霜月の十二

●11月某日: 昨日昼寝しなかったサク、昨日夜更かしした私、そろって夫に起こされる。なんか太ももの前側が筋肉痛になってる。そうか、昨日のシーソーだ。3歳児ふたりが束になってかかってきてもビクともしないシーソーを両脚で挟んでせっせと10分ほど動かしてたんだよな、うん、あれは立派なスクワット状態だった。でも私は筋肉痛がけっこう好きなのです。甘美な痛み。「出でよ、新しい筋肉!」とか思いながらやりすごしてる。むしろまた、3歳児たちに付き合わせたいものです、私の筋トレにww 昼下がり、夫の実家へ。義両親、今日は、朝8時半から1時まで地区のスポーツ大会でグランドゴルフ、ののち公民館で打ち上げ(という名の酒盛り)だったそうな。ところでこのあたりはいつのころかわからないが区画整理で「篠栗町」という住所になっているが、本来、山手、勢門、萩尾、城戸、山王、尾仲、金出…などの地名があり、公民館等は今もその区割りでなされている。私はこの、昔ながらの素朴な地名がとても好きだ。夜はお刺身とおでんとおいしいお吸い物などなど。赤ワイン。

●11月某日: ここ篠栗には四国さながらに霊場の地で、一番から八十八番まで数が振られたお札所があるんだけれども、それだけじゃなく、いわゆる「番外」みたいなものもありまして。散歩がてら、家族3人お遍路道をのぼっていると、見つけましたよ、番外地〜。ああ、見事なアングラ感。秘宝館的ブツもいくつか発見し胸が高鳴る。や、茶化してるんじゃなくて、歴史の気配がむんむん漂ってるわけですよ。また行こう…長い冬が終わったら…ってことで、朝から鼻がグズグズになってました。ほんと、いいとこなんだけど寒いのよ…。夕方辞去し、福山雅治のトーキングFMを聴きながら帰る。「先週、この番組が全FMの中で一番の聴取率をとりました!いわばトーキングFMはラジオ界の半沢直樹!」と福山さんが嘯き、相方の構成作家さんに「天狗さま〜!」とたびたび叫ばせるプレイを楽しんでらっしゃいました。相変わらず愉快な兄さんです。夜、すりおろした生姜とハチミツを入れた生姜湯を夫が作って飲ませてくれる。いつもすまんのう…ゴホンゴホン

新聞書評欄に今週も気になる本たちが。

・『緩慢の発見』(シュテン・ナドルニー 訳 浅井晶子)・・・・・・日経、毎日の両紙で同時に取り上げられていた。19世紀イギリスの探検家ジョン・フランクリンの知られざる人生。尋常でないのんびり屋さんで友だちの中にも入れない男が、未開の北極圏北西航路を開拓するという大いなる逆説の物語、らしい。ものすごく面白そうなのは当然として、ドイツで出版されてから30年の月日を経て、今回初めて和訳されたという「緩慢さ」も興味深く。
・『疎開した四〇万冊の図書』(金高謙二)・・・・・・1944-45年、日比谷図書館は江戸時代の書籍や収集家から買い上げた貴重書を、空襲の可能性が低い奥多摩や埼玉に移した。強い意志とリーダーシップで疎開を断行した館長。保管先を提供した民家や寺院。空襲、空腹と闘いながら人力で本を運んだ中学生たち。都立28図書館のうち12館が空襲で全焼。無傷で終戦を迎えたのは3館のみ。蔵書約44万冊が焼けた。すごく面白そうだけど2,520円です。メジャー出版社じゃないからしょうがないんだけどね。
・『近世雅文壇の研究』(盛田帝子)・・・・・幕末維新の素地をつくる上で光格天皇の役割は大きい。傍流の閑院宮家から入ったために天皇としての自覚が強かった。明治天皇の曾祖父だが治世は院政を含めれば半世紀を超え、将軍家斉のそれに重なる。政治力の革新には和歌の道が。和歌と政治といえば歌の内容にまず目が向くが、むしろ制度化された師弟関係の方が重要。光格天皇は古今伝授を背景に教授する側に立って力をもった。ものすごく面白そうだけど11,560円です。専門書だからしょうがないんだけどね・・・・。