新井紀子:GAFAに代表される少数の企業が利益を独占するデジタライゼーションは持続可能なシステムか?

この記事は、今日だけ無料で読めるのかな? 貧富の差の拡大とポピュリズムの関係。めちゃくちゃ大切な話。私は、今の社会にすごく不足しているのは「人権」「主権」の感覚、それを教える教育だと思う。でも精神論的に訴えるだけではダメなんだろうとも強く思う。気持ちだけでは克服できない構造的な問題を知らなければならない。
今、小説『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』がベストセラーになっているブレイディみかこさん(修猷館出身だっけ?)も、いつも「右傾化やレイシズムを生んでいるのは、結局のところ経済問題」と言っている。以前、「ジェンダー問題はつきつめると労働問題」という話も聞いたことがある。このシンポジウムで、新井紀子さんは「法、経済、倫理の観点から考えていく必要がある」と言っている。
GAFA(ガーファ:GoogleAmazonFacebookApple)」に代表される少数のIT企業が利益を独占する「デジタライゼーション」は持続可能なシステムとは思えない。(貧しさに取り残された側の)怒りがポピュリズムを呼ぶ』
また、新井さん本人のアカウントで、記事にならなかった部分をtwitterで解説してくれている。この話がまたむちゃくちゃ大事で怖いので以下にシェアします。
現代倫理的にごくスタンダードな言論とはいえ、思わしくない風邪具合が一瞬治るくらいの冴えた骨格をもつ連続ツイート…。
GAFAを中心とした寡占の問題について。アマゾンは過去20年間ほとんど利潤を上げていない企業だが、創業者のジェフ・ベゾス氏は「世界の貧困層36億人分」と同じだけの資産をもっていると言われる8人のひとりだ。なぜか。それは投資家がアマゾンに投資をし続けるから。
それはなぜか?
長期的にその投資が何十倍、何百倍になって戻ってくると投資家が考えるからだ。その仕組みはこうだ。
私たちは「米10キロや牛乳2パック」「漱石全集」のような重い買い物を「送料無料」で配送してくれるアマゾンというのはなんと素晴らしいサービスだろう!と狂喜した。私もその一人だ。
その結果、私たちの徒歩圏内には書店がなくなり、米屋が消え、今や日常品を買うスーパーすら消えつつある。その瞬間にアマゾンは「アマゾンプライム」を始めた。
有料で会員にならなければ送料を払わなければならない。アマゾンプライムは家族で使えたが、近い将来ひとりずつ入会しなければならない。その「アマゾンプライム」の会費は今後上昇するだろう。
この状況に、アカデミアは既視感を持っている。
かつて学会は各々学会誌を発行していた。そのために人を雇用していた。あるとき、エルゼビアという会社が「それは非効率でしょう。私たちが代行してあげましょう」と言われた。素晴らしいと思った。
そしてほぼすべての学会誌を手中に収めた後、エルゼビアは購読料を倍、四倍…と、毎年のように倍々に値上げしたのである。
これが、21世紀の「野蛮なモノポリー(エミ註:monopoly=独占)」であり、私たちはこのような国際市場におけるモノポリーを規制する新たな法律を必要としている。
もう一つ、規制が必要なのが労働者以下の契約を結ばされている個人事業主問題だ。
たとえば、Uber Eatsの配達人は個人事業者だが、労働者に保証されている労災などは一切認められないし、どの省庁の管轄の外にある。それは「自由な契約」だと主張されている。が、実際には奴隷的契約も少なくない。
このように、「自由」の名の下に、国からも労働組合からも見捨てられた人々が急増したことが、ポピュリズムを台頭させる要因のひとつとなっている。
その問題を解決せずに「ポピュリズム許すまじ」というお題目だけ唱えても、とどめることは難しい。
相手は法の穴も自分たちが持っているテクノロジーの使い道も熟知している。そういう中で民主主義を守るために、私たちに必要なのは、相手にに劣らない(数式を見るだけで怖気づいたりしないような)汎用的な読解力だ。テロ等の手段ではなく立法などの手段で戦うための読解力。

引用元はこちらのリンクから。
それにしても、元記事(朝日)はもうちょっと綺麗な写真をサムネイルにしろよな!ぷんぷん