五月の十九 / 詩織さんの事件とか

●5月某日: facebook投稿より
成田美名子の名作の1つ、
'90年代アメリカの大学生活を描いた『ALEXANDRITE』に
こんな1ページがある。

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幼馴染みで、お互いに意識し合う大学生男女。

「もしかして俺のこと好きなの?」
「違う違うそうじゃない」(恥ずかしくて逃げようとする)
「俺は本気で聞いてるんだ! 立ち止まってちゃんと話してくれ」(彼女の両肩に手をかけてグイッと自分のほうを向かせる、彼女、逃れようとして倒れこむ。)

そこに女性警官が通りかかる

「動くな! 彼女から離れて! 手を頭の後ろに!」
「誤解だ、彼女は幼なじみで」
「それが何? 夫婦間でもレイプはあるのよ」
 
『夫婦間でもレイプはあるのよ』の一言、
そしてこのあと本当に逮捕・抑留されてしまう主人公アレックス
当時中学生だった自分にはすごくインパクトがあった。

元TBS社員でジャーナリストの山口氏にレイプされたことを実名・顔出しで告発した詩織さん。

この数日、1人になるとこの件が頭に浮かんできて、やるせなさと怒りでつらい。

高輪署の捜査によって、タクシー運転手やホテルのベルボーイ、ホテルセキュリティーカメラ映像、下着から採取したDNA片の鑑定結果などの証拠が揃い、逮捕状までとっていたのに、「上からの指示」で執行は直前にとりやめに。
山口氏は首相に近い人物のようで、そのあたりをまとめたものも見たけどここでは割愛。
この告発で再捜査になるのかな?なるよね!! 

と、それを強く願うことのほかに、告発した彼女に対するネガキャンの数々がめちゃくちゃ気が重い。
賢い人だし、弁護士さん等もついてるから、顔出しで告発すればこういうセカンドレイプがあるだろうことは想定済みで、それも覚悟のうえでの告発なのだとろうけど。それにしてもひどい。

「ハニートラップ・美人局」
顔と実名晒してまでそんなことする意味がどこに? この先、働き口も限られるだろうし、家族や親せきが受ける苦痛も想像に余りあるだろうに。

「レイプ被害者が胸元の開いた服で記者会見に臨めるはずがない・不謹慎」
レイプに遭った人は生涯、とっくり着てろっていうのかよ!

「強姦は悪いけど、男性と2人きりでお酒を飲む行為自体に軽率さ・反省すべき点がある」
それ男性にも言ってね。「女性と2人きりでお酒を飲む時点で、強姦犯として疑われても仕方ない。軽率な行為」って。言ってね。

面識のある相手からのレイプって、日本ではすごく信用されづらいらしいね。
『「なぜ防げなかったのか」「隙があったからだろう」と言われてしまう。
被害者自身が「だまされた自分が悪い」と思い込むことすらある。』
(小川たまかさんの寄稿より:

彼女が顔を出して語ったもう一つの意味(小川たまか) - 個人 - Yahoo!ニュース )


だから、告発件数がすごく少ないんだって。

今回の詩織さんのような告発に対して、「被害者も悪い」という目で見るのは男性だけじゃない。女性もそうなんだよね。みんなで「彼女の自己責任」にして片づけちゃう。
自分には関係のないことだと。迂闊だった人・運の悪い人の問題なのだと。

「露出度の高い服でも着てたんじゃないか」
「世の中こういうものなんだから、自己防衛できなかった彼女が悪い」

現実的に自己防衛することや我が子に自己防衛を教えることと、
「世の中こうあるべきだ」とは、まったく別の問題だと思うんだけどね。

今回のようなケースで、被害者へのセカンドレイプがやまないこと。
なんとなく、「かわいそうだけど女性にも落ち度があったんじゃないか」と思ってしまうこと。
人々のそういう心の在り方が、被害に遭った人の言葉を封じ未来を奪い、
新たな被害が発生する土壌を作ってるんだよね。

ミニスカート履いてようがベルスリーブ着てようが、
深夜に一人で歩いてようが、お酒を飲んで泥酔しちゃおうが、
同意なく行為に及ぶ奴が悪いに決まってる

人間は性別や年齢にかかわらず、
好きな服を着て好きな道を歩く権利があって
それを理由にしたりつけこんだりする犯罪は許されない
。。。ってことが常識になれば、告発件数が増え、発生件数も減るでしょう

『夫婦間でもレイプはあるのよ』
中学時代や高校時代、こういう考えが普通に描かれるマンガを読んでいた自分には、
昨今の壁ドンとか俺様系彼氏とか、マジで理解できない。

でも逆に、感性がまだまっ白なうちに、
俺様系彼氏とか壁ドンとかを流行りモノとして摂取したり
あるいは、「どうして?イヤなのに感じちゃう」みたいなAVとか見て育ったら、
それが普通なんだと刷り込まれちゃうんだろうな。

だから『逃げるは恥だが役に立つ』で、
いかにもマッチョな風見さん(大谷亮平)が、百合ちゃんに対して「壁ドン」ならぬ「壁ソッ」をして守ってあげるシーンは泣けた…。
逃げ恥ってほんとに、ジェンダーフリー & 世の中の固定観念に対するカウンターなお話だったよ。

サク、放課後の校庭開放に初めて行ってみる。開放してるから自由に遊んでいいよ~っていうわけじゃなく、子どもたちの安全を期すため、ボランティア団体さんが統括して、保護者が交代で“見守り”をして、参加する子どもは事前に親に参加カードを書いてもらって・・・という手続きのもと、行われているのだ。昨今は。初回なので4時半ごろ様子を見がてら迎えに行ってみると、シャワーを浴びたようにびしょ濡れになって(汗よ、もちろん)なんかして遊んでいた。

帰ると、「生活」の授業で摘んだ野の草花を紙に貼りつけたのを見せてくれる。「おおばこ」「なずな」「ひめじょおん」など、わかるものは名前も書いていて、和むね、こういうのは。
夜ごはんは野菜たっぷり焼きうどんとポテトサラダ。サク、ねむい~もうむり~と自ら白旗を上げて布団に行った。寝かしつけた(ってほどでもないけど。すぐ寝たから)あとリビングに戻ると、破られたカレンダーがペロッと床に落ちていた。。明日から6月だから今夜のうちにやったらしい。夫は飲み会で、泥よっぱらいになって帰ってくる。