『坂の上の雲』第2回 青雲

前回のサブタイトルは「少年の国」だったことをあとで知った。なんてぐっとくるんだろう。司馬さんのしわざ(?)ですか?

「まことに小さな国が、開化期を迎えようとしている。・・・・(中略)のぼってゆく坂の上の青い天にもし一朶の白い雲がかがやいているとすれば、それをのみみつめて坂をのぼってゆくであろう」

という原作からの文章は、毎回、冒頭でナレーションがあるみたいですね。渡辺謙、ナレーションもいいなあ。力みがなく、でも凛としていて、司馬遼太郎の文章とすごく相性がいい感じがする。しかしこの名文は、原作ではどのあたりで出てくるんでしょうね。

さて今日の感想ですが、切ないね〜。モックン、香川照之菅野美穂、若者たちがゆく、あるいはゆかざるを得ない、それぞれの道。モックンの置手紙を読んだあとの香川照之の演技、東京でモックンと別れぎわの菅野美穂の演技、伊予の砂浜で「女だって一身独立できる。わしは絶対そう思う」と、菅野に優しく語りかけるモックンの演技。大人になってゆく3人がまぶしく、切ない。てか、ほんとに今まさに大人になっていってるように見えるけんね、あの人たち。役者ってなんなんだ。あーしかし、思い出しただけで鼻の奥がツンときそう。

それから阿部ちゃん、先週は「いつもどおり」なんて言ってすまんかった。あなたの有無を言わせぬ立ち姿と眼力の稀有さに感じ入った。まあいつもと一緒なんだけどね。あの、フランスの馬丁さんみたいな、白いシャツに赤いちょっとだぼっとしたズボンをブーツの中に入れ、サスペンダーで吊る!なんていう出で立ちがあんなに似合う日本人、彼以外に誰がおろうか。フランスから弟モックンに宛てた手紙、

「貧乏神は生来わしの友人だから、何の苦もない。大いばりで暮らしておる」

みたいな文章、良かったなあ。胸がすっとする。

このドラマを見ているのは、主に中高年や、私のように司馬好きの大河好きというマイナー人種なのかもしれないが、中学生や高校生が見てもじゅうぶん面白いんじゃないかと思うし、NHKはそれをじゅうぶん意識して作っているんじゃないかとも思う。まさかこの平成の世の10代に、秋山兄弟のような気宇壮大さをもてとはとても言えないけど、自分をもてあます感じ、がむしゃらにいきたい感じ、いつかそれぞれの道が分かれていく予感、そういうのってやっぱりあるだろう。