『花燃ゆ』 第9話「高杉晋作、参上」

せっかくの松下村塾なんですけど、幕末のイデオロギーを描くことにまったく向き合っていないため、すごーくぬるいんですよね。この時点の萩城下ではこんなもんだったのかな、攘夷とかって。

あと、数週前から思っていたんですが、松陰のことをやたら「罪人」「罪人」っていうけど、罪を着せたがわはともかく、着せられたがわ(家族含めて)も「罪人」であることをすんなり受け容れているのが微妙にひっかかる。

国禁を犯した罪というが、外国船に乗るのを「国禁」としているこんな世の中じゃポイズン、って感覚で動いているんじゃないのかね。密航まで企てた熱すぎる魂の人が、萩くんだりの実家の一室に閉じ込められて、晴耕雨読・悠悠自適・年金暮らしのおじいちゃんみたいな生活をそれなりに楽しんでいる様子は解せない。いや、実際、この時期の松陰はこんな感じだったっぽいけど、ドラマで見ると、もっと描写がなければちぐはぐに映る。

「志」「ココロザシ」と、去年の「太平の世」ばりにお題目を連呼しているけど、志って何だね?と言いたくなるんだよね。

でも、いせやんと東出と高良くんがキャッキャウフフしてたらまァいっか・・・・と思っちゃうくらいには、「大河ファンの志」を折ってくれるドラマです(笑)

3人ともビジュアルが大変よろしい。高良君の充血した目は大変よろしかったです。今から痩せすぎじゃないかなとはちょっと思うんですけど。伊勢谷の、門人たちを可愛がり、面白がっていて、かつ尊重もしてる様子は、滋味あふれつつも軽みがあって、やはり記憶に残る松陰先生になりそうです。東出くんは今週も元気があってよろしい(笑)。私、彼の演技、なんでこんなに好きなんだろうなー、ほんと深く考察してみたいわ。

敏三郎のエピソードがわかるようでわからん(笑)。写本で金を稼ごうにしても、13かそこらの下級武士の分際で、色町でお姐さんをあげる必要はまったくなかろう、いくら興味のあるお年頃といえどやりすぎ(笑)。高級お菓子買ってくる前にもとでは返したんかい。や、文ちゃん作のお饅頭との対比だってのはわかるんだけどさあ・・・。

しかも、そんなこんなで「松陰先生、学問がしたいです・・・!」だなんて、「安西先生、バスケがしたいです・・・!」の幕末バージョンに至る高杉の心境がわかるようでわからん(笑)。心理描写をはしょりすぎ。こういう強引さがしばしばありますね、このドラマ。

敏三郎くんの演技はすごく良かったです。あと今さらながら井上真央ちゃんってうまいですよね。これなら久坂のことも受け止めてくれますよね(笑)。

まあ、無名ヒロインってことで、朝ドラパートが朝ドラするのはしょうがないとして、ともかく松下村塾での議論の様子はもうちょっと頭良さそうにしてもらいたいもんですね。「八重の桜」世界ほどの緊張感は(まだ)なかったにしても、萩の松本村って、当時はこの程度だったのか?(再)

劇団ひとりの出オチは、ま、今日のところはそういう使い方をしたくなるのはわかるのでOKってことで。