皐月の十一 / 「村上RADIO ステイホームスペシャル」

●5月某日: 夫が会社に、子どもが学校に行くと、なんともいえない解放感というか「うん、こうでなくちゃな」的な気持ちになりますね。そんな朝、タイムフリーで聴き始めた「村上RADIO」に爆笑しちまった。いつものムラカミ節を音声で聞くのがこんなにおもしろいとは。でも最後まで聞いたらやっぱりじんわり感動。さすが村上さん。

www.tfm.co.jp

facebookより)
なんせ、村上春樹がしゃべりだすと、20秒に1度は笑えるw 今夜放送予定の「おげんさんといっしょ」はもちろん、第七世代の芸人たちも、私をここまで爆笑させるのは不可能であろうw

いや、村上さんはごくまじめにしゃべっているのだ。でも、20秒に一度は繰り出される「ムラカミ節」の威力が‥‥! 

「もやもやと溜まっている憂鬱な気分を吹き飛ばすような音楽をかけていきたいですね。そううまく元気が出るかわからないけど、がんばります」

これ! わかります?

「そううまく元気が出るかわからないけど」
と付け加えるところ! 
すぐ、何かしら留保する! 
これぞムラカミ節🤣

事前に募集したリスナーのメールのご紹介。

リスナー「コロナで何か変わったことはありますか?」
村上  「大きなことから小さなことまで、いろいろ変わりましたよね。大きなことを話すのは大変なので、ここでは小さなことをお話します。僕は最近、なぜか万年筆とインクを使って文字を書くようになりました。20年ぶりに引き出しの音から引っ張り出して、新しいインクを買って。すると、なんだか気分がいいんです。字ってこういうものだったよなあ、というような懐かしさを感じます」

「大きなことを話すのは大変なので小さなことを…」
ってのがいかにも村上春樹! 
小さなことを話したがる!(←いや、その意義はわかるよ、わかるけど書き方w)

そして
「〇〇ってこういうものだったよなあ」
という、物事の褒め方! すぐ言うのよねw

「これがエビフライってもんだよなあ、としみじみ」
「野球はこうやって見るものだよなあ、とうなずく」
「アンサンブルってこういうものだよなあ、という納得」🤣

リスナー「ドーナツ屋の店主です。2か月休業していました。不要不急なんて言われると、ドーナツは食べなくても支障はないですよね。でも、ドーナツの穴だけでもいいからショーケースに並べられたらおもしろかったのに。今は時短で営業再開し、夜には美味しいビールを飲んでいます」

衝撃ですよね!
ドーナツの穴だけを並べたいという発想w 虚無w ファンもムラカミ節🤣
そして、食べるために働き、小さな楽しみをもつという、個人の「小確幸」でメールを締めくくる。はい、ハルキストとして100点満点のメールですw

このメールに応える村上さんがまたすごい。

村上 「たとえ何が起ころうとドーナツは世の中に絶対必要ですよね。ドーナツ本体ももちろんすてきだけど、穴という無の比喩も社会には欠かせません。どうかがんばってドーナツを作り続けてください。僕はいつでもドーナツ屋さんの味方です」

もう、息ができない~~ 店主にも勝る、異様な「ドーナツの穴」推し!!

いや、わかってます。すばらしいんです。
コロナ禍で「不要不急」とされ、確たる補償もなく生業を自粛せざるを得ない人が山ほどいる。そのうちの一人であるこのドーナツ屋さんを全力で擁護するということは、同じ境遇にあるすべての人を全力で励ますのと同じなのだと思う。

2008年、戦火のエルサレムで、イスラエルの高官たちも前にして『壁と卵』と題し、「もし、硬くて高い壁と、そこに叩きつけられている卵があったなら、私は常に卵の側に立つ」とスピーチした村上春樹だ。

高くて硬い壁とは、社会のシステムであり、叩きつけられる卵は、個人の脆さをあらわす。
社会のシステムは権力や多数派に資するよう堅固に作られていて、壁に向かって卵をぶつければ、卵はかんたんに割れてしまう。

「自分は小説家として、社会システムではなく、個人の側につく。絶対に」
というのが村上春樹村上春樹たらしめるゆえんであり、だから、彼の小説は世界中で慕われるのだ。ドーナツ屋さん推しもそういうことなのだ。

しかし、しかしだよ。この、完ぺきなまでの「ムラカミ話法」。
ネットでは「この内容を村上春樹的な文体で書くと‥‥」みたいなネタが定期的に流れてくるけど、さすが本人。隅々まで冴えわたるハルキ節。

カミュの『ペスト』を読んでいる、というリスナーに対しては
村上 「『ペスト』は高校生の時に読みました。当時の文学少年はみんなカミュを読むものでした。今はそうでもないみたいだけど」
ほらほらw 「今はそうでもないみたいだけど」 何かしら留保する!!

で、
「僕は今、ガルシア・マルケスの『コレラの時代の愛』を読み直しています」と続け、「異様なほど激しい愛の物語です」と、やたらさらっと紹介w ドーナツ推しとの落差🤣 
このリズム感だよね!!!
ツッコミどころが多すぎて(=楽しすぎて)なかなか先に進めない🤣
そして今、無性にドーナツが食べたいし、ガルシア・マルケスの本を検索しようとしている私がいるw いやあ、元気そうで何よりです。村上さん。
ラジオではこのあと、山中伸弥教授のメールも読まれるらしい。
早くそこまでたどり着きたいw

今日から給食。配膳は先生がやるらしい。担任の先生も「あつ森」してるんだって~。まだみんなおとなしくしてるみたいで、帰り道と帰宅後にマシンガンのようにしゃべってる。夜ごはんは、麻婆豆腐、キャベツのレモン汁浅漬け(とでも言おうか)、野菜のピクルス。

●5月某日: N事務所出勤。夫はテレワーク。夫が実家の畑からもらった大量の唐辛子、「いりませんか?」と呼びかけると意外にもたくさんの応募が。事務所のTさんにもおすそわけ。みなさん、劇物なので、取り扱いにはくれぐれもご注意ください。夕方、ランニング20分。最初の10分、息子も一緒。夜ごはんはもつ鍋。「おげんさん」リモートバージョン。さすがNHK、パペットの使い方が堂に入ってる!