『西郷どん』 第18話 「流人 菊池源吾」

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海に沈んだ西郷どん。このドラマ世界ではやっぱり、正助が助けたのね。かなり沖合まで行ってたように見えたけど、ちょうどよく浜近くに流れてきたのかしら? まあいいや。月照さんは早、心肺停止してたのか、あるいは敢えて蘇生措置をとらなかったのか、ドラマではビミョーに曖昧にしてると思いました。でも、西郷だけが蘇生したのは事実だもんね。事実だって、敢えて蘇生させんやったのかもしれんけどね。まぁいいや。

ともかくこのドラマの世界では何が何でも西郷に生きてほしい、そのためなら久光に蹴られるなんてへでもない大久保なのに、そうやって助けられた西郷はめったくそ自暴自棄になってるという・・・。なんか正助どんがかわいそうになってきますよねw あんなに必死に助けたのにw 

とぅまの刺青を侮蔑のまなざしで見つめ、彼女が供した膳をひっくり返す吉之助さぁ。おめー、どうしちまっただ。! 誰にでも優しく人がよく、とりわけ貧しい者や女子供といった弱き者には情けをかける男だったでねーか(何弁?) ってがくんがくん揺さぶりたくなるくらいの人物豹変・・・

と思ったら、砂糖をなめて殺されかけた子どもを助けました。ほ。そうでなくちゃね。てか、近藤芳正があまりにクズい役で泣けるわ。奄美大島は薩摩に輪をかけて貧しい島、というのは史実だし、「お殿様は民のことをどれだけ考えていたか・・・」と言われたとぅまの「自分たちは民にも入ってなかったんだ」というリプライは非常にパンチがありましたけど、なんつーか、自分ちもかなり貧しく、薩摩の木っ端役人時代にも極貧生活というものを肌身で知っていた西郷さんが、いかに江戸の水に磨かれたからって、想像力が・・・。うーん。

貧困を描くときはバッチリ描くけど、そうじゃないときは…っていうリアリティラインがふわふわしてるのは否めないこのドラマではある。

とはいえ、二階堂ふみはやっぱりすばらしい! 奄美大島にとぅまという女がいたとしか思えない。『翔ぶが如く』のときの石田えりもとても印象に残っていますが(年齢w)、それから30年を経て、あたらしい愛加那の誕生はめでたいことです。歌もいいし。海に向かって「あの男に災いをー!」みたいなのもいいし。方言でいうからってのもあって、禍々しくなくて何か素朴なんだよね。

何より、私は奄美に行ったことがないし、まして160年前の考証はわかんないけど、薩摩と400キロ離れて、言葉はもちろん、気候も地味も植生もだいぶ違う土地なんだっていうのがすごく伝わってくる映像表現で、よかったわー。見終わったあと、薩摩や奄美など南国の民俗について言及してる文献を、家の本棚に探したもん(ちょぴっとしかなかったけど)。

第一話で、「わー ここは南国なんだ」と思わせた薩摩の映像。それよりさらに南の奄美。日本列島は広い。そして多様性を持っている、というのを直感的にわからせる。それにしても、モーターもついてない船で400キロも島流しにしてたって(東京の八丈島とかもそうだけど)人間は、私たちが想像する以上に、はるか昔からスケールが大きいんだよね。