『きのう何食べた?』7巻 よしながふみ

きのう何食べた?(7) (モーニング KC)

きのう何食べた?(7) (モーニング KC)

カバーの背景色が変わったー(白→ブラウン)。ここから新章ってこと? それともこの巻だけ? 早くも次巻が待たれる(一年後だ泣)。

この巻の白眉はなんといっても、「史朗、ケンジを連れて正月の帰省」。「連れてきなさい」と親に言われたのが前年の正月で、読者も一年以上どきどきと待ってましたよー。しかし、さすがのよしながふみ、前のめりに“ぐっとしどころ”を持ってくる。ふたりでの帰省を決意するシロさんの胸中として、

「ゲイの何たるかを分かってほしいってことじゃなくて 少なくとも今俺が 両親が思ってるよりは不幸じゃないってことを分かってほしくて ケンジを連れて行こうと思ったんだ」

とゲイカップル仲間に打ち明けさせるのだ。なんかねー。この、「思ってるより不幸じゃない」っていう述懐が、一凡夫(女ですが)のわたくしながら、それなりのあれこれがないでもなかった年末に読むと*1、ぐっとくるのでした。こういう表現をする作品って、とても大事にしたいと思える。

それで実際に帰省すると、わかりやすい大団円というわけでもなく、かといって破たんするでもなく、あらまー、そういうこと?っていう肩すかし食らわされて、でもそれが「うわあ」ってなリアルで、驚かされる。

富永さんのお嬢さんの話での「どこの家でも みんな 何かしらはあるってことだ」って結論も好きだった。マイノリティを描きながらもこんな普遍性。よしながさんはほんとすごい。

*1:年末に書いてた感想です