第90回 箱根駅伝

東洋大が優勝。終わってみれば、区間賞5人、そのほかも全員が4位以内という成績で、圧勝だった。双子の設楽兄弟も4年生。「出てきただけでのラスボス感」がすごくて、「大学生って4年間でこうも成長するんだなあ」と胸を熱くしたり、「この人たち、ただ単に(失礼)双子ってだけじゃなくて、ものすごく速いんよなあ」とか、何を今さらな感想をあらためて抱く。悠太は3区で、啓太は5区で共に区間賞。なんという燦然たる記録! 

このチームには兄弟がもう1組いて、服部勇馬と弾馬の年子の兄弟。勇馬は去年、いきなり9区を突っ込んで入って「蔵原カケルかよ!」(from『風が強く吹いている』ね)と私を驚愕させたが2年生にして今年は堂々の2区! ただし今年も区間3位で区間賞はお預け。7区で箱根に初登場した弟、弾馬は、ものすごく落ち着いた様子の子だなあと見ていたら、あれよあれよというまに(って20km超だけどね)区間賞をとってしまった! おそるべし。しかももうひとり、弟が控えているらしい。ふうまだったかな。今は高校駅伝で活躍してるらしいよ。明らかに、入るね、将来! 

ちょっとね〜東洋が強すぎて、どうしましょう。このままいくと盤石ですよ。お気楽な観戦者としては、もうちょっと競ってくれたほうが盛り上がるよな、ってのと、この強さは罪悪に近いよな、ってのと、思うわけですよ。だって繰り上げスタートの嵐…。9区〜10区の中継所、次の走者を目の前に、あと4-5秒ってとこで襷の途切れた大学があったりね。襷を手に、必死に走ってきたら中継ラインに誰もいない、ってパターンもむごすぎ。てか最終的に10校くらい繰り上げの憂き目にあってたよね…。

や、もちろん、勝者はすばらしい。たたえるべきです。大手町フィニッシュラインの先での「ケント!ケント!」コール(4年生アンカー、大津顕杜)。繰り返される胴上げ。知ってるのに、どうしても、一瞬選手に見えてしまう酒井監督w 来年もよろしくお願いします。

2位、駒沢。結果を見ると、本当に力があるチームなんだなってことがよくわかる。ほとんどの選手が区間3位以内に入ってる。爆発的な走りをする人がいなかったってことか。4区とか5区とか、粘ってすごく良い走りしたんだけどね〜。5区の子、ものすごく突っ込んで入ったので超心配したんだけど、設楽啓と38秒差で堂々の区間3位だったもんね。2年生の馬場くん。ゴール後猛烈に泣いてた。君はすごくよくがんばったよ。

最後の箱根路になった大エース窪田忍は9区を走る。「2分以内で彼に襷を繋げたら」ってさかんに言われてたけど、そういうエース頼みってどうかなーと思ってた。3分41秒差で窪田スタート。哲学者然とした深遠な雰囲気をまとって走るも、実際に彼が縮めたのは30秒だった。区間2位。

その9区の区間賞は日体大、矢野だった。ナイスラン! うれしいよ。ただ、日体大を本命視する記事もいくつも見たけど、総合3位。なんだろなー。

駒沢も日体大も大学記録は更新したらしいので、やっぱり東洋が“クッソ強いワロタwww”すぎるんよね。日体大、去年、5区で区間賞をとった主将の服部翔大。コンパクトな体を前傾ぎみに山をのぼる姿がものすごく頼もしい。しかし、5区の区間賞は設楽啓太がとってしまったんだよね〜! ふたりは同県出身で、高校時代からのライバルだったらしい。たった1秒差だった。ドラマじゃのう…。

駒沢も日体大も、毎年優勝を狙うチームはそうなんだけど、大手町でフィニッシュするときのアンカーも待ち受ける部員たちも、お通夜状態。10時間以上を経てこれ見ると、非常に粛然とした気持ちになりますよね…。「2位じゃダメなんですか?」と蓮舫は彼らに聞けるだろうか(古)。

4位には安定した実力をもつ早稲田が入ったのだが、今年のチームはすごく若かった。1年生3人、2年生4人、3年生2人、4年生は大迫傑ただひとりだ。層の薄いチームのはずはないのに、この人選。すごい。大迫は1区を走り、早稲田のエースどころか現役世代を代表する選手らしくレースを引っ張るも、最後に疲れて失速していく姿がつらかった。トップと49秒差。それでもちゃんと4位に入るあたり、確かな若い力。今年の2区は、なんと、この早稲田の2年生、高田が獲ったのだ。

そう、今年の花の2区。拓殖大のモゼが10人抜き〜! その一方で、山梨学院大学のオムワンバが足首を痛めて棄権するという衝撃の出来事が。疲労骨折らしい。棄権は今年、この1件だった。オムさん、どうか不死鳥の如く蘇って…!

5位には青学。もはやその順位に驚愕しない。出岐くんが卒業してなお、堂々たる強豪ぶりである。派手な選手はいないけど、みんな超堅実。そしてガッツあふれるというか、気合入りまくりの奴らである。復路も終盤に入ると、テレビカメラが先頭の選手またはシード権争いの中継に注力するので、早稲田〜青学〜明治あたりはほとんど映らなくて、遭難してるんじゃないかと疑うほど(笑)

そのシード権争いは今年も最終区までもつれた。留学生モゼやエース佐護をつぎこんで往路と6位で終えた拓殖大の快挙に、思わずずっと応援しながら袋を見ていると、7区で若い子が転んだー! 顔色を変えず走り続けるけど、みるみるうちに、ユニバーシアードに出た実力をもつ帝京の4年生蛯名くんが率いる集団に飲み込まれ、しばらく粘っていたけどやがて離されてしまった。でも最後までふみとどまった見事9位でシード権獲得。帝京、日大、そして大東大はほぼ9-10区で大健闘して順位をあげ、シード権圏内に。反対に法政や東海はすべりおちた。東農大は予選会1位の実力を復路の後半で見せるも、届かず14位。

ところで学連選抜が最後だと去年言ってるのは知ってたけど、今年はどーして、23大学といきなり3チームも増えてたんでしょーか?