2011年大河ドラマ「江」キャスト予想その6 戦国の三傑
いよいよ、戦国の三傑の予想をしていきたいと思います。信長、秀吉、家康。「織田がつき 羽柴がこねし天下餅 座りしままで食らふ徳川」ですっけ? 歴史に名を残す幾多の英雄にあって、戦国乱世に覇をとなえた彼らは、時代を超えて抜群の知名度と人気を誇る存在です。当然、映像作品においても、三傑の出演歴はもはや網羅するのが困難なほどの歴史があります。役者ならば一度は演じてみたい、いや、しかし数々の名優たちと比較されるのは気に食わない、いやいや、であればこそ、挑む価値は計り知れない、それが三傑の役ってもんです(?)。
去年の「天地人」に引き続き、2011年の『江』にも三傑はそろい踏みします。3人ともを無理なく出演させられる題材を選んでくるあたり、NHKの今作に対する気合もわかりますよね。ちょっとズルい、なんて思ったりもするんですけど、出るとわかれば張り切って予想するのがファンの心意気ってもんでしょう。
ひとまず、参考として、ここ20年あまりにおける大河の「三傑歴」を並べてみます。このほかにも、映画や民放のスペシャルドラマなどで演じた俳優を挙げれば数限りないほどですが、やはりここは、大河ドラマの予想ってことでね。
放送年 | 番組名 | 信長 | 秀吉 | 家康 |
---|---|---|---|---|
2009年 | 『天地人』 | 吉川晃司 | 笹野高史 | 松方弘樹 |
2006年 | 『功名が辻』 | 舘ひろし | 柄本明 | 西田敏行 |
2002年 | 『利家とまつ』 | 反町隆史 | 香川照之 | 高嶋政宏 |
2000年 | 『葵徳川三代』 | なし | なし | 津川雅彦 |
1996年 | 『秀吉』 | 渡哲也 | 竹中直人 | 西村雅彦 |
1992年 | 『信長』 | 緒形直人 | 仲村トオル | 郷ひろみ |
1989年 | 『春日局』 | 藤岡弘 | 藤岡琢也 | 丹波哲郎 |
1988年 | 『武田信玄』 | 石橋凌 | なし | 中村橋之助 |
1987年 | 『独眼竜政宗』 | なし | 勝新太郎 | 津川雅彦 |
こうして並べてみると、あれですね、大河のクレジットで“大トメ”を飾る重鎮俳優みたいな人は、渡哲也ぐらいのもん? 去年の吉川さんといい、私が初めて見た映像上の信長である石橋凌さんといい、ミュージシャンのような意外なキャスティングもありなんですね。信長と言うのが異端児、革命児といったイメージのある人物ゆえんでしょう。
そして、こうして見るとバラバラな顔ぶれなのに、いま思い出しても、みなさん信長にハマってたんだよなー。ドラマ自体はめためただったのに吉川さんの怜悧な信長は絵になっていたし、「GTO」の3枚目なイメージを打破した反町隆史の「デ、アルカ」も癖になったもんでした。父のように偉大な、しかし徐々に狂気を孕んでいった渡哲也の信長、粗野でワイルド、独特のせりふまわしだった石橋凌の信長・・・。ドラマによって描かれ方は違っても、やっぱり信長って、かっこいいもんです!
で、2010年『江』における信長ですが、『超カリスマ』な存在として描かれそうです。彼の姪にあたるお江ちゃんは、彼の血を誰より濃く受け継ぎ「女信長」ともいわれるらしいですから(笑)、そりゃもうかっこよい信長で決まりです。ちなみに、本能寺の変のとき、お江ちゃんは10歳やそこらかと思うんで、出演期間は短い。3,4回ぐらいなもんでしょうか?
なんたって、田渕久美子大センセイが今回の大河の原作を書き下ろすにあたって、この信長を金城武のイメージで書いたという衝撃情報が私のもとに入っています。いくら伝統の大河、50作目だとかいっても、こっちは日曜8時のニッポンのお茶の間、向こうは『レッド・クリフ』諸葛孔明ですからね。スケールが・・・や、妄想だけなら何だってありだもんね・・・。屋敷プロデューサーは、ダメもとで彼に出演交渉をしてみるんでしょうか。金城武の信長をテレビで見られたら、そら嬉しいですよ!
しかし、ここはまあ、もちっと現実的な予想もしておきましょう。今回の信長、金城武とまではいかずとも、年齢的にはそこそこ若い人じゃないかと思うんですよね。また、主人公が気質を受け継ぐってことで、正統派、本業の役者さんが演じるんじゃないかって気がします。
私が見たいのは(予想じゃないの?)、豊川悦司。大河では、1992年、異例の9ヶ月間で放送された『炎立つ』で主要キャストのひとり、清原家衡を演じて以来のご無沙汰です。そろそろ来てください。その際、トヨエツともなれば、やっぱり大役で見たいのが人情です。コメディチックな役とか変わり者の役とかも多かったりするけど、ここはひとつ、ビシッと2枚目の信長を! しかしこの人、21世紀になってから、NHKどころか、テレビドラマ出演少ないね〜。映画へのシフトっぷりが激しい。でもたった1ヶ月でいいんですから、ぜひ!
次点は、江口洋介。それこそ私が彼を知ったのが、1989年大河『春日局』における3代将軍、徳川家光役でのことでした。あのころ私は11歳、や、私はどーでもいいか、江口洋介は22才。色白で細面、神経質で腺病質でもある、でもとてもかっこいい家光だったんだよな〜。その後、大河への出演は、2004年の『新選組!』における坂本龍馬以来ありませんから、こちらもそろそろ見たいもんです。しかし、江口さんといえば、「新選組!」でわかるように、三谷さんの大好きな俳優さんだからね。や、ここ数年のうちに、三谷幸喜はもう一度大河ドラマを書くと思うんでね。既に三谷さんに、重要人物役で唾つけられてる気もします。
となれば、うーん、佐藤浩市? 佐藤さんにはむしろ、もっと長く出演する役で出てほしいです。高橋克典は? ちょっと、重みが足りませんかね・・・。あるいは岸谷五朗・・・。彼がどこに出てくるか、ある意味戦々恐々だわ。や、最近見ないから、なんか変に私が緊張してるだけで、見てみると全然いい俳優さんだろうとは思うんだけど・・・。むむ、竹野内豊ってのもありじゃ? 今、想像してみて鼻血噴きそうになりました。最近の竹野内さんの男の上がりっぷりは目を瞠るもんがあります! 大河に出たら、『利家とまつ』の佐脇良之役以来かな?
秀吉といえば、かつて高度経済成長期には、その立身出世譚から人気ナンバー1の英雄だったこともありました。緒形拳、西田敏行などの代表作でもありますよね。私が初めて見た映像の秀吉は勝新太郎。弱冠27歳の新進俳優だった渡辺謙の政宗にとって、後姿で立ちションしてても斬れないような(ほんとにそういうシーンがあった!)オーラびんびん、強大すぎる秀吉でした。しかし1996年に竹中直人が主人公として演じたのを最後に、「太閤さん」「日輪の子」として親しみをもたれたり、あるいは完全に天下統一を成した英雄として偉大さを謳いあげられるような秀吉は、大河では見られなくなりました。
『利家とまつ』における秀吉は、香川照之の名をお茶の間に知らしめた出世作ともいえますが、実直で正義漢たる主人公・利家に対して、卑屈だったり卑劣だったり奸智に長けていたからこそ天下を取れたという側面がクローズアップされており、去年の『天地人』での笹野高史の秀吉も、人心掌握に長けた策士であるいっぽう、“利”に拠って天下をとったということで、“義”の上杉とは相容れない存在として描かれていました。2006年の『功名が辻』などでは、柄本明の秀吉は老醜が克明に描かれ、大勢の家臣の前で失禁したり、愛妾に口臭をなじられたりなど散々だったというではありませんか!(私は未見ですが)
社会構造の複雑化により、単純な出世譚、わかりやすい英雄としての秀吉はかつてほど好まれなくなったのか、あるいは、グローバルな21世紀、二度にわたる朝鮮出兵をした「侵略者」である秀吉を真正面から称えることが難しくなったのか。いずれにせよ、現在の風潮は2011年の大河にも引き継がれるのではないかと思います。聞くと、主人公・お江ちゃんに「サル」と呼ばれ、どうも蔑まれる部分があるらしいです。
となれば、ヒーロー的な役柄を求める役者には無理であると同時に、天下人でありながら恥部、暗部をもつという多面的な秀吉像を演じるにふさわしい、高い演技力が必要です。香川、柄本、笹野の系譜に連なるような、職人肌の演技巧者・・・。そして、準ヒロインたる淀を娶る役ですから、今回の秀吉も大役ということになります。
片岡鶴太郎はどうでしょう? 同じく田渕・屋敷P作品たる『篤姫』では三条実美を演じていましたが、イマイチ出番も少なく、不完全燃焼感がありました。鶴太郎の無駄遣いしやがって〜! ここはひとつ、1991年の大河『太平記』での北条高時ばりに、大役でガツンと怪演してほしい! ・・・と思ったら、秀吉役、特番ドラマで既に2回もやってますね・・・。
では、笑福亭鶴瓶はどーだ! 『ディア・ドクター』や『おとうと』など、映画での俳優業が高い評価を得ている、絶好調のつるべさん。NHK、絶対狙ってると思うんですよう。人たらしの秀吉、美しい淀にメロメロになる秀吉、老いて死んでいく秀吉を、きっと印象的に演じてくれそうです。
あるいは、まさかの水谷豊! 還暦を前に、役者としてさらなる飛躍を期しているに違いないこの人。NHK作品、時代劇作品は昨今少ないからこそ、大役での大河出演は本人にとっても裾野が広がるキャリアになるでしょうし、世間でも大変な話題を呼ぶでしょう。テレ朝とうまいこと交渉して、「相棒」シリーズの合間に、どうかひとつ!
あとは、意外性はあまりないんですが、中村梅雀とかね。1995年『吉宗』での徳川家重、2000年『葵徳川三代』での徳川光圀、2006年『功名が辻』での徳川秀忠など、大河においては徳川家の人間を多く演じてますね。『篤姫』での井伊直弼の好演はお茶の間の記憶にも新しい。今度の『江』では、「篤姫」組からどの役者がくるかも注目でるよね〜。小日向文世ってのも、なきにしもあらずではないかと思います。ただ、秀吉は、オープニングで大トメに近いところにクレジットされる役者がくると予想してるので、小日向さんだと、そこがちょっと外れてしまうかな・・・。
意外なところでは、中井貴一とか見たいんだよね、秀吉役で。何をやらせても巧いのはわかってるからね。こういう役も、そろそろいいんじゃないかと。2005年『義経』以来になるので、どのみちそろそろ大河にはくると思うんです。もうちょっと器用だったら、柳葉敏郎でもいいんだけどな〜。民放ではやったことあるっぽいね。
過去の大河リストを見ると、両極端です。長命な彼ですから、『武田信玄』や『信長』のように、天下をとるまでは描かれない場合もあり、そういうときは若き日の中村橋之助だとか、郷ひろみだとかがキャスティング。しかし、郷ひろみの家康・・・見てたはずだけど全然記憶にないな。幕府をひらくところまでちゃんと放送する場合は、打って変わって、丹波哲郎、津川雅彦など、いかにも「狸親父」的な、超大御所俳優がデーンと君臨することになります。
去年の『天地人』では、脚本がアレってこともあったんで、松方弘樹は妙にイロモノっぽくデフォルメした演技に徹していましたが、2011年は、家康は主人公・お江ちゃんの舅にあたります。関が原・大阪の陣もたっぷり描くでしょうから、後半はおそらく出ずっぱりになるでしょう。キャストクレジットは当然大トメです(断言)。「篤姫」における高橋英樹、北大路欣也的な、正統派大御所の出演が見込まれます。
そうか〜、津川さんは2度やってるのか〜。いかにも家康な雰囲気だもんね〜。ここ数年、大河では見てないので、ぜひにと思ったけど、3度目はないかな〜。『葵徳川三代』のことはもちろん覚えてたけど、『独眼竜政宗』でもやってたとはね〜。50歳になるかならないかって頃。けっこう若いときから、家康やってたんだね〜。ここ数年、大河で見ていない大御所といえば、西田敏行の名も思い浮かぶんだけど、こちらも『功名が辻』で演じ済みなのか。5年のブランクではちょっと短すぎるので、なさそうですね。
大物俳優。。。世界のナベケンこと渡辺謙ならば、誰もが納得するでしょう。視聴率アップにも直接結びつきそう。若々しく精悍なイメージの謙さんですが、実は円熟の50代に入られてることだし、ここらで「狸親父」的境地を開いてもらっても不自然ではありません。謙さんの演技の説得力たるやすごいもんですから、どんな役だって見たいですよね〜。もう出てくれるなら何でもいい、って感じです。『坂の上の雲』ではナレーションやってくれてるし、大河出演も無きにしもあらずだと思うけどな〜。2011年の謙さんのスケジュール、どうなってるんですかね。もう決まってそうだよね。
あるいは、最近見ない“ミスター大河”なら石坂浩二。1970年代は2回、'80年代も2回、'90年代も2回、それぞれ大役で出演していて、21世紀に入ってからは2004年『新選組!』のみですから、いかにもそろそろ感があります。屋敷P、こういう正統派俳優、いかにも好きそうだしな〜。"大御所"“狸親父”ならば、間違いないところで仲代達矢や平幹二朗といった面々も思い浮かびます。長い俳優人生の中で、ふたりとも当然のようにどこかで家康やってそうだな。ま、近年でないならそれはいいにしても、ご年齢のこともあるので、本命とはいえないかも。
ここ数年、テレビ界ですごい活躍を見せている竜雷太もいいなあ。2007年『風林火山』の甘利虎泰役は泣けました。あのときはキャストクレジット大トメは飾ってないよね(たぶんサニーこと千葉真一にさらわれていた・・・良く考えるとそれもどうだろう・・・)。70代に入られた今、大河大トメの栄誉を彼に差し上げたいです。
目線を変えて、歌舞伎界からの大御所招聘はいかがでしょう。2011年といえば、歌舞伎座もまだ建替工事中ですよね。もちろん、劇場は他にも全国各地にありますのでお忙しいでしょうけど、ここはひとつ、あらためてお茶の間にババーッと顔を轟かせておくってのはいかがでしょう。2013年ですか?新しい歌舞伎座完成の暁にも集客に寄与するに違いありません。
ということで、高麗屋松本幸四郎。1978年『黄金の日々』では主人公・呂宋助左衛門も演じた彼に、21世紀の大河で大トメを飾ってもらおうじゃありませんか。歌舞伎以外のライフワーク「ラ・マンチャの男」はちょっとお休みしてもらってさ・・・。でなければ、中村屋中村勘三郎。1999年『元禄繚乱』の主人公、大石内蔵之助はもちろん、1988年『武田信玄』における今川義元役でも強烈な印象を残した彼ですが、勘三郎の大名跡を継いでからは、一度も出てくれてないですよね。出ようよ〜そろそろ。
◆
長くなりましたが、三傑のキャスティングについて考えるのはやっぱり楽しい。回顧、妄想は尽きません・・・。