大阪都構想、僅差で否決 専門家の見方は

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以下、リンク先の記事をコピペ。

 

大阪市を廃止して4つの特別区に再編する「大阪都構想」の住民投票は僅差で否決となった。専門家に意見を聞いた。

砂原庸介・神戸大教授(地方自治) 選択肢提示、関心高める

神戸大の砂原庸介教授

大阪都構想の実現を掲げる大阪維新の会の登場で、大阪では選挙のたびに対立軸が示され、有権者は選択してきた。自らの1票が身近な生活や地域の将来に影響を与えるという経験を積み重ねてきたのは全国で唯一だろう。

地方選挙で投票率が低い傾向にあるのは、政治に無関心な有権者に原因があると思われがちだ。しかし、この10年間の大阪を見ると、政党側が有権者に選択肢を提示すれば、政治への関心が高まることが示されたともいえる。

反対が上回ったのは、府・市の権限の重なりをなくす都構想が現状を改善するという主張を信じきれない市民が多かったからだ。皮肉だが、大阪維新の会が一定の実績を上げている現状への満足の裏返しともいえる。今の行政区を統合し、分権を進めたうえで特別区移行について議論するなど段階的な変化の方が受け入れられやすいのではないか。

都構想が否決されても、府・市が対立していた10年前の大阪にすぐに戻るわけではない。大阪府庁・大阪市役所という枠組みの外側で府・市の利害を調整してきた大阪維新の会が残るかどうかによる。維新は地域政党が行政の利害調整を担うことができるという一つのモデルを実証した。今後の地方自治の在り方を考えるうえで参考にすべきだと思う。

■善教将大・関西学院大准教授(政治行動論) 特別区設置コスト懸念


関西学院大の善教将大准教授

報道各社の世論調査では住民投票の告示日以前は賛成が反対を大きく上回っていたが、賛否の差が縮まり拮抗した。都構想を推進する大阪維新の会は反対派よりも早い段階から活動を始めていたが、反対派の活動が本格化し、市民がデメリットの情報に触れる機会が増えたのが要因だろう。

詳しく分析する必要はあるが、否決された前回の2015年の住民投票と同様、一部の維新支持者の動向が賛否を分けた。普段の府政・市政では維新を支持しているが、自分なりに情報を集めて見極めた結果、都構想制度は「この先どうなるかわからない」と不確実性を懸念し反対票を投じた。

前回の住民投票のときよりも府・市の連携は進んだ。維新が府・市をうまく調整している現状では「二重行政の解消」という都構想のメリットは見えにくかった。

一方、特別区設置のコストについては、金額について各党の主張は異なるものの、費用がかかるというデメリットは明らかだった。大阪市民はメリット、デメリットの両方を見て合理的な判断を下したといえる。

前回反対だった公明党が賛成に回ったが、公明支持層の多くは居住年数が長く、大阪へのアイデンティティーが強い傾向がある。山口那津男代表が大阪入りした効果は限定的だったのだろう。