退位に思う

(2019.4.30wrote)

今日退位する天皇明仁は、世界中を見渡してもこれほど英明で人間性にも優れた君主はいないんじゃないか? ってぐらい優れた人だったと思う。皇后も同様。尊敬すべき逸話にあふれている。

新年や誕生日、敗戦の日・・・さまざまな機会に発表される「お言葉」はいつもすばらしかった。ライターがいるのではなく、ほとんどすべてを自分たちで書いていたというのは本当だと思う。

基本的に平和への祈りにみち、弱き人々へのまなざしあたたかく、真の知性と国際性をもち、自分たちのことについては抑制的ながらも、折々にハッとするような踏み込んだ表現をする。すべてに本人たちの強い思いを感じた。

一番驚いたのは、2001年の誕生日の会見で
「私自身としては、桓武天皇の生母が百済武寧王の子孫であると続日本紀に記されていることに韓国とのゆかりを感じています。」
と言ったときかな。

戦後70年の正月の談話での
満州事変に始まるこの戦争の歴史」
という表現にも、不肖わたくし主宰の歴史勉強会でいつも触れています。

伝統・伝統というが実は皇室は温故知新の連続で、戦前の昭和天皇も宮中を果断に改革し、今上の退位ももちろん大改革。秋篠宮家は子どもたちを学習院にやるのをやめたりね。実は意思と行動力のある人たちで、そういうところも好もしいと思っている。

でも、個々人の人柄や能力がすばらしいからシステム自体を全肯定できるかっていったら、別問題なので…。

2か月前、Twitter
「県民投票の日に天皇ウチナーグチで作った歌を歌ったのか!」 ←そんなことがありましたね。たった2か月前ですが自分でも既に忘れかけていたw 

天皇制について理性的な議論がほとんどないままにエンタメ性や感動のみがクローズアップされていくのが本当に嫌だ。萬斎さんは大大大好きだけど、五輪開会式のリーダーを務める彼が即位関係も兼任すれば、どちらも無思考なナショナリズムを煽ることにもつながりそうで。」

などとつぶやいたら、
天皇、じゃねーだろ。大人なら天皇陛下と言いなさい」
と非難されて、時代は退行したなとしみじみした。
もちろん、わざと敬称をつけていないのです。