■昨日の女子マラソンのこと:北京五輪

  • ヌデレバさんは、昨今の一流マラソン選手なら当たり前にするコースの事前下見を、何と、しないらしい。

『「もし急に目の前が坂だったらどうするの?」と増田さんが聞いたら、「そんなの私には変えられないんだから、しょうがないじゃない!」だそーです』
ほぼ日刊イトイ新聞 内 観たぞ!アテネオリンピック より)

男前だ・・・。でも、だからトメスクの抜け出しを見逃しちゃうのね。あたしはそんなヌデレバさんが大好き。

  • このヌデレバさん、小柄で、ありったけ細身の筋肉質で、軽い走り方がとても綺麗。
    マラソンを見てて思うのは、走り方って「お箸のもちかた」「エンピツの握り方」みたいな正しいのは全然ないんだなってこと。
    世界の一流選手たち、走り方はそれぞれ、シロウト目に見ても、全然違う。
    あるときはラドクリフが勝ち、あるときはヌデレバが、野口が勝ち、そして今回はトメスクが勝った。
    どれが正しいとかないんだな。
    それはとても、すばらしいことのように思える。
  • 昨日のテレビ中継での解説は有森裕子さんだったが、彼女の解説には、批判も多い。
    なんたって、あの鈴振るような声をもつ、慈悲深く優しい増田明美さんの解説と比べる人が多いのだろう。
    もちろん増田さんはすばらしい。ほんとうに、陸上競技と、陸上選手に対する愛情を感じるから。
    でも私は、有森さんの解説も大好きだ。
    あの硬質な声、理知的でクールな解説。

福士加代子がバテようと、土佐礼子が痛みに耐えかねようと、高橋尚子が遅れようと、まったく同情の色を見せない。
あるいは、野口が高橋が金メダルを獲ろうと、過剰な称賛で盛り上げない。
それは有森さんらしいやり方だと思う。
決して冷たいんじゃない。彼女は、選手としての栄光も挫折も知り尽くしているんだもん。
彼女はきっと、同情も変なヨイショもされたくない、って思うタイプなんだろう。
それに、叙情的でなくても、彼女の解説は十分に、見てる人たちにわかりやすく、いろんなことを伝えてくれる。
でも、いつか高橋尚子が、野口みずきが、マラソンレースの解説をする日もくるのかな。それはそれで、聞いてみたい。マラソンファンとしては、やっぱり。

  • トメスクヌデレバラドクリフ、シモンのように、女子マラソンはいつのまにか、30代になり、家庭をもっても走り続けるランナーが一流であり続けることのできる競技になった。
    日本は伝統的にマラソンに強いけど、この潮流には、まだ追いついてない。世界大会レベルで強い三十路ランナーが出てきたら、もっとうれしいのにな。