2011年大河ドラマ「江」キャスト予想その4 江の両親と継父
主人公・江(上野樹里)の母、お市の方。プロデューサーとして、女優(事務所)に「演じませんか」と声をかけるとき、今回もっとも楽勝な役かもしれません。というかむしろ、女優(事務所)のほうから「やりたいやりたい」と複数の売込みがきて、選ぶのに困るんじゃないか、っていう心配のほうがあるくらいです。お市の方とは、女優にとって、かほどに“垂涎の的”である役といえましょう。
織田信長の妹として生まれた市は、最初に嫁いだ近江の大名・浅井長政と兄が戦になり、城は落ち、夫は自刃。息子のうち、嫡男はのちの禍根を絶つため兄に殺され、次男は出家させられたといわれています。三人の娘とともに兄に庇護されるものの、兄が本能寺で果てたのちは、その重臣・柴田勝家と再婚し、娘たちを連れて越前へ。しかしまもなく、二度目の夫と秀吉が争うことになります。秀吉は市の命を助けようとしますが、彼女は拒み、燃えさかる北の庄城の中、夫とともに自害して果てるのです。
高貴な血統に生まれながら、この数奇な生涯。加えて、「戦国一の美女」といえばこの人です。そして、美貌のみならず、非常に聡明な人だったともいわれている。それゆえに信長にかわいがられ、夫とも仲むつまじく過ごし、再婚のときも「お市さまが欲しい」という男は引きもきらなかったというのが定説です。まだ身分低かった秀吉が、高嶺の花である彼女に横恋慕していたという設定も、戦国ドラマや小説のいたるところに見られます。女としての魅力、子沢山の母としての慈愛、そして悲劇的な運命。女優として、これほどおいしい役は、望んでもそんなにあるもんじゃありません。
よって、今をときめく女優がこれまでも数々、市を演じてきました。市とその長女である淀殿(茶々)の両方を(むろん別々の作品でね)演じた女優もけっこういるんじゃないんでしょうか。夏目雅子なんかその例ですね。まさに正統派の美人女優だったという証といえましょう。
私の心に残っているお市の方は、昨年亡くなられた、1996年の大河『秀吉』における頼近美津子さん。それまでまったくこの人のことを知らなかったこと、しかも本業の女優さんでもないし、当時すでに40歳を越えていたことから、最初は「なぜ?!」と思えてならなかったのですが、見ているうちに非常に引き込まれていきました。
このときは信長役が当時55歳の渡哲也であったことから、市の役もあるていど年上の人になったのでしょうが、兄の狂気の部分をただ一人理解し、共感していたかのような底暗い情熱を秘めたお市でした。しかし、嫁いだのちは夫・浅井長政を深く愛します。浅井氏滅んだあと、死んだ夫や舅の髑髏で金の杯を作り、それに新年の酒を注いで「飲め」という信長に対し、切々と泣いて訴えるシーンなどは忘れられないものです。
大河ではありませんが、テレビ東京の2009年新春ワイド時代劇、「寧々〜おんな太閤記」で高岡早紀が演じたお市の方の美しさも記憶に新しいところです。優しげで、情感があって、凛としており、高岡さんは同年秋に「JIN」で病んだ遊女役も良く、時代劇が似合う人だなーという思いを新たにしました。また大河にも出て欲しいです。
こんなことではちっとも話が進みませんので予想に移ります。
ずばり、本命は松嶋菜々子です! 上野樹里の母役としては少々若い気もしますが、お市は末娘のお江が10才のときに亡くなりますので、ありではないかと。母役というのは初めてになるのでしょうが、母としてだけではなく女としての格みたいなものがある役だというのは、松嶋さんにとっても魅力的な役のはずです。2002年に「利家とまつ」で唐沢寿明とダブル主演をつとめた彼女にとって、大河ドラマへの再登板としてはこの上もない役柄であり、またNHK側としても大きな話題を呼ぶことができるでしょう。
次点は篠原涼子。産休後、2010年の仕事の予定はどうなっているのか存じませんが、来春、大河の「市」役で本格復帰というのもいいんじゃないでしょうか。しばらくブランクのあるビッグ女優の本格復帰ということで、こちらも話題性に富んでいます。篠原さんは2001年の大河『時宗』で、渡辺謙のお妾さんの役をやっていましたが、エキセントリックで女の哀しい性にみちた演技でとても心に残っています。時代劇も似合う女優さんです。
同じく、実生活でも母になった宮沢りえ案も考えられます。龍馬を福山さんが演じるとわかったとき、私のおりょう役の予想は宮沢さんだったんですけどね〜。福山さんとの年齢もつりあうし、今や日本を代表する女優のひとりだし、大河ドラマに出演となると久々なので話題性にもばっちり。折しも妊娠してしまわれたのでその望みも潰えましたが、ぜひまた大河で見たい女優さんです。
そうでなければ、松雪泰子や鈴木京香、夏川結衣など。2009年「ツレがウツになりまして」でNHKドラマの主演を経験した藤原紀香も怪しい。紀香さんの事務所の元締・バーニングも、お市の方役なら喜んでブッキングしてくるでしょう。ちょっと目先を変えたところでは、川原亜矢子なんてどうかと思いますね。オーラのある美しさ、ていう市の条件にぴったり。CMなどで母親役もやっていますから、抵抗もないでしょう。あるいは、芸能界復帰を希望していると言われる鈴木保奈美がここにきても話題になります。でも鈴木保奈美はね〜、1999年の大河『元禄繚乱』にいい役で出演してるときに妊娠して、NHK側ともめたって話があるから、難しいかな〜。はっ、まさか、中山美穂じゃないよね?!
ともかく、アラフォー世代で輝く第一線の女優のキャスティングが予想されます。今回、お市の方の出番は、2〜3月までになると思うんですよね。民放の1クールほどの期間で、いいイメージだけを残せる役。最高です。断る理由があるでしょうか。NHK側も、3ヶ月分であれば、アラフォー世代のトップ女優に高いギャラを払えるでしょう。淀役にアラサーのトップ女優をもってきて一年間高いギャラを払い続けるより、ここに短期間で資力を注ぎ込むほうがコストパフォーマンスがいいはずです。
本来は、「篤姫」における宮崎あおいの母親役が当時49歳の樋口可南子であったように、上野樹里の母親役ならば50歳前後の女性を選ぶのが自然なのかもしれませんが、早く死ぬ(史実でも市は30代後半で亡くなっています)役であること、また、アラフォー以上の世代でお江ちゃんの母親的役の女優の需要が、ほかの役どころであるものですから、ここはやはりアラフォーでしょう。うん。
実質の出番は第一話のみ、あとは回想として生前のエピソードが語られるくらいだと思うんですよね。かといって、生半可な人選はできません。大河ドラマでは、主人公の両親のキャスティングには非常に重きを置いています。親子の絆や情愛を描くのはお約束なんですね。
それに、信長の妹という誇りを持ち、戦国一の美女とうたわれる・お市の方と、7年の結婚生活の間に5人も子どもをもうけるくらい仲睦まじく過ごしたのだから、浅井長政という人は相当魅力的な男だったに違いないありませんし、自身も美男だったともいわれています。加えて、義兄・信長に負け、燃える城の中で自刃するという悲劇性にも似合う役者でなければ・・・。
ということで、どうせ1話かそこらだけなんですから、ここはNHKさんにもケチらず、バーンと太っ腹でいってほしいですね。お市の方がアラフォー女優という予想にあわせて、男性もそのあたりか少々上の年代の人を選んでみます。
椎名桔平なんてどうでしょう。あるいは、渡部篤郎。仲村トオル。いずれ劣らぬ40代の正統派俳優です。ただ、一話のみしか見られないのはもったいない気もしますね。
ちょっと目先を変えるなら、久しぶりに緒形直人。あるいは、今年龍馬の母として第1話のみの出演であった草刈民代のように、異業種の有名人かもしれません。バレエダンサー熊川哲也とか・・・うーんいまいちこれって人を思いつかないな。
上野樹里の事務所の大先輩である岸谷五朗が、きっとこの大河でなにがしかの役を受けると思うのですが、浅井長政ってことはやっぱりないですかね。もっと出の多い役ですかね。
ついでに、お市の方の再婚相手であり、江たち三姉妹の継父となる柴田勝家についてもここで検討します。
信長の父、信秀の代から仕える古参の重臣。武勇の誉れ高い鬼武将。しかし政治力も高く領国経営にも手腕を発揮したという。継室であるお市よりはだいぶ年上であり、その結婚生活は1年あまりと短かったが、勝家を心底嫌い抜いていたら、市は彼と共に北の庄城で死ぬことを選んだでしょうか。破竹の勢いの秀吉に破れる最期だけれども、悪い人間としての描かれ方はしないんじゃないかと思うんですよね。
歴史上有名な人物であり、決して暗愚な武将として扱われることもないので、それなりの役者がくると思うんだけれど、なんせこのドラマには三傑のキャスティングが控えていることを思うと、むちゃくちゃな大物をここで使うことは考えにくく・・・。
イメージ的にヒョロっとした人は論外で、どちらかというとデーンとして、重みをかもし出してほしいですよね。市村正親なんてどうでしょう(もちろん、市が篠原涼子でない場合限定で)。ビッグすぎますか・・・。では、三浦友和。あるいは、國村隼。この辺であれば、なかなか現実的じゃないですか?
2009年「天地人」で何だか小物な北条氏政の役をやっていたのが無念なので、伊吹吾郎さんにここでリベンジしてもらうってのもいいですね。フジテレビドラマ「BOSS」で好演していた塩見三省さんでもいい。あるいは、2007年『風林火山』で、鉄砲の里の長・津田監物を激渋く演じていた舞台俳優、吉田鋼太郎さんもイメージにぴったりです。うん、この役では、超大物じゃなくてもいいから、味のあるうまい役者さんが見たいですね。キャスティング発表が楽しみだ。