『西郷どん』 第12話 「運の強い姫君」

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よかったね~! よかった。全編よかった。西郷どんの中の名作回だね。リピートしちゃったもん。私的、最高の北川景子! すばらしかった。確か放送開始ごろから(ノベライズで見た人から?)ネットでチラホラ流れてた「西郷と篤姫が駆け落ち未遂?」という噂。どんなトンデモシーンになるかと思いきや、泣いた、泣いちゃったよ。

「将軍家定は病弱で、子どもを作れない。篤姫の真の任務は、次の将軍を一橋慶喜にさだめるよう、将軍にはたらきかけること」

この真実に驚きおののく人間が3人出てくる。順番に、西郷、幾島、そして篤姫本人。

この真実は2つの内容からなっていて、今のところ3人を驚かせるのは前半である。にぎやかな大家族の中で育った西郷はもちろん、幾島も篤姫が「人として自然の幸せ」を得られないことにショックを受ける。うつろな表情で、篤姫に教え込んだ「男女のいとなみ」の絵を燃やし、さらに篤姫を厳しく稽古しながら「誰も助けてあげられないのだ」と悲痛な叫びをあげる。その姿は、大奥に入ったあと、彼女が篤姫を心から支える真の味方になることを示している。

薩摩弁が抜けただけでなく、使命感に裏打ちされた品格と威厳を身にまとうようになった篤姫が、家定のことを知って衝撃を受け、言葉を失う。その様子がとてもとても印象的だった。それまでの立派さ、そして、衝撃から立ち直ってからとのギャップがすばらしかったのだ。「この命、幸せになるためだけにあるためではございません」というセリフを言う彼女には、自己犠牲の美談みたいな薄っぺらさよりも、歴史に身を投じるという意思ある人間の強さを感じてしまった。。。

この立派な姿で終わらず、「一緒に逃げておくれ」がそのあとにあったのは、ほんとにもうすばらしい! 自分を守って体を張る西郷。大きくてあたたかくて力強い男の体がかぶさる。夫となる家定には決して望めない姿。

「できるだけ遠くへ。公方様も父上もいないところまで」 そして、「わかりもした」と答えて、後先考えずほんとに逃げかねないのが、この西郷の魅力だと思う。それがただのアホにならず魅力になってるのが亮平氏のすばらしいところよ! 

「その言葉が聞きたかった」で私の涙腺決壊~。で、以前の回、海辺で「あらためて礼を申すぞ」のくだりが冗長で残念だった・・・て書いたけど、あれは今回、リフレインするためのシーンだったんですね。一緒に逃げると言ってくれた西郷への心からのありがとうと、運上人から降ってくるありがたい「礼を申すぞ」との対比。

泉ピン子の使い方も最高だったー! 猫背椿を脇に配しての南野陽子との対峙。「西郷どん」でこんなに見ごたえのある熟女同士の対決が見られるとは! これぞ大河ドラマの醍醐味。終始主導権を握っていた、身分高き本寿院がふと母の顔になった瞬間、ここぞとばかり攻勢に出る幾島。対面の前、多くの廊下を堂々と歩く姿もよかったなあ。途中ですすっと大げさに威儀を正す仕草をしてね。