『きのう何食べた?』7巻 よしながふみ
- 作者: よしながふみ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/12/03
- メディア: コミック
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この巻の白眉はなんといっても、「史朗、ケンジを連れて正月の帰省」。「連れてきなさい」と親に言われたのが前年の正月で、読者も一年以上どきどきと待ってましたよー。しかし、さすがのよしながふみ、前のめりに“ぐっとしどころ”を持ってくる。ふたりでの帰省を決意するシロさんの胸中として、
「ゲイの何たるかを分かってほしいってことじゃなくて 少なくとも今俺が 両親が思ってるよりは不幸じゃないってことを分かってほしくて ケンジを連れて行こうと思ったんだ」
とゲイカップル仲間に打ち明けさせるのだ。なんかねー。この、「思ってるより不幸じゃない」っていう述懐が、一凡夫(女ですが)のわたくしながら、それなりのあれこれがないでもなかった年末に読むと*1、ぐっとくるのでした。こういう表現をする作品って、とても大事にしたいと思える。
それで実際に帰省すると、わかりやすい大団円というわけでもなく、かといって破たんするでもなく、あらまー、そういうこと?っていう肩すかし食らわされて、でもそれが「うわあ」ってなリアルで、驚かされる。
富永さんのお嬢さんの話での「どこの家でも みんな 何かしらはあるってことだ」って結論も好きだった。マイノリティを描きながらもこんな普遍性。よしながさんはほんとすごい。
*1:年末に書いてた感想です