神無月の六 / 藻谷浩介さん講演会! by ワークライフバランス研究所

●10月某日: 月末のイベントの資料を準備して関係者に送信。時間がバタバタするからサクのスイミングは休ませようかなと思っていたが、振り替えるのめんどくさいのでやっぱり行く。で、帰ってきてバタバタ準備して定時退社してくれた夫とバトンタッチして天神へ。藻谷さん講演。受付や会場誘導してたんだけど、仕事を終えて駆けつけてくるみなさんの顔がとてもいきいきしているのが印象的。

facebookより

昨夜は、藻谷浩介さん今年3度目の講演!! by ワークライフバランス研究所 でした😊
この日の藻谷さんは北海道の湧別町から熊本へ飛び、そして夜、この講演のため福岡に入られました。

湧別→熊本への移動は西村京太郎のトラベルミステリーばりのトリック(トリックとは違うかw)を駆使されたそうですw 

そんな大移動も通常運転の藻谷さん、本日も舌鋒冴えわたっており、特にたとえがいろいろひどいです(笑)

1日の仕事を終えた皆さんの疲れをほぐす、爆笑に次ぐ爆笑の漫談でしたよね・・・って違う! 経済アナリストの講演だってば!!

たくさんのお話がありましたが、備忘録として大きく3つ記録します。

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●1.福岡は最強都市か?!

住みたい街に世界レベルでランクインされ、「福岡最強本」も売れに売れている昨今ですが…
藻谷 「福岡は、実年齢より若く見える中年芸者がいる置屋みたいなもんです」
ちょ、ひどい(笑)

その根拠は、福岡市の人口動向。
2013年からの約5年で、福岡市の人口は 約69,600人増えている。
福岡元気! 福岡若い! 福岡バンザイ!!
本当にそうでしょうか? その内訳を見てみると…

この5年で、

・0-14歳(子ども)の人口は +6,700人(+3%)
・15-64歳(労働生産年齢)の人口は +10,100人(+1%)

これは、人口減少中の日本の中では確かに健闘しているといえる。

が、しかし!

・65歳以上(高齢者)の人口は、+52,900人(+20%)
・そのうち、75歳以上の人口は、 +23,200人(+18%)

人間、いつまでも年をとらないわけにはいかない。
たくさんいる福岡市の住人は、どんどん年を取っていて、高齢化が急速に進んでいるのです。

ちなみに、同じ基準で東京(首都圏一都三県)を見てみると・・・
この5年で、人口は73万人も増えているのですが、その内訳は、

・0-14歳(子ども)の人口は、 △7万人(△2%)
・15-64歳(労働生産年齢)の人口は、 △29万人(△2%)
・65歳以上(高齢者)の人口は、 +109万人(+14%)
・そのうち、75歳以上の人口は、 +77万人(+22%)

全国各地から流入してくる大学生や新卒の若者に頼っているだけで、子どもは生まれない東京。
藻谷さんはこれを「読売ジャイアンツと同様、まったく育成能力がない」とたとえていますw

ウン十年前に東京に流入してきた人々もどんどん年を取っている。
そんなメガロポリスTOKYOで起きているのは、病院や介護施設のパンク。

150万都市の福岡でも、都市圏はどこででも、同様の事態は待ったなしです。

藻谷 「絶え間なく負傷兵が運ばれてくる戦場のようなもので、対応がまったく追いつかない」
高齢化とは、日本にとって21世紀の戦争なんだ】と強く印象づけられるたとえでした。

●2.人口減少するうえ、災害が頻発する日本。効率のため、みんなで都会に住むべきか?

藻谷 「そもそも、巷で言われてる “コンパクトシティ” は定義が間違ってます」

・・・と、Googleマップでロサンゼルスとサンフランシスコ、ニューヨークを示して説明したあと、「縮尺がわかりやすいように、このまま日本まで行きますね」と、マップ上をぐぐぐーーーーーーっとカーソル移動する藻谷さん。

アメリカ広い! 太平洋長い! マゼランの気持ちがわかりますね…」www
体脂肪率でたとえたコンパクトシティの説明もありましたが割愛します(笑)

災害についての話はとりわけ示唆に富むものでした。
地震は、残念ながら予測不可能。断層なんていくらでもある。
でも、日本で水害や津波がどこで起きるかは、歴史的にはっきりしている。

・夏でも田んぼが乾かないところ = もともと湿地帯。

・棚田だったところ = がけ崩れで根こそぎ木が抜けたから耕作地にできた。

そういうところでは、何百年かに一度、必ず豪雨や土砂崩れや津波に襲われ続ける。
だから、そういうところには家を作らない。新たに移住・流入しない。

震災で津波に襲われた陸前高田や仙台などの地図に人口数を乗せた図を示されました。
1975年と2005年を比べると、海沿いの人口が増えています。
地域全体の人口は減っているのに、いくばくかの人々が海沿いに移住しているのです。

人は引っ越したり、結婚して新たに家を構えたりする。
そんなとき、水害や津波のおそれがある地域に行かないよう、誘導する。
ゆっくりと、100年くらいかければ、自然と危ない土地から人を離していくことができる。
とても理にかなっているし、非人間的でもなく、実現可能ですよね。私はこの話に感動しました。

●3.藻谷さんが提唱する「里山資本主義」で地方に移住する人が増えると、国際競争力が落ちるのでは?

ここでまた、藻谷さんからたとえが。
「私がスターリンなら、福岡市の人間は全員、農村に強制移住させますよ」
暴言(笑)

学者や評論家さえも「国際競争力」と漠然と口にするが、その意味を本当に考えたことがあるのか?
数字を確認したことがあるのか?

「日本はダメだ、終わった」そう言い続ける人が多いが、輸出額は全然減っていない。
ドルベースで見ると特に顕著。(「国際競争力」だからドルベースで見るほうがより正確)。
米国に対しても中国や韓国、ヨーロッパ各国(ただしスイス・伊・仏除く)に対しても、国際収支は堅調の一言。

藻谷 「国際競争力を高めなければ、と言ってる人は、たとえばレクサスを作って欧米へばんばん輸出してるトヨタの工場がある宮若市に入植すれば? しないでしょ? 確かに宮若市、人手不足です。だからロボット(AI)の使用をどんどん増やしているし今後も増えるだろう。人件費がかからないからますます生産性が上がる。」

藻谷 「『東京がダメになったら国際競争力が落ちる』だぁ? 東京でやってるのは金貸しじゃないか。そんなもんはどこででもできる」

人は、
国際競争力のためや、
都会の大組織にしがみつくため、
1日中働いてごはんは外食、高い家賃や光熱費を払って帰って寝るだけの生活のため
そんなもののために生きているわけではないはずだ。

むやみやたらに大都市に向かって、人間が「消費」されてはいけない。

著書の内容と合わせて、それが藻谷さんのいう「里山資本主義」の本質だと私は思っています。

それが、藻谷さんの口にかかれば
「福岡市民は全力で佐賀に移住したほうがいいですよ」
という極論になってしまうのが困ったものですが…(いや、好きですけど(笑))

長くなったので、講演後に個人的に質問させていただいたことや
参考リンク等は、コメント欄に書きますね~。
ご参加のみなさん、おつかれさまでした!

講演後、個人的に、
「藻谷さん、ご著書の中で、さらっと福岡をdisってますよね? あれ、どーゆーことですか?」
と質問しました。福岡人としては聞き捨てならんやろ?(笑)

ご回答は・・・簡単に言うと、「福岡人の町づくりは、ぶっちゃけあんまり深い考えがない」(笑)。

「戦火で丸焼けになった広島も、長崎も、熊本も、それぞれ「らしさ」がある町になってますよ。福岡はどうですか? なんか平成っぽい建物ばっかりになって、福岡らしさって特にないでしょ? ただのミニ東京。博多駅前なんて、一番つまんないですよね。天神も、一応、公園はあるけどあんまり素敵じゃないですよね。アクロスもなんか孤立してるし」

うっ(泣)
確かに・・・・東京から来た人を天神・博多で連れて行く場所、ありません・・・💦 美味しい飲食店はいっぱいあるけど・・・。だから(?)中国からの観光客が油山もーもー牧場に大挙していたりするんですよね・・・(笑)

「でも、福岡、思ったより悪くないなって思うようになりました。市井に雁瀬さんのような女性がいて、その周りにも元気な女性たちがたくさんいる」

藻谷さんはリップサービスからは程遠い人なので、これはきっと本音だと思います♡
雁瀬さんに関しては、「こないだ外国で見たオペラで【カルメン】を演じてた歌手と激似!」と力説されていました(笑)

で、慰労会を兼ねて藻谷さん含め7人で渡辺通「雅」へ。藻谷さん、飲み会でもすごい喋る喋る! 楽しかった。本を2冊持っていってたら、2冊ともにサインをしてくれた。こういう小さなサービスで舞い上がりますよね。じーん。日付変わる前に解散し、同じ方向のKさんとタクシー同乗して帰る。興奮ですぐには眠れませんよね!!

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