ことば・7 満2歳2か月 二語文「要求」
2ヶ月あいて、言葉の記録もいろいろたまってます。
要求を2語で言うようになった。「だっこ!」→「だっこ して!」 になったということです。
その「して」の語法をスムーズに獲得したことが不思議なくらいに、ほかの要求パターンではいろんな誤用が見られて面白い。
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たとえば牛乳が飲みたいとき。サクは牛乳が好きで好きで、まさに水がわりに飲んでる。ついに我が家にも1日1パック消費時代が…!
最初はもちろん「ぎゅーにゅー!」と一言だったのだが。
- 「ぎゅーにゅー する」
「○○+する」、で動詞化する、という感覚が身についているらしい。確かに、サクに向かって「○○する」の形で話すことは多い。「ばいばい する」、「ないない する(=おかたづけ)」、「ちゃんこ する(=座る)」、「もぐもぐ する(=食べる)」など。
しかし、いずれも「ばいばい して」、「ないない してごらん」など、「○○+して」という形でサクへ指示・依頼することも多いはずなのに、それを応用して、「ぎゅーにゅー して」とは言わない。
確かに、牛乳がほしいときに「ぎゅーにゅー して」という言い方は日本語の感覚的に誤用だし、親も言わないもんね。「ちゃんこ して」、「おっき して(=起きて)」など、実際に親が使うこともある「○○+して」は、サクもすでに発語している。
しかし、「ぎゅーにゅー する」もまた、日本語の感覚では誤用である。ちなみに、「ヤクルト する」、「はぶらし する」など同様の誤用も見られる。
「○○する」という語法が成立する幼児語って、うまくいえないんだけど、○○の部分に動詞ニュアンスがあるんだよね。「だっこ」にしろ、「もぐもぐ」にしろ。「牛乳」や「ヤクルト」のような純粋な名詞に「する」はつけない。サクは、そこらへんの区別(の感覚)をまだ獲得していないわけだが、この誤用をさらに「する→して」にまで拡大しないところが不思議。
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同じく、牛乳を飲みたいときの誤用。
- 「ぎゅーにゅー、あげる」
- 「ぎゅーにゅー、あげよう」
「あげる/もらう」の語法、子どもには難しいよね。自分に向かって「牛乳、あげる」とか「牛乳、あげようね」とか言われるのを、そのまま真似している。
たいてい、1回目に「あげる」と言って、私がすぐに動かない場合、催促するかのように「ぎゅーにゅー あげよー、あげよー」と言い出すことが多いかな。
- 「おんり して」
「降りて」の意ではなく、「降りさせて」の意で言う。「する/させる」も難しいもんね。
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不思議なもので、ごはんについてはあまり誤用がない。
- 「ごはん たべる」
- 「ごはん たべよー」
と、「食べる」の動詞を正しく使う。逆に考えると、「飲む」の動詞を獲得していない? 二語文の初期の段階で、「ヤクルト、む!」と言っていた時期があったのだが、最近はめっきり「のむ」を言わない。
(親が、「牛乳飲む?」「飲もうか?」のように話しかけると、それに答える形で「のむ」とは言う。サクが自分から発語するときには「のむ」が出ない)。
ほかにも、いったん獲得したように見えても、ほかの類似語を(しかも先に獲得した語より汎用性が強いなどの語)獲得することで、子どもの頭の中で語法が混乱して、いったん消えてしまう語彙はいろいろ見られるようだ。
- 「ごはん いる」
と言ったりもする。要る、という使い方。しかしこれを牛乳やおやつには使わないのが、また不思議。
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能動/受動や、活用の変化などが難しくてまちがえるのはよくわかる。それに比べて、「ぎゅーにゅー ちょーだい」など、「ほしいもの+ちょうだい」の言い方は、文法的にとても簡単な気がするのに、なかなか獲得しないんだ。
親が子供に「ちょうだい」を言う場面が少ないからかなあ。言わないことはないと思うが。お店やさんごっこ遊びをしてるときとか。サクに弄ってほしくないもの(リモコンとか私の手帳とか)を手にしているときに、「それちょうだい、ママのだよ」とかもよく言うし。
活用などを気にすることなく「ほしいもの」に付加できる万能語として、「ちょうだい」よりも先にサクが覚えたもの。それは、「いってみよう!」だ。
- 「ごはん、いってみよー!」
- 「せんべい、いってみよー!」
うん、通じる。文法的にも自然。だけど、なぜ、それ? テレビや親の言い方のまねっこだとしても、これこそ、「ちょうだい」より出現回数は少なかろうに。このように、「よく聞く語ほど早く発語する」法則が破られることもしばしばあるのが、子どもの言語獲得だ…。
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語順については、いずれも「目的語+動詞」で、不自然な発語はほとんど見られない。