『一夜官女』司馬遼太郎

一夜官女 (中公文庫)

一夜官女 (中公文庫)

1年に1回くらい読み返したくなる短編集。「竜馬がゆく」とか「国盗り物語」みたいな大作もいいけど、こっちは気軽にひらける小品の良さがある。

司馬作品には珍しく、女が主人公になってるものもいくつかあるんだけど、それは女をとおして男を描くためであって、この人はやっぱり男を魅力的に、愛らしく書くことにかけて天才的な作家なのだなーと思う。男と女のエロティックな関係もすべてどこかユーモラスで、湿り気がない。そんな中でも、表題作はなかなかフェティシズムをついてきます。何フェチって、神社フェチ? 焦らされフェチ? あとは「女は遊べ物語」と「侍大将の胸毛」が特に好き。どちらも、タイトルからしていいよね。