『辺境・近況』(村上春樹) ※再読

辺境・近境 (新潮文庫)

辺境・近境 (新潮文庫)

メキシコやノモンハン、震災後の神戸を旅して書かれた旅行エッセイ。

もう10年以上前の刊行だと思うが、あらためてこれを読むと、村上春樹エルサレムにおいて、かのようなスピーチをするに至ったことも、じゅうぶん頷ける気がする。戦争や震災が、どのように個人を破壊するか、それがどんなに許せないことか。個人の尊厳について、彼がどれだけセンシティブか、ってことがよくわかる。


ノルウェイの森」や「海辺のカフカ」を読んでもピンとこない人(私もきっとそうです。未読だけど)や、いわゆるハルキスト的な年代よりもずっと年上の人にも、これは読んで欲しいなって思う。