私とブログと糸井重里事務所!

今、とても刺激的な出来事があったので発作的に書き残しておく。(や、大方の想像に違わず、読んでくれる人にとっては大したことじゃないです悪しからず。タイトルも誇大広告です。)

ここ3年ほど、すごく面白いなと思って読んでいたブログが、「東京糸井重里事務所」で働く人によって書かれていることを知った。

どうしてわかったかというと、ブログで「退職のご挨拶」としてその旨、書かれていたからだ。電通で働いているところを、糸井さん本人に誘われて彼の事務所に移り、ほぼ日手帳を担当されたらしい。新たなステージを目指しての退職であるとして、糸井さんや前職の関係者に対する謝意が綴られている。

糸井さん、そして「ほぼ日」は私にとっても大きな存在だ。ほぼ日手帳もほぼ日ハラマキも愛用しているし、「ほぼ日刊イトイ新聞ができるまで」の本も、糸井さんと池谷さんの対談本「海馬」も持っている。もちろん、「ほぼ日」サイトも愛読している。てことはつまり、単なる所有とか習慣ってだけじゃなくて、それらに少なからず影響を受けているということですよ。

「つねに光あるほうを向いている」、「まず何でも受け容れる」ような*1糸井さんの態度は、若いころには安易で独善的な気がしてた。批判精神こそが教養ある大人の示すべき気骨だ、なんて信じていたから。でも、頑なになってちゃ人生もったいない、と思うくらいには自分も年をとったし、何より、糸井さんの器の大きさ、頭の柔らかさははすごいな、と感嘆して。

そうやって虚心坦懐に見れば、ほぼ日ってめっちゃ面白くて魅力的で刺激的ー! 当然、あこがれの存在じゃないの。そこで働く人なんて。

知らず知らずのうちに、その「あこがれの人」が書いていたブログを読んでいたんだ私〜! ってことになって、テンション上がらないはずがありません。いやぁ、やっぱり糸井さんとこのスタッフともなるとすげーな、面白い仕事を精力的にやってるんだろうに、ブログまでこんなに面白いだなんて、と感心しきり。

そこで、ふと思ったわけですよ。「あれ? 私、この人のブログ、どうやって知ったんだっけ?」 ・・・・・・そして考えること数十秒。もうほんと、すっかり忘れていた記憶がよみがえってきた。

読者諸兄(と、何様な呼びかけをしてみる。)は、2009年の初め、村上春樹エルサレム賞という文学賞を受賞したのを覚えておられるだろうか。

受賞式での春樹のスピーチ「壁と卵」をニュースなんかでごらんになって記憶されてる人が多いのかもしれない。あの受賞事件(?)においては、それがハイライトになるんだろうけど。

私には、当の受賞式の1ヶ月ほど前の出来事が、とても印象的だ。受賞が決まってから、エルサレムに春樹が姿を現し、受賞式であのスピーチをするまでの約1ヶ月というもの、ネットでは、受賞についての喧々諤々がすごかったのだ。

春樹は、エルサレムに行くのかどうか? 行くべきか否か? 受賞式ではどんなスピーチをするのか? どんなスピーチをするべきか? 当然、中東情勢と絡めての論議。ガザ空爆の激しい頃だった。

その論議は、およそ私が経験したことのないほど活発なもので、中東情勢にも、村上春樹の小説にも不勉強で不案内ながら、つい、触発されて自分もブログに記事なんか上げてしまったのだ。

私のブログなんて、1日のユニークアクセスは100にも満たないくらい(だったと思う)。ネットの大海に波を立てるどころか、生まれては消える無数の小さな泡のひとつにすら、なるかならないか、といったところの小さな記事だ。

けど、その割に、普段から読んでくれている人だけでなく、まったく存じ上げない方からも、いくつかの反応があった。コメントをもらったり、自分のブログで言及してくれたりした。

その一つが、このブログを書いている方によるものだったのだ。

村上春樹さんが「エルサレム賞」という文学賞を受賞する(参照)とのことで、よく読んでいるブログなんかにも村上さんについての言及が多く、ちょっとした村上春樹論ブームみたいな感じになっています。
(中略)
読んだ中では、村上春樹なる存在 - moonshine---the other side」が最も中立的で私にはおもしろく読めました。主要エントリのリンクも列記されていますので、このエントリを起点にしたり、はてなブックマークなどで辿ると、村上春樹さんについての深い言及をたくさん読むことができると思います。

『ある広告人の告白(あるいは愚痴かもね)』-「アンダーグラウンド

わおーん!(恥ずかしげもなく太字を使ってみた。)

自意識を満足させてもらったという動機をすっかり忘れてしまうくらい、純粋に面白いと読んでいたブログを書いてる人が、私のブログを面白いと思ってくれたことがある! しかもその人ったら糸井さんとこで働いてた(くらい優秀で面白い人)!

この方に限らず、このときにもらったコメントや反応は、どれも面白くてうれしいものだったなあ・・・とも思い出して、興奮の朝だった。

ということで、くだんのブログの記事も貼っておく。読み返すと、書いた当時の興奮もよみがえってきたので、その周辺記事、つまり授賞式のあとで書いた記事も貼っておく。

*1:いわゆる文化人としての。私は、広告人としての糸井さんの姿はほとんど知らない