2013夏ドラマ序盤 1

●「半沢直樹」。作り手にとっては「お得でしょ?」なのかもしれないけど視聴者にとっては「メーワクな話だ、この時間泥棒め」な初回2時間の壁。そこを越えられたのが、視聴継続のポイントになった気がする。2時間って事前にはハードルでしかないけど、見てしまえば、初回でどっぷりその作品世界に浸かって、2話目もスムースに視聴することになるというか。初回が1時間の場合、よほどパンチが効いてたり、自分好みでない限り、まだまだ「様子見」感があって、視聴継続するかどうか決められないまま、他のドラマが優先順位高くなっちゃって、そのままフェードアウトしちゃったりすることもある。初回2時間、ハイリスクハイリターンなんですな、やっぱり。

と思ったのは、2話には1話目ほどのパンチがなくて、早くも食傷気味だからだったりもする…。半沢 / 銀行上層部 / 西大阪スチール / 国税 と四者が絡み合ってるとはいえ、案件はひとつ。それをこのままずーっとやっていくのかなあ?と思うと(違うかもしれない、原作も知らないし、ドラマをここまで見てるだけの一視聴者としての推測)、ちょっと退屈しそうな気もする。過剰な演出で視聴率をとってる、とネットニュースの見出しが出てたけど(見出しだけで中身は読んでない)、過剰な演出にはすぐ飽きる。まあ、堺さん大好きだし、夫と一緒に見てるんで、完走可能性は高い。やっぱり、ひとりで見るより家族と一緒という状況のほうが、視聴習慣にはなる。だから、「家族そろって見られるライトなドラマ」って存在し続けるんだよね。

●「スターマン」 まだ1話しか見てない。視聴率は低いみたいだけど、岡田惠和脚本、堤幸彦演出、広末涼子主演、ずぶん先輩まで出演ってことで、今んとこ私にとってやめる理由はないですね。

映画「おくりびと」「ヴィヨンの妻」 「ゼロの焦点」 「鍵泥棒のメソッド」。ドラマ「龍馬伝」 「11人もいる!」 「リーガル・ハイ SP」と、近年の広末の仕事選びとそのパフォーマンスはダテじゃない。演技がうまいとかへたとかを超えて、アンチが多いことも含めて、広末涼子という女優の存在感で価値を出してるな、て感じがするんです。すごく興味もって見てます、彼女のこと。全方位的に好感度が高いより、やっぱり女優はこういう人のほうが面白いですよ。女優に限らず、人間、アクがあるって面白いことです(近くにいたら迷惑だったりもするが)。

岡田さんについては、「泣くな、はらちゃん」のあとの、この「スターマン」ってことで、思いきり異邦人シリーズが連続しているので、随時、参照しながら楽しみたいな、と思ってます。はらちゃんという異邦人を、最初、非常に拒絶してたヒロイン(麻生久美子)。今回は、星男という異邦人を、積極的に受け容れて・・・ていうか一目で恋に落ちちゃうヒロイン広末、てことですね。

氏素性のわからない記憶喪失男を「パパってことにしちゃお」と決めちゃう初回のヒロイン(しかも3人の子持ち)に、「バカすぎる」「生理的に受け付けない」なんて批判が出てるのをネットで散見しましたが、自分は、「まぁこれはドラマなんで」と思ってます。現実だったら、そら、ヤバいと思いますよ。

でも、「はらちゃん」もそうだったんですけど、「いかにもおかしな異邦人を、戸惑いつつも、なんとなくみんなが受け容れてる世界」を描く岡田さんの筆は、すごくいいなと思います。現実でもネット世界でも、「出る杭は打たれる」とか「炎上」とか「空気読まないと」とか「自己責任」とか、ほんと息苦しい。なんかもうちょっと、やさしい世の中にならんかなーと思えてなりません。

とりわけ、広末が子ども部屋に向かって(子どもらには見えない形で)「母を許せ。母も女だ!」と拝む場面に嫌悪感を催した、という意見を見たけど、私は逆にそのシーンがすごくいいな、と思ったもんだ。ドラマでは、ちゃんと毎日朝ごはんを作って食べさせて笑顔で子どもを送りだすとか、三男を保育園送迎する車の中で、CDに合わせて思いきり明るく歌いつつ、三男が寝てしまうと「いいよね子どもは、たくさん遊んで褒められるんだから」と小さく微笑んでひとりごちてからCDのボリュームを下げるとか、そういう場面で母親ぶりもきちんと描いているのだ。それでも、独身の母の恋心ってあんなにガチで否定されるもんなのね〜世の中って。母親って品行方正でないといけないのね〜、と遠い目になる。

子役が3人ともかわいすぎ! エニィタイム・エニィウェア、きっちりといい仕事をする小池栄子!!! あと、デビッド・ボウイの「スターマン」が、相当好きなんです、私、昔から。