『ツレと私の「たいへんだ!」育児』細川貂々
『ツレがうつになりまして』を出版後間もなく読んだ身としては、この本が大変な話題になって、てんてんさん&ツレさんが単なる人気作家(とそのご主人)という以上に、ゆるやかで大きな影響力をもった存在になっていくのをリアルタイムで感じ、また、そのさなかでおふたりが赤ちゃんを授かったことには心からおめでとうございますという気持ちで、妊娠・出産や育児の様子が作品で紹介されるのも、その都度、楽しく読んできた。
それが、自分が出産してからというもの、時間の使い方が大きく変わり、定期的に更新されるてんてんさん&ツレさんの子育て関係のWEB連載なんかも、かえってチェックできなくなってしまっていたことにふと気付いて、久しぶりにサイトを開いてみると、息子さん・ちーとくんはなんと3歳を迎えているではないですか。この(ツレ&貂々のコドモ大人化プロジェクト - 幻冬舎plus)ツレさん、もとい望月昭さんの文章中、
三年の間、寝るときはいつも息子と一緒。一日たりとも離れたことがない。オムツを替えなかった日もない。お風呂に入れて頭と体を洗ってやっている。以前と比べるとぜんぜん違う生活。それが三年。三年も経つと体に子育てパーソン反射のようなものが備わっている。自分ではよくわからないが、他の人とオシャベリをしている最中に息子が「パパー」と泣きながら寄ってきたのを抱き上げて揺すりつつ、頭と口は止まらずにオシャベリに熱中していたら「立派なオバちゃんになったな」と言われた。すごいぞ僕の女脳。
というあたりに、この夫婦がこんなにも支持を集める理由であろう“クスッとくるユーモア”がにじみ出ているんだけど、その後にさらりと触れてある闘病のことなんかを読むと、やっぱり「ツレうつ」の内容なんかも思い出して、じーんとしてしまった。
3年って、決して短くはない時間だ。3年前といったら、私もまだ独身でブイブイ言わせてた(?)わけだし、未来に目を向ければ、3歳になったサクなんて想像もできない・・・・・と考えて、おお、と思った。こと子育てに関しては、今や私も立派に当事者なのだ。ここでも、確実に時は流れている。
それで引っ張り出したこの本は、ちーと君誕生直後から8ヶ月までの記録。
- 作者: 細川貂々
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
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「猛獣使いのふりをしてあやすツレさん」とか、いわゆるネタ的なものに目が止まりがちだったんだけど、今回は「息子が初めて横向きに寝たのを見たときの驚き」とか、「出産後、初めて外に出たら空がすごく青く明るかった」とか、割と地味なコマに「そーそーそーなのよ!」と激しく共感。簡潔な線で、イラストのようにデフォルメして描かれたちーと君の体のかっこうなんかが、実はかなりリアルだってことにも気づいた。
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そういえば、ツレさんのWEB連載を引いて、こういうエントリも書いてたな。約一年前。
「そして私も妊婦になった」:(2010-02-01 - moonshine)
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そうそう、『ツレうつ』は、今度、映画になるらしいね、宮崎あおいちゃんと堺雅人で! なんという萌え夫婦(再)・・・ってとこだが、真摯に映像化してみせたNHKドラマ(藤原紀香&原田泰造。とても良かった)版を超えるだろうか? 粗雑に扱うことはない題材だろうけど、薄っぺらい感動モノに仕立てられないよう祈りたいところです。
- 作者: 細川貂々
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