女子10,000m決勝:ベルリン世界陸上

女子10,000m決勝。といっても予選はない。日本からの出場は、福士加代子中村友梨香佐伯由香里の3選手。明け方近くの中継だったのでDVDに録って見ていると、夫が「途中は飛ばしたら?」なんて言う。とーんでもない! エチオピア・ケニア勢が圧倒的に強いこの競技、最後は抜かれるとわかっていながらも誰がレースを引っ張り、各選手がどういうレースを組み立てるか?てのが見どころなのだ。

現に序盤から中村が果敢に先頭に立っている。6,000くらいでひゅいーっとアフリカ勢5人が出てくると、さすがにもう誰も追いつけないのはわかりきったことなので失望もせず、むしろ、このあと彼女は下がるのみで、そろそろ福士さんが出てきて日本人トップを飾るのだろう、と予想していたら、カメラが先頭争いを追っている間にちょこちょこ映る中村さんは驚異の粘りで7位入賞。ここ数年、この競技を日本人として引っ張ってきた福士さんは、最高のコンディションだといわれながらも9位。しかしこれだって、福士さんにとっては世界大会最高の順位なのだから、中村さんのがんばりがわかるってもの。

しかしこの競技で脚光を浴びたのは、最後尾でゴールした佐伯選手で、142cm、30キロというミニマムな彼女が、2周回遅れでたったひとり走り続けるのだが、そこに悲壮感は全くなくて、大きく手足を振り、最後は満面の笑顔で両手をあげてゴールするものだから、観客もおおいに盛り上がっちゃって、マスコットに抱っこされてぐるぐる回るわ(足、30cmは地上から浮いてた)、地元メディアにインタビューされる模様が大スクリーンに映されるわで、世界大会でこういうシーンも珍しかった。

ちびっこ連盟の一員たるわたくしのみならず、それは、日本人なら何となく心温まっちゃう光景で、アナウンサーは高らかにその様子を伝え、解説の増田明美さんや、キャスターの中井美穂さんも興奮ぎみに彼女を称える中、ひとり別の反応を示したのは織田さん。「いやあ・・・次は結果で、注目されてほしいですね。」と苦笑しながらのコメントに続いて、中井さんが優勝したマサイ選手を紹介すると、「彼女も佐伯選手と同じ年ですからね。佐伯さんもぜひ結果を出して!」とダメ押し。確かに、上位選手はどこ行った? 中村、福士のすばらしい結果にも触れてくれ〜とは、テレビ見ながら思ったけれど、いやあ、いいね、織田さん。そのマイウェイっぷりが織田さんの真骨頂だよ!