2011年大河ドラマ『江』キャスト予想その3 大河に出るメリット・デメリット
前回の予想について、ちょっと補足を。なぜ、淀役にトップ女優がキャスティングされないのか? ということについての、私なりの見解です。
まず、1年間出ずっばりのサブヒロイン・淀にトップ女優を使えるほど、大河ドラマの予算は豊富ではありません。いかに50作目の記念作であっても、受信料収入が減るいっぽうのNHK、予算が急に増えるとは思えません。
現に、福山龍馬の副主人公で一年間出るのは香川照之であり、妻夫木兼続の副主人公で一年間出たのは北村一輝。ふたりとも、演技力には定評がありますが、キムタクやなんかをサブ扱いで!一年間出すよりはギャラはだいぶ安いはずです。ギャラを惜しまずトップ俳優を使うなら、むしろ主役と同世代ではなく、50〜60代の大御所です。大河ドラマにとって中高年の視聴者にアピールすることは大事だからです。
また、女優(事務所)の側でも、1年間重要な役で大河に出続けるとなると、時間的な制約があり、他の仕事はそれなりにセーブしなければなりませんが、主役でもないのにトップ女優がそれに付き合う義理はありません。彼女らには他にもやりたい仕事、請われる仕事はいくらでもあるのです。
若手役者にとって、ギャラの安い大河の仕事で得られるものは、「大河ドラマに出た」という“格”です。しかも1年間にわたって出演すれば、世代を問わず知名度が上がり、ハクがつく。「安いギャラ、めんどくさいNHKでがんばった」ことにより、まじめな役者として作り手やスポンサーからの信頼度もあがります。それによって、民放ドラマや映画で美味しい役がまわってきたり、いいCMの仕事がきたりする。もちろん、一年間というスパンで多くのスタッフや別世代の俳優たちと共演することによって得られるものも大きいでしょう。
逆に言うと、今さら大河でわざわざ1年間かけてそういう「営業」や「勉強」をしたり、「経験」を積まなくてもいい役者には、メリットが薄いのです。
私は上野樹里は好きな女優さんですし、「篤姫」以上の人気を期待される大河の主演女優に彼女が選ばれたのを嬉しく思っています。彼女の演技力、女優魂は宮崎あおいに引けをとらないと思っていますし、来年にはそれを今まで以上に多くの人が認めることになるでしょう。であればこそ、彼女と同世代の女優(その事務所)にとって、淀役での共演はリスクも伴います。フジテレビドラマ「ラストフレンズ」で、主演である長澤まさみを彼女の演技が喰ってしまったのは記憶に新しいところですからね。
今以上の知名度や良い仕事、ハクづけ、新たなファン層を望んでいる。今回、淀を演じる女優(事務所)にはこんな思惑があると予想します。演技力については、上野樹里に見劣りしないことが前提だし、視聴者としてもそうあってほしいものですが、演技力の評価は二の次でも、ここで1年間出て名を売りたいという女優(事務所)がいてもおかしくありません。
そう考えると、次々に主演ドラマが舞い込む菅野美穂や、演劇界でも主演映画でも高い評価を得続けている松たか子、映画の封切りが続いている竹内結子や柴咲コウ、ドラマでも映画でも乗りに乗ってる綾瀬はるかが主役でもないのにわざわざ大河に出てくる気がしないのです。
ただし、中谷美紀はちょっと謎ですね〜。彼女はアラサー世代のトップ女優でありながら、「ガンジス川でバタフライ」で長澤まさみの脇役(もちろん重要でおいしい役でしたが)に出たり、「JIN」でも年下の綾瀬はるかとのダブル主演を引き受けたり、「ゼロの焦点」では広末さんの脇役で出る(これも実質、途中からは中谷さんが主役だったという話も聞くけど)など、仕事選びに独特なものを感じます。自分が面白い、興味あると思ったら主役でなくても出てきそうです。
ただ、やっぱり、1976年生まれということで、上野樹里とは10歳違いますからね、しかもあのとおり、大人の女にしか見えない顔立ち。加えて、このドラマでは「お市の方」という、姉妹の母親も重要な役で、ここにはアラフォー世代の女優がくると睨んでいますから、そうなるとちょっと年かさすぎるかな〜と思います。
だからといって、イチ押ししてる麻生久美子さんがトップ女優でないと貶めているわけではありませんよ。デビュー作「カンゾー先生」以来、麻生久美子さんも大好きな女優です。しかし、麻生さんは映画とか深夜ドラマでの活動が中心であるため、プライムタイムのテレビドラマに出続ける女優ほど、お茶の間の知名度がないのは事実です。現に私の母親なんかは、菅野美穂を知っていても麻生さんは知りません。そういう知名度やお茶の間の大衆の評価を、これまでの麻生さんは欲しがっていなさそうに見えていましたが、これからはわかりませんからね。
ということで、次の項へ!