如月の六

●2月某日: 義妹が女の子を出産! 私たち夫婦には初めての姪っ子ということになります。前夜は家族でカラオケに行くなどして余裕のよっちゃん(死語)だったのが、陣痛が始まって翌朝5時半に入院、9時過ぎには身二つになっていたというから、これぞ3人目!的スピード出産といえよう。メールで送られてきた写真を見ると、生まれたてのサクの姿に似てる気がした。夫も同意。さてそのときから1年7ヶ月が経っているサクを子どもプラザへ連れて行く。サクよ喜べ、雨なので今日はバスだぞー! で、降りるとやっぱり先に本屋へ。もはやサクを体の前に抱っこして立ち読みするのは至難の業だな…と思いつつ30分近く。夜ごはん、夫が昨日の夕食後に作ってくれたアジの煮付け、同じく昨日の昼間に作ってくれた切り干し大根、そして今日の帰宅後に作ってくれたエノキとネギの卵とじ。月曜なのにタローメシ、かつ、居酒屋メシ。熱燗もついた。昨日録画した『情熱大陸』(ロンブー淳)と『おしゃれイズム』(役所広司)を見る。どっちも、こんなもんか、という感じではあった。

●2月某日: 今日も雨。遊ばせることはできないにしろ、1日家に閉じこもるのはサクにも私にも精神衛生上よくないので、おんぶでスーパー。昨日の抱っこひもに比べるとおんぶはラクだわ〜、と、また立ち読み30分。肩に背中に激痛を覚えながら帰る。サクの昼寝中に瀬戸内寂聴の『女人源氏物語』の再読をしてたんだけど、最初の「桐壺」の巻で泣く。寂聴さんうまいよぅ、桐壺更衣の哀惜の念が迫ってくるよぅ。そして最後の「若宮を東宮に」でガツンとくるのな。自分にも小さい子がいるからなおさら泣ける、て面はあるものの、私、女人源氏のこの巻には昔から泣いているような…。サクの言葉が少しずつ増えている。ここ数日は、湯気のたつものを見ての「あっちっち」、ものを手渡したときの「あーとう(ありがとう)」。夕食後、夫にバレンタインデーのプレゼントを渡す。夫は誕生日が7月なので、そのときとバレンタインデーとで、だいたい半年に一回くらいプレゼントサイクルが巡ってきていい感じ(我が家ではクリスマスはうまいもん食うだけ)。

●2月某日: サク様が日々パワーアップしてござる。お風呂でプリンの空カップふたつを持たせてお湯の移し替えをさせて遊んでいたら、まあ当然の帰結といえようが、陸上でも応用を始めた。空になったお茶のコップに味噌汁をドバーッと入れる、今度はそれを、おもちゃの“コップがさね”のコップを持ってきて移し替える、親が熱燗を飲んでいたら自分にもお猪口をよこせといってきかず、しょうがなくひとつ貸してあげると、それにも味噌汁をジャー。小さいお猪口からは当然、味噌汁の実も汁もあふれだす。「自分、不器用ですから」といった顔で平然としたサク、「あ、そうだ」と気づいて台拭きを手に持って拭こうとしてくれるのはいいんだが、ちゃぶ台から味噌汁の実がじゃんじゃん落ちて行ってホットカーペットを汚しております! ハハハ、ハハハ、おもしろーい…ふぅ。今度はソファの上にのぼって手を伸ばし、照明のスイッチをOn/Off、On/Off以下エンドレスリピート。こーらぁぁぁー。子供らしく歌と踊りで遊んでなさい、と「マル・マル・モリ・モリ」を歌ってあげると、前にyou tubeでPVを見せたことを思い出して、パソコンを指さして「んー!んー!」と叫んでねだる。ううう記憶力いいなおまえ。ぐったりして整体のお兄さんに電話すると「すいませーん、土日はもう予約でいっぱいなんです」とフラれる。ダ・ヴィンチBRUTUSと二日連続でマンガ特集の雑誌を立ち読みして、「安西先生、マンガが読みたいです…」状態に。この涙は悲しみではなく、世の中ってやつには、こんなに面白いものが、こんなにもたくさんあるのであるな!という喜びゆえなのです。