葉月の十一 / 油山さんぽ ・ ブレイディみかこ講演&夏飲み

●8月某日: どんぐり文庫から油山散歩へ。4月に続いて2度目の参加。サクの友だちも一緒に連れていく。大人7名、子ども13名くらいだったかな、中の一人が、会社員時代の元上司だった。奥さんは今日仕事で、小3の双子ちゃんがどうしても行きたいというので彼が休みをとったらしい。

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いったん「おはなし広場」で、「まあちゃんのながいかみ」などお話を聞いてから、荷物をもって水の森の方面へ。お弁当の前もあとも、子どもたち、川遊びに夢中。大きい子はダイナミックかつ緻密に、小さい子は小さい子なりに遊ぶ。やっぱり自然の中での遊びは飽きないよねえ。サクも上ったり下りたりしながらカニとりや魚とりに熱中。石を積み並べてダム作りも。

久しぶりに作ったお弁当、美味しかった。外で食べるのでするっと食べられるように、おにぎりのひとつはすし飯にして、ちりめんを混ぜて握った。もう1つはツナマヨ。

そうそう、今日のもう1つの驚きは、油山で幼稚園の友だち親子に偶然会ったことだった。びっくりしながらも、遠くから大声で名前を呼び合う子どもたちがかわいい。15時ごろ帰宅し、友だちのお母さんが帰るまでうちで遊ぶ。子どもたち、体力ある。夜ごはんは、牛肉の焼きしゃぶ風! もやし、カイワレたっぷり。キャベツとオクラのマヨポンを今日も。

 

●8月某日:
96年からイギリスに住み国際結婚&出産、保育士でありライター、コラムニストでもあるブレイディみかこさんの講演会、「英国のいま、そして日本は?」に行ってきた。

日英の子育てや、保育の現場の話や、異文化比較・・・みたいな話になるのかな?と漠然と想像していたところ、「ブリグジット=英国のEU離脱」をはじめ、英国の保守党と労働党、故サッチャーや独首相メルケル、欧州における右傾化やポピュリズムの流れと本質・・・など、政治的なトピックを怒涛のようにがっつりと解説され、けっこうびっくりした。そして、ものすごく面白かった。

「右傾化やレイシズムを生んでいるのは、結局のところ経済問題」
「みんな結局、移民なんかより景気の問題のほうが大事なんだ」
と彼女は言いきっていた。
私が知る日本の歴史や現在と考えあわせても、すごく納得いく。

だから彼女は経済についてもガンガン発言し、景気を左右する政治家・政策について詳しく解説する。

保育士さんらしいユニークな考えだなと思ったのは、

『それは差別発言だ、ポリティカリーコレクトネスに抵触する』
『いや、これが差別なら表現の自由の侵害だ、ポリティカリーコレクトネスの行き過ぎだ』 という、よくある不毛な論争について。

差別心は、誰の心の中にもあるもの。
差別心を不用意に表現して人を傷つけないことがポリティカリーコレクトネスであり、それはトレーニング、訓練によってしか身につかない。

・・・・というところまでは、よく巷でも耳にする考えなんだけど、ブレイディさんはここからが面白い。

「人間の初めてのトレーニングはトイレ・トレーニング。これは、joint achievement、つまり必ず大人が一緒に訓練しなければ達成できないもので、私はこの作業がけっこう好き。逆に、これがダメって人は保育士には向いてない。

 トイレトレにはいろんな困難が伴う。なかなか身につかない子もいるし、揺り戻しもある。そんな子にどうやってトレーニングさせるか?

  叱りつけてもだめ。とうとうと正論を述べてもダメ。まして “ノーモア・おもらし” なんてプラカード掲げても何にもならない。じゃあどうする? そんなとき、私たちは「ちょっと環境を変えてみようか?」と考える。たとえばおまるを変えてみる・・・たとえばトイレに音楽を流してみる・・・

(それと同じで)差別発言をする人を「それは差別発言だ!」と糾弾しても意味はない。環境を変える。差別発言の背後にある環境は何なのか?と考えてみる。環境を変えなければ変わらない」

その「環境」が、やはり経済問題なんだと彼女は言う。ヒトラーの経済政策についての解説もあった。とにかく、いろんな本を読んで勉強されている。

今は物書きもしてるとはいえ、彼女はもともと保育士なのだと思えば、ものすごい知識と思考だ。

彼女いわく、保育士の資格のための勉強がきっかけなんだって。イギリスの保育士試験では、さまざまな論述問題が課せられて、その中では、法制度や、その整備までの経緯、背景の問題など、さまざまな知識を持って書かなければいけないらしい。

保育士になるのに何でこんなことまで勉強しなきゃいけないんだ、と当時は思ったけど、そうやって勉強するから、問題の本質や改善策を考えることができる。

逆に日本では、たとえばNPOなどでも、大きなところ・上のほうの問題まで勉強しないから、いつも困っていることをミクロな視点だけで考えているのではないか?

「自助」「相互扶助」はすばらしいけれど、国や政府に手間をかけさせない(国や政府の悪いところが放置される)危険もある。イギリスという国にも問題はたっっっくさんあるけど、イギリスでは「保育を守る、子どもを守る」という考えの徹底のもとに法整備されている。

「イギリスの法律では、保育士1人につき3歳児が8人。日本では、20人ですよ。イギリスの同僚に話すと『1人で20人って・・・羊飼いか!』と絶句してました」とおっしゃっていました(苦笑)

でも、日本の保育園の3歳児を見ると、イギリスより随分おとなしいそうです。おとなしい。主張しない。提案もしない。工作風景などを見ていても、あらかじめ決まったやり方を教えていて、自由度が少ない。イギリスでは、資材もやり方も自分で選べるのに・・・。そうやって、3才の頃から均質な教育をされるのは、日本人のマインドセットに大きく影響しているのではないかと言っていました。

先生1人につき子どもが20人もいたら、主張してもどうせ聞いてもらえない。聞いてもらえなければ、人は発言しなくなる。「ネグレクト」という概念にも近い話じゃないだろうか、ということでした。

そんな彼女はモリッシーが大好きで、来週はブックス・キューブリックでモリッシーイベント(?)をやるらしい。この日もちょっとパンクなファッションで、そんな彼女が好きなんだろう、かっこいい格好した人たちも少なくなくて、一番うしろから見る光景が面白かった。

一番うしろの席から。そう。私、遅刻してしまったんだよね・・・。終了後、友人むっちゃんと話してやっと気づいた。スタート5分前に入場したつもりなのに、もうがっつりメイ首相の話なんかしてるから、変だなーと思ったら、既に開始25分経っていたのだったーーーーー! ばかばかばか。 

THIS IS JAPAN――英国保育士が見た日本

THIS IS JAPAN――英国保育士が見た日本

 

 (↑ 会場で買った本。めちゃくちゃ面白かったです!! 感想、近いうちアップします。)


夜は、友人たちと晩夏の飲み会、in 瑛林。相変わらず、安くておいしかった!
おまかせコース、杏仁豆腐まで食べたあとで「足りなかったんじゃない?」て雰囲気で焼きそばが出てくるという(笑) 早くから始めたので、パッと2軒目にも行った。そんなことができるくらいには、子どもたちも育ってきた。テラス席で、生ぬるい風を浴びながらビール。大きい子から小さい子まで、子どもたちも食べたりウノしたり楽しんでた。

10時過ぎ帰宅、眠くてホヨヨとなってるサクを、夫が手早く風呂に入れパジャマ着せ歯を磨いてやってた。終わるとサクは布団に倒れこんでバタンキュー。夫と少し飲み足す。