『まほろ駅前番外地』 第1話〜第3話

レビュー遅れたけど毎週見てます。第2話、第3話と進むにしたがって、「ここはまほろ市じゃないな」って感じが強まってきた。ここ、新宿なんじゃないの?みたいな(実際の新宿にも町田市=まほろ市のモデルにも詳しいわけじゃありませんがw)

原作に比べて、多田は正義感を前面に出しすぎるし(第1話、プロレスの看板を叩き割る宇梶さんに、即座に食ってかかるとか)、行天は優しすぎる(第2話、風祭ゆきに対する「立派だよ」や、第3話、川村ゆきえに対する「あんた、いい子だね」、そして土下座で解決を試みる積極性)。

原作にないオリジナルエピソードで作られる今回のドラマシリーズは、金曜深夜という枠もあってか、「夜」「裏」の香りがする顧客ばかりで、しかしハードボイルドには流れず、むしろずいぶんやわらかな物語になっている。

原作だって暗くシリアスってわけじゃない。でも、底に流れるのは現実の容赦のなさ。だからこそ、なんとかかんとか希望をつなごう、てな筆致に救われるのであって、ドラマのほうにはその乾いた感じがないというか、なんか男の甘やかな夢物語を見せられているよう。

原作ファンの私。じゃあこのドラマが嫌か、っていうと、そんなことはなくて、これはこれで楽しく見てる。

まほろ駅前番外地」というのは、もともと、「まほろ駅前多田便利軒」に対するスピンオフ本なんだけど、それと同名のこのドラマは、まほろ駅前シリーズ全体のスピンオフ、とでもいいましょうか。現実のまほろ市(なんじゃそりゃ) は厳しい世界だから、せめてドラマでは、優しい物語を生きなよ、て感じで見てます。原作よりもわかりやすくいい奴な多田と行天を、「うんうん。そのほうが生きやすいでしょ?」て目で見ていたり。

なんせ、原作と多少違おうが、夢見がちな雰囲気世界になっていようが、瑛太と松田龍平の存在感がものすごく“確かな”感じがして、その一挙手一投足に魅せられてしまう。あと、映画版を見たとき、多田便利軒の事務所が、小説の描写からイメージするものとぴったり合致していたことに感動したもんですが、監督(きっと美術スタッフも)の違う今作でも、その感じが引き継がれていたのは自分的にかなり満足。OPとEDも、曲も、タイトルバックもすごく雰囲気が好き。