テグ世界陸上3日め!

男子ハンマー投げ決勝。室伏が終始の大投擲で他を圧倒するゲーム展開。結果的になんと6投すべてがシーズンベストだったんだから、これはもう、横綱相撲といっていいでしょう(ハンマー投げだが)。とはいっても、一発逆転のある競技だから、最後までドキドキしたよね。事実、ラストひとりってとこでのポルシュとの投擲は6cm差だったんだもん! 

コズムス、ジョフコフスキらが健在なのもうれしかったけど、ナザロフって人が印象に残った。タジキスタンの陸連の会長らしい、現役選手なのに。しかもまだ20代なのに。すげー人望だな!笑

静かな表情をほとんど変えることなく、武士然として試合に臨んでいた室伏、最後の投擲を終えた瞬間ガッツポーズこそ飛び出したけど、ウイニングランでも喜びを爆発させるというよりは、たえず柔らかな笑顔をたたえていて、インタビューでも落ち着いた口調。大人だなあ。紳士だなあ。かっこいい。室伏。

織田さんのほうが感無量すぎて“なんも言えねー”状態になってた。かと思えば、カメラに背を向け、放送席から身を乗り出し、下の競技場に向かって手をふりながら「むろふしー! むろふしー!」と叫ぶし。いや、そんな織田さんが大好きなんですけどねw

この競技恒例で、メダリスト3人が横に並んでウイニングランをするシーンもありましたね。解説もこの競技恒例の小山さんで、感激屋の彼もやはり感無量になってた。とにかく本当におめでとう、室伏! 36歳での金メダルは、世界陸上史上最年長なんだって!

織田さんも私たちも余韻に浸ってばかりはいられなかったのは、その後まもなく女子400m決勝が始まったから。16才の頃から織田さんが応援している200mの女王、麗しのアリソン・フェリックス(現在25才)が、はたして初参戦したこの種目でも金メダルをもぎとっていくのか?! 

同じアメリカ代表で学生時代もライバルだったという現女王・サンヤ・リチャーズが最大のライバルかと目されていたが、準決勝と同様、やはり調子悪かったようで残念。アリソンに立ちはだかったのはもうひとりの有力者、ボツワナのモンショーだった! 中盤、力を抑えてしまったといった風情だったアリソンが最後の直線でぐいっぐいっと伸びてきて、あわやというところまで迫ったが、かわしきるまでの力は残っておらず、ほとんどハナ差ながら2位。いやー最後の叩きあいは興奮しましたが。

走り終わって座り込む姿を見ながら、考えてみたら負けるアリソンって初めて見るなと思った。すげー話だが。銅メダルはジャマイカ勢かと思いきや、ロシアのベテラン、カバチンスカヤだった!

女子100m準決勝・決勝。福島さんやファーガソンは準決勝に散ったが、役者はそろった、といった感の面々が決勝のスタートラインにつく。決然と顎を上げるベロニカ・キャンベルや、キュートな微笑を浮かべて手を振るフレーザーのジャマイカ陣など、選手紹介のコールに対してそれぞれがおなじみの表情を見せる中、今大会、予選のときからそうだったんだけど、ジーターが柔和な笑顔を振りまいてるのが意外だった。レース前はつねに怖い顔をしてる印象があったのだ。

レースは、そのジーターが頭ひとつ抜けてこの種目を初制覇! 今シーズンの最高記録を出してただけある強さだった。2位以下は大混戦、キャンベル、バプティステ(トリニーダ・トバコ)、フレーザーが100分の1秒刻みでゴール。準決勝のタイムから8レーンに位置させられてたキャンベルが2位に食い込んだのはさすがの地力でしたな。

男子110mハードル準決勝・決勝。もー、今日は決勝続きで忙しいったら。や、レース自体は、それぞれ、ものの十秒とか数十秒とかで終わるんだけどさ、息つくヒマがないわけですよ。

こちらも3強が4〜6レーンにズラッと並び立つ豪華な決勝のスタートライン。筋肉大魔神みたいなオリバー(米)は意外と伸びず、怪我との戦いを克服して3年ぶりに大きな大会に出てきた中国の昇り竜こと劉翔をふりきって、知的なメガネ(サングラス?)をかけたキューバのロブレスが1着! 2着には、準決勝でも劉翔に勝つなど絶好調ぶりが際立っていたアメリカのリチャードソンが入った。すげー長いドレッドヘアなんだけど、なんか優しい顔してる人。

・・・って、え。え。ええっ。マジか。激戦から一夜明け、この記事を書くために確認したところ、ロブレス、失格になってるじゃんかーーーー! 確かに、最後、劉翔と接触してたけど、走路妨害と見なされたのか! トラックの格闘技といわれる800や1500などの中距離でも、ひっぱるとか肘で押すとかの駆け引き(?)は日常茶飯事というが。。。むむーん。なんかショックな幕引きだ。

男子棒高跳び決勝。澤野さんは序盤で姿を消したし(でも2大会連続で決勝に残ってすごいよね!)、時間の関係もあるしで、かなり編集された録画で、えらいさくさくと放送された。フランスのラビレニら有力選手を振り切って優勝したのは、ヴォイチエコフスキ! ポーランドの選手がこの種目でこんなに活躍するのは初めてのことらしい。すんごく色が白くて、ユニフォームも白くて、彫刻みたいにきれいな顔立ちで、なんとなく体操のお兄さん的なイメージの人でした。

3日目にして気づいたんだが、時差がないと、基本的に、放送時間全体としては短くなるのかしら。

陸上競技ってのはトラックとフィールドと砂場(←幅跳びね笑)など、同時多発的に行われているので、すべての競技をライブで見せるのは無理なのだ。よって、ライブでは、人気のある種目や日本人が活躍する種目を中心に放送することになるんだが、その他の競技の切り捨てられ具合が、前回よりも甚だしい気がする。

前回はベルリンだったので、その日のラストを飾る(100の決勝みたいな)競技は日本時間の朝4時半とか5時とかになっちゃうんだけど、それまでえんえんとひっぱって放送してたもんな。おかげで、煽りVTRも多かったけど、たとえば円盤投げとか走り幅跳びみたいな、日本ではマイナー扱いされてる競技も、録画であっても、けっこうゆっくり見せてもらえたんだった。

時差がないのはありがたいけど、なんとなくあっさりしすぎてる感もある、今回のテグ大会であります。