『ロング・グッドバイ』 第3話「妹の愛人」

ねぇこれやっぱりハードボイルドじゃないよね?(再ww) 今回は猟奇ではなかったけども。私のイメージだとハードボイルドってもっと乾いてる感じなのね。このドラマからは割と水分を感じる。でもその水分は安っぽいお涙じゃないから、良い。

「かったるい」という感想を散見するけど、私は好き。時間があっという間に感じるので、「かったるい」派とは対極の視聴者なんだろう。

一話完結型を見慣れてるから、この手のドラマはどうしても「引っぱっている」とみなされがち。実際、話は進んでないもんね。

でも、不穏な事件の合間に、いつもの「歌姫連れ戻し」依頼の電話が入るとか、請求書をとりあえず芋の皿にするとか、浮気亭主の捜索を頼みに来る中年女(さりげなく石田えりなのである!)のくだくだしい話とか、急いで電話を取ったら(当時高級品の)卵が割れてしまうとか、パーティの見事な装花とか、細かい描写がいちいち面白くて目が離せない。情報量の多い作品が好きな、贅沢視聴者向けのドラマなんだろうな。

ああいう細かいエピソードっていうか描写は、原作小説由来のものもあるんだろうか。てか、原作だって、めちゃくちゃ長いよね? 原作では、どんなふうに面白さが維持されているのか、気になってきた。

巻き込まれまくってる磐二がかわいい。フィリップ・マーロウってこんなんか?と疑問だけど、とにかくかわいい。「まずいことになった、今すぐ来てくれ」と上井戸からの電話を受けて向かいながらの「最悪の想像」が、すべて「夫が妻を殺す」パターンだったのにウケた。逆の発想はないんかいwww

アル中の作家・上井戸(夫)に古田新太の胡散臭さはぴったり。難を言えばぴったりすぎて意外性がないほど。殴られ方・・・ふっとばされ方と、そのときの表情が見事。前回ラストで磐二が亜以子にキスをしたとき、「実は窓ガラス越しに見てた」というシーンが今回出てきたんだけど、そのときの表情も最高だった、隣で一緒に見てた書生も含めて。あの書生、いい味出してるよね。

「あんた病気だよ、病院に入らないと絶対治らないよ」云々と磐二がまくしたてた後の「・・・そんなに喋るんだ」が古田のアドリブだったのかどうか、気になる。

冨永愛。ちょっと長いセリフを喋ると、「んあー。」って思うんだけど、でもギリギリのとこで踏みとどまってる感じ。小雪と同様、プロデューサーは柄の大きい女優を使いたかったんだろうし、その気持ちはわかる。いくら冨永愛が大根でも、ここにハマるテレビドラマ女優を考えると、なかなか難しい。

それにしても、今回は最後に「劇中テレビ」で登場した笠置シヅ子が全部もってった感がなきにしもあらず。「ジャングル・ブギー」初めて見たけど、すんごかった———! 夢に出てきそう。音源だけでもすごいのでyoutube貼ってみる。

ドラマでは、笠置が実際に「ジャングルの女」に扮して野性的すぎる踊りをしながら歌う映像が使われたんだぜ! そんなの持ってるのがNHKの凄さよね。