面白いドラマをありがとうアワード2013

id:einfall さんの企画(面白いドラマをありがとうアワード2013)に、今年も参加させてもらいまっす! そんなに数みてないうちから選んでるんですけど、すみません!


【1】2013年にTV(キー局・U局・BS・CS)でオンエアされた、日本の新作ドラマで面白かったものを3つ

●「あまちゃん
一週間のうち6日、毎日少しずつ見られるという朝ドラの放送パターンが、日常をこんなにも楽しく豊かにしてくれる。そう実感させる、朝ドラの新たな、そして異色の名作が誕生。笑って、泣いて。セリフのいっこいっこ、隅の方にいる人の表情やしぐさまで気になって、見終わったらtwitterチェックして、何度も頷いて。そんな忙しさもうれしいドラマだった。この思い、もう「愛」としか言いようがない。歌や音楽を用いるドラマとしてもここまで成功したものは珍しいかも。その成功レベル、もはや「サウンドオブミュージック」に匹敵するのでは。だから紅白との相性もあんなに良かったんだよね。ドラマへの思いは以前ここらへん にも暑苦しくまとめてます。

●「最高の離婚
こんなめんどくさい奴らイヤだし、こんな経験したことないけど、なぜかとても近しく思われて、いちいちドキドキズキズキ。キャラクター、設定、セリフ、演出、音楽、すべてに工夫が凝らされている大人のドラマだった。坂元センセイお得意の長台詞も多く、毎回の修羅場は咳どころか息もできないほど凄惨だったけれど、最後まで良い意味の軽みを失わないとこがすばらしかった。2012の「最後から二番目の恋」しかり、若くなくなったからこそずっぽり楽しめるドラマを、これからもこの枠には届けてほしいものです。主演4人の実力と乗り切った脂を堪能し、そこに絡む窪田くんに垂涎。脇の八千草さんへのリスペクト、ガッツさんへの親愛も存分に感じられ、のみならず使い方に必然性があったのもとても好きでした。最終回の感想はこちら

●「泣くな、はらちゃん
マンガから出てきた主人公。といえば、現実世界のことを何も知らないがゆえに起きるトラブルの数々や、やがて必ずやってくる別れなどを見なければならないのは必然で、私そういうの「めんどくさい」って思うタイプなんですよ。なのにものすごく引き込まれた。すばらしい寓話。5話から以降はほとんど毎回大泣きだった。物語を通じた、自分を取り巻く世界の再構築。いろんな年代の人がそれぞれに楽しめて深く心に残るドラマだったんじゃないか、という点でも、この枠にまたひとつ名を残す良作だったと思う。最終回の感想はこちら

カウント外の次点

●「リーガルハイ」
岡田くん演じる羽生に賛否両論だったけど、守りに入らなかったのが最大の「リーガルハイ」らしさで、そこには岡田くん演じる羽生の存在が必要不可欠だったと思ってます。相変わらず、「大波小波」ならぬ「大牙小牙」を剥くドラマだった。古沢さんも朝ドラはいかがか? 最終回の感想はこちらこちら

●「空飛ぶ広報室
初回で「ペラい上に不快なドラマ」とまで思ったのに、3話くらいからだんだん好きになってきて、終盤では泣いてた。こんなに爽やかなラブコメ久しぶりに見ました。それを綾野くんがやってるってのもびっくり。とびきりかわいくて、でも誇り高いワンコ。「あざとっ!」ていう演出の数々に全力で萌えてたよ…。職業ドラマとしてもとても爽やかで、最終回で描かれた震災後についても、ものすごく心を寄せて見ることができました。最終回の感想はこちら

●「八重の桜」
名作になり損ねた大河。後半の失速は大河の宿痾とはいえ、ここまでの落差を見たこともない。それだけ前半が良かったということでもある。ゆえになおさら後半がしんどかったのだが、まあ前半にも危ない芽はあったのよね。ただ本当にすばらしいところもあったのでそれは忘れないと思います。繰り言も賛辞も山ほど書いてきて、このブログのそこらじゅうに散らばってますw

【2】2013年にTVでオンエアされた、日本のドラマを書いた脚本家を一人

宮藤官九郎
あれほど密度の濃い15分を半年間続けていける作家としてのずば抜けた基礎体力にあらためて脱帽。笑いと涙とが混然一体になったドラマを書けるのは、もちろん技術力の高さにもほかならないけれど、世界への目線のあたたかさと深さこそが根源にあるんだろうなと思えた。ナチュラルに人間を信じているというか…。私にとって、同じ時代を生きられることが幸せ、て思える人のひとり。押しつけがましいようだけど、日本人みんなの宝じゃないですかね、もはや。

最高の離婚」の坂元さんにも早いうちに朝ドラ、やってみてほしいもんです。


【3】2013年にTVでオンエアされたドラマに出演した役者さんで、素晴らしかったと思う人を何人でも!

●瑛太
最高の離婚」での光生を見る自分の「一挙手一投足も見逃したくない」という視聴態度が、中井貴一のそれに対するそれと同じだと気づいた。同じく坂元作品での「それでも、生きていく」で、そうそうたる共演陣の中で堂々と主演をつとめる姿を見ていたけれど、今回はドラマを牽引し、かつ共演者たちをしっかり受け止める器の大きさを感じました。「まほろ」でのむささといい、スターオーラを出さずに「その人物の魅力」を出す力は同世代でも指折りだと思う。

綾野剛
最高の離婚」「八重の桜」「空飛ぶ広報室」。ドラマだけでもこの仕事量。ほんとおつかれさまでした。まったく違う役どころを振られる期待度もすごければ、まったく別人のように演じ切ってしまう実力にもあらためて感じ入りました。全身全霊、という言葉がすごく似合う演じ方をする人だなあと思う。映像史上最高の容保、という私的評価は向こう10年は確実、普通に20年くらい揺らがないかもしれない。

長瀬智也
泣くな、はらちゃん」「クロコーチ」。ドラマ好きにとってはまさに「ひとりで二度おいしい」状態。良い長瀬智也イヤーでした。10代後半のころ、ほんと重要文化財に指定したいぐらいの美しさだったのが、今や濃い顔のおっさんなのに、彼の場合、それが少しも負になってないんですね。「はらちゃん」でみせた瑞々しい表情の数々といったらどうでしょう。それでいて、「クロコーチ」のように、繊細さのかけらもなく人の死に相対することのできる線の太さもある。彼の代わりはいない、と思わせる役者のひとりですね。

堺雅人
倍返しフィーバーには半ば閉口。これまで既に数々の実績があっても、このドラマで「見つかった」(by 有吉弘行が昔アメトークで言ってた感じのニュアンス)ことになるんですかね〜。実力があるだけに、今さらひとつのキャライメージに縛られなきゃいいけど…と思ってたら直後に古御門がきて安心のうえ、スカッとしました。ご本人、インタビューで「体さえあいてれば、脚本とか関係なく仕事は受けます」と言ってし、確かにそういう感じで仕事してるふしが見られるので、関係者各位、ヘタな仕事はもっていかないであげてくださいよねっ、視聴者のために!

新垣結衣
空飛ぶ広報室」「リーガルハイ」。セリフに真摯な気持ちを感じる、コメディもいける、ビジュアル高位安定。今年のガッキーも絶好調! この調子で2014も良い仕事が続きますように!

<以下、カウント外として…一言ふれておきたいので…>

小泉孝太郎: 「八重の桜」における徳川慶喜はもはや怪演といって差し支えない出来だった。

長谷川博己オダギリジョー: 八重の夫たち。ふたりとも、大人の俳優の実力と魅力をいかんなく発揮。瑕疵は作り手にある。

古田新太: ほとんど古田バージンだった私、そりゃ夢中になりますわよね。芸達者という言葉はこういう人のためにある。

小泉今日子: やっぱ流石キョンキョン、ケツのまくり方がハンパないな、って感嘆させられる天野春子だった。40代でも主演クラスで輝いてる実力派女優はいろいろいるけど、こういう「こじらせた」役を朝ドラでばーん!とやれるのが、キョンちゃんのかっこよさよ。

渡辺えり木野花片桐はいり、美保純: まとめてすんません。こちらも舞台組の芸達者を堪能。役者もすごいが、中年オバチャンたちにそれぞれ味の違うチャーミングなキャラを書いたクドカンもやっぱりえらい。

松田龍平: テレビの世界は弟の領分かと思いきや、ここへきて! twitterの「#ミズタク俺の部屋祭り」タグの隆盛ったら!

以上、2014年もおもしろいドラマが見られますよーに!