残せないとか、思いもよらないアクシデントとか、ずっと芽の出なかった人がついに! とか、あらゆる物語に触れるわけですよね。競技そのものの面白さ、奥深さも知ることができるし。栄光や惨敗の一瞬だけを切り取とってお祭り騒ぎをするのもスポーツの楽しみ方のひとつなんだろうけど、そこには無神経さや残酷さもやっぱりあって、織田さんもそこからスタートしながら、今はもうそういう段階じゃなくなってるんだよ。毎大会見てて感じるし、私なんかも、織田さんと一緒に陸上ファンとして成長してきたんじゃないかなって自負してるww

●放送自体も日進月歩を遂げていて、10年くらい前は、やたら選手にひねったキャッチフレーズをつけまくって顰蹙かって、陸連からもダメ出しがあったりしましたよね。ここ数年は、かなり見やすいと思ってます、フジのフィギュアスケート番組(そもそもあれは中継ですらないからな)なんかと比べても。

●ちょっと最近、揺り戻しを感じもするんだけど(アリエス・メリット選手のNARUTO好きを煽りVTRでアピールしたり…)。というのは、世界陸上に限った話ではなくて、他局のシルシルミシルサンデーとか、テレ東の選挙特番とかでも、本業に関係のないところをピックアップして親近感をもたせるような手法が散見されるのでそういう潮流なんだろうなと。ああいうのって往々にしてエスカレートしがちなんで不安。

●前回大会から放送に参加している為末大は、そのときからコメントがいちいち面白い(トップアスリートだった人ならではの視点を視聴者にわかりやすく伝えてくれる)ので注目して見てるんだけど、今大会では活躍の場をさらに広げていて、「SNSを用いて視聴者と双方向のやりとりをする」って試みをやってる。もちろん競技の中継が第一義なので限られた時間でしかやれないんだけど、日ごろからTwitterを駆使してる彼らしい企画。テレビカメラの前でスマホをフリックしながら喋る姿に、ご年配の方なんかは眉をひそめそうだけど、私は面白いなと思って見てる。「400mハードルの選手は400mも速いの?」とか、「円盤投げの円盤の重さってどれくらい?」とか、寄せられた素朴な疑問にリアルタイムで反応していく。シンプルなやりとりでも、為末ぐらい話がうまければ、事前に用意した派手な煽りVTRを延々と繰り返すだけってよりもよっぽど面白い。次回以降も続くとみた。

●スタンドに各国各局のインタビュアーとカメラが配置されてて、戦い終わった選手たちが上がってきたところを捕まえてインタビューする算段になってる。そこで日本選手が立ち止まるのはまぁ自然なんだけど、他国の選手もよく捕まえてるなという印象がある。まぁ、ボルトとか、フレイザーとかのクラスになると、マスコミ慣れもしているし、勝ったあとは気持ちも良いだろうから、ファンサービス的にできるだけたくさんのインタビューに応じながら帰って行ってるのかなとも思うけど、それほどメジャーでない感じの選手も、けっこう話をしていってくれるんです。

●まあ、そこは競技直後なんで、2,3の型通りの質問に応えてもらったら、まだ次のレースがある選手の場合「Thank you and good luck!」、優勝した選手の場合「Thank you and congratulation!」と言って解放する、というパターンなんですけどね。外国の陸上選手の生の声を聞けることはほとんどないので、うれしいです。果たして、立ち止まってくれる外国選手は、ほとんどすべての国のインタビューに応えているのか、あるいは日本のインタビューをあるていど優先的に受けているのか? その場合、日本という国や日本のファンが比較的好きだからとか、ビジネス的に重んじているからとかなのか、インタビュアーの女性が若くて綺麗で声かけ上手だから(彼女はほとんど顔が映らないので確認してないんですが)ついつい立ち止まってしまうのか?

●何にしろ、インタビュアーが英語を話せるってのは大きいっていうか大前提ですよね。私が子どものころ(四半世紀前)は、アナウンサーが戦い直後の外国人アスリートに英語でインタビューする姿ってなかった気がする。んで、世界の選手は、ほとんど英語しゃべりますね、欧米人はもちろん、ジャマイカ人も、カタール人も、グレナダ人も。カタールのバーシム君(走り高跳び予選通過後)が、「アリガトウ」と言ってくれたり、400m決勝直後のキラニ・ジェームス(グレナダ)が敗戦の弁を口にしたり(あの場面で声をかけることができるインタビュアーの強心臓ぶりにちょっと驚嘆)、100m優勝直後のフレイザーが「コンニチワ〜」と陽気に挨拶するので「日本語お上手ですね」と水を向けると「日本人の友だちがいるのよ。エリコ、ハーイ!」と応えたり、日々、いろんな姿を見てます。

●どのスポーツでも「強い国」ってのがあって、時代によっても違って、陸上の場合、昔は欧米だったのが、ジャマイカをはじめとするカリブの国々、そして今、中長距離以外にもアフリカからどんどん選手が進出してきてるなって感じます。人種的にいえば、肌の白い選手と黒い選手が圧倒的に多い中、日本は伝統的に大健闘しているし、やはり中国の台頭もあります。投擲でも、跳躍でも、そして短距離でもすごい選手が現れていますね。

●また、同じ世界選手権でも、当然、競技によって雰囲気っていろいろ違うわけで、世界陸上独特の雰囲気は良いものです。たとえばフィギュアスケートなんかより、「お祭り感」が大きいなって思います。もちろん、人生を賭けて必死に出場してきている選手たちがほとんどなんでしょうけど、あのお祭り感。競技数がすごく多い = 出場選手数がすごく多いってのもあるし、トラック、フィールド、砂場…みたいに、同時多発的にいろんな競技をやってるからってのもあるのかな。オリンピックほど商業的な色合いがなくて、純粋に協議を楽しめる気もする。小さな国からの選手がやってくるのも大きいかな。

●たとえばグレナダのジェームスや、ジブチ共和国のスレイマンみたいに、すばらしい実力をもった有力選手もいれば、世界の強豪にまったく歯の立たない選手もいるんだけど、どちらも同じように、スポーツの祭典感を醸しだしてくれます。

●100m女子の予選で、やはり小さな島国から出場してきている選手が何人かいて、彼女らは13秒以上かかるんですね。スタートラインに立つと、ほかの選手たちとまるで筋肉のつき方も違って。解説の朝原さんがちょっと触れて「スカートを履いて走るようですね」とか言ったりして、それ自体、強国では考えられないことなんだけど、でも、だからってバカにするような感じは全然なくて、やっぱり世界で戦ってきた人だけに、すごくフラットな感じでね。

●世界には、これから陸上…というかスポーツを振興していこうっていう段階の国もあるし、スポーツどころじゃない国もたくさんあるし、世界陸上でしかお目にかからないような国もある。小さな国でも、ものすごく強い選手を輩出する国だってある。トップ選手同士は国を超えてチームメイトだったり、ライバルとしてお互いを認め合っていたり、ちょこちょこ会話しながら試合を進めていたりもするし(投擲や跳躍競技)、試合が終わったらノーサイドでやたら讃えあったりもする。なんか、そういうすべてを目撃して、感じるともなく感じるのも、世界陸上の楽しみの一つ。