『オードリーのオールナイトニッポン一年史』
- 作者: オードリー,オードリーのオールナイトニッポン編
- 出版社/メーカー: 大修館書店
- 発売日: 2011/05/06
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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オールナイトニッポンでのフリートークの名作の数々が収められたこの本。オードリーといえば漫才で有名になったけど、フリートークの面白さにも刮目すべきものがある。職業関係ないころからの友だち、って感じと、長い下積み時代、ものまねパブでのライブで鍛えた話術とが合わさって、活字になってもぐふぐふ笑わせてくれる。
先に出版された『小声トーク』とは違ってブレイクしてからの本になるので、ビンボーでもなく、閉塞感もない。そうなると、そういうフィルター取っぱらったうえで「オードリーのなんたるか」ってのが明らかになるんだけど、この人たち育ちがいいのね。まあ、中高一貫の私立高校に行ってるくらいだし。
若林野球少年の親子鷹状態とか、アメフト部時代に両腕組んだまま先輩に張り飛ばされる春日とか、「おっかしすぎるだろ!」ていう昔話はこの本でもいろいろと読めて、やっぱ芸人になるような人は違うな、と爆笑しつつ感心させられるんだけれども、基本はちゃんとした家庭でのびのびと育った男のコたちですよ。
そして、芸人としての実力はとっくに広く認められているところだと思うんだけど、ベースにあるその普通さも彼らの魅力だと思う。若林が黒いとか人見知りとか屈折してるとかいっても、春日のすこやかさでプラマイゼロになるもんねえ。
ヒーローでも兄貴分でも孤高でもない面白い友だち。変だけどズレてるわけじゃないし、一緒に遊べるし、遊んだら抜群に面白い。そんな感じがオードリー。仲間内っぽいラジオの世界にもすごく合ってると思う。実際のラジオでは、もっと真夜中な感じのネタやトークもいろいろあるんだろーな。
◆
(アメフト部の試合のとき、ショルダーの下に着るTシャツの乳首に穴を開けて着ていた春日さん。誰にも見えないところに秘密を抱えているという思いが、テンションをガッと上げさせ、いつも以上の力を出させるとのこと。しかし、あるとき試合にボロ負けしたため、直後にミーティング。春日さんは乳首を隠すためずっと腕組みをしている。実話ですよね?)
春日:一年生なのに、先輩のお叱りを、腕組みなんかしながら、聞いてるわけだから、まぁ見つかるわけじゃない? で、見つかってキャプテンに「お前ちょっと来い!」て言われてねぇ。
若林:「何だその態度は?!」ってね。
春日:「何でおまえ、下級生なのに腕組みして聞いてんだ!」つって。
若林:あの時、ホント一年全員が、これは大変なことになるぞ! と思ったよ。
春日:「腕組みとけ!」って言われて、バッと取ったらさぁ、乳首丸出しだったらさぁ、それはもう、ホントに…
若林:緊迫感走りましたよ。
春日:そうでしょ。それで何回も言われるんですけど、「何で腕組みしてんだ?! 腕組みお前、外せ!!」って言われて、「できないっす」ってず〜っと言ってねぇ。
若林:前呼ばれてね。春日とキャプテンの押し問答ですよ。一対一の。
春日:「腕組みしないでちゃんと聞け!」って言われて、でも絶対外さないわけですよ。キャプテンが業を煮やしてね、「バカ野郎!」って、バチーンってビンタして、春日は吹っ飛ぶわけですけど、その吹っ飛ぶときも、腕組みをしたまま、こう吹っ飛んでね。
若林:ズッサー! つってね。
春日:絶対、見られたらまずいから。そんなんありましたなあ。
若林:あったねぇ。
春日:それを非常に思い出しますよ。
若林:腕組んだまま、なんか甘い土下座みたいなのしてましたもんね。すいませんでした〜つって。
春日:でも外さなかったからね。
若林:腕組みながらの土下座、初めて見たよ、俺そんとき。
春日:「どういうことなんだ!!」つって。「謝ってんのかナメてんのか、どっちなんだ!?」
二人:アハハハハ。