『泣くな、はらちゃん』 第2話

「片思いは美しい」かぁ。「この世界のほとんどの思いは片思い。世界は片思いでできている」かぁ。

これから片思いを経験するような小中学生にも、数多の片思いをくぐりぬけてきた(?笑)わたくし30代にも、同じように響くってのが、いいよねえ。

自分を囲む世界が、いつもと少し違って見える。いつもより少しきらきらして、いつもより少し奇跡的に見えてくる。そういうドラマを作るよねえ。河野Pが手掛ける土9。

ピュアで懸命なはらちゃんはもちろんドラマの求心力だし、美人過ぎずに撮られている麻生久美子“神さま”がすごく魅力的だし、不機嫌な忽那さんはもはや安心して見ていられるレベルなんだけど、田中! 田中ーーーっ! 

丸山隆平さんっておっしゃるんですね。関ジャニ∞でいらして。(←黒柳徹子ふうに)

田中さんの雰囲気が、ものすごくいいんだなあ。初回からいいなと思ってたんだけど、今回、完全にノックアウトされた。中華食堂から出てきたところで仲良しそうに歩くはらちゃん&越前さんを見つけ、しばしたたずんで見送ったあとに黙って背を向け、歌声に惹かれて鳥居まで行って、あくまさん(と気づいてはいないけど)の声に耳を傾け、ホントは泣いちゃってもいいんだよ!!!ってところなのに、微笑んで「いい歌ですね。ありがとうございます」。で、そっと小銭を置く。そっと。…って、何このシークエンスじわっと泣ける〜〜〜!

田中さんの周りの世界が輝きますように、田中さんがもっと笑顔になれますように、田中さんに奇跡が起こりますように。と、祈るよ私ゃ。このドラマだったら大丈夫だよね?

長瀬くん。彼らしい存在感、熱量で演じてる。ただ、ね。初回からいきなりあんなにボルテージMAXって、普通は(堺氏ほどの達者さでもなければ)ちょっと、引いちゃいませんか? それこそ、現状の越前さんばりに、「なんなんですか、アナタ?」って、なりませんか?

それが、このドラマを見てる人は、もう全然、そんなことない様子。

私も含めてなんだけど、長瀬くんの「はらちゃん」を好きな人々は、総じて「長瀬くんが出るドラマ」が好きなんだよね。はらちゃんの中の人である長瀬くんの、そのまた中に、これまで彼がやってきたいろんな役の面影を見てる。それごと長瀬くんを、ひいては「はらちゃん」を愛してる。そんな感じがする。

ま、そういうのを、一言で「人気役者」っていうのかもしれないんですが、同じように連続ドラマで多く主演を張ってきた、同じ事務所の人々の中でも、一種独特な愛され方のような気がするのです。役者・長瀬くんの場合。

なんにしても、これまで巡り合った役を、彼がすべて情熱的に、そして誠実に演じてきたからですよね。たとえおバカでもロクデナシでもピュアさが滲むような、愛すべき役者さんです。